なかなか治らない肩の痛みは関節唇損傷だった
20代の男性が肩が痛いと来院。なかなか治らないそうです。筋肉に硬さはありますが痛みの原因とは思えません。肩専門の整形外科の受診をすすめ、関節唇損傷と診断されました。肩関節内の関節唇が関節窩からはがれる病気です。原因は、草野球でボールの投げすぎか投げ方に問題がありました。当院では、肩を動かす筋群に柔軟性をつけます。
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20代の男性から肩が痛いと連絡がありました
20代の大学生(男性)から「肩が痛い」と連絡がありました。当院の患者さんです。
当院に長く通われている女性の患者さんがいるのですが、その方のお孫さんです。3年前に大きなけがをして、しばらく通ってくれました。
2018年3月にバスケットで右膝半月板、前十字靱帯を損傷し、移植手術をしました。この時「孫がけがをして手術をする事になった」と話を聞き、しばらくギプス固定の生活が続くと思いました。
「手術後は、ギプス固定をされ不自由な生活が続き、松葉杖をつくことで全身のバランスを崩すので、バランスを整えるためにも来院されるとよいですよ」とお話をすると、彼が来院してくれました。その時からのお付き合いです。
その彼(T君)からSOSの連絡でした。
野球のボールを投げると肩が痛む
話を聞いてみると、手術後もバスケットは続けているそうですが、その他に草野球もやっていて、ポジションはピッチャーだそうです。「球を投げると肩が痛い」とのこと。
しばらく整形外科でリハビリとマッサージをしてもらっていたのですが、保険診療の場合、マッサージの時間が15分と限られています。
「肩が痛いのですが、マッサージの時間が短いのでゆっくり全身のマッサージもしてもらいたくて来ました」と来院されました。
関節の中に原因があるのでは?
私たちは、患者さんが痛みを訴えて来た時、痛みの原因について仮説を立てます。肩の痛みに関して考えられるのは
- 筋肉が硬くなることで可動域が狭くなり痛みが出る。
- 関節内の腱の断裂
- 骨の異常(打撲、転倒により骨折)
痛みの原因を消去法で一つ一つ消していきます。
この方の場合、骨折など骨の異常ではありません。骨折ならひどく痛み腫れたり熱を持ちます。すると、筋肉の硬さか、それとも関節の中に原因があるか?
身体を触らせてもらいますと、肩の筋肉は硬くなっていましたが、この硬さは、ピッチャーとしてボールを投げているなら仕方がない程度の筋肉疲労によるものでした。「この場所が痛みの出る原因の硬さだ」と特定できるほどの極端な硬さはありません。
考えられるのは肩関節内だけです。詳細を聞いてみると「日常生活において動作時の痛みは無いが、ボールを投げると痛い」と言います。やはり痛みの原因は、関節内にありそうです。関節内のトラブルは当院では対応できません。
肩を詳しく診ることができる整形外科の受診をすすめました
T君には、「関節の中に問題があるかもしれない、関節内は外側からだけでは分からないので、整形外科でそれも肩専門の先生に受診して、MRIで画像診断をしてもらってね」と説明をしました。
彼も納得して、「膝の手術をしてもらった病院で、肩専門の受診日があるので診てもらいます。早速、予約を取ります」施術が終わり、帰って行きました。
私の書く記事では、このように整形外科の受診をすすめることがよくありますが、患者さんが早くなおるのが一番で、時間やお金を無駄にしたくないと考えているからです。
肩が痛む原因は関節にあり関節唇損傷と診断された
後日、彼から連絡があり「MRI画像の結果、関節唇損傷と診断されました」とのこと。早速、詳しい話が聞きたいので来院してもらいました。
関節唇損傷とは
関節内の関節唇という軟骨が関節窩からはがれる病気です。
関節唇は肩関節の内側を前上方・後上方・前下方・後下方とぐるっと囲むように着いていますので、詳しくはMRI画像診断をしないとわかりません。
知らない方には話がわかりにくいと思いますので、わかりやすい図があるページを探しました。
まず、上方肩関節唇損傷の症状・診断・原因・治療というページを見ると、関節唇の位置がわかります。上腕骨と肩甲骨の間にあります。
次に、野球の投球が原因で関節唇損傷になることを説明してある西さっぽろ病院の関節唇損傷を読んでいただくと、この患者さんがなぜ関節唇損傷になったのか、また、その場所もおわかりになると思います。
関節唇は肩関節が前後、上下にぶれないように支える働きをしており、通常骨にしっかりと付着していますが、肩を使いすぎたり、肩にけがをしてはがれることがあります。これが関節唇断裂です。
野球ではボールを投げすぎたり、ダイビングキャッチで肩を打撲したり、スライディングで肩をねじったりして関節唇を傷めます。はがれる部位は肩の上方、前方、後方と様々ですが、野球肩では上方の関節唇がはがれることが多いです。
T君の症状は、この説明の通りです。
T君の肩は保存療法で治すことになった
医師の話では「野球を競技として続けていくなら手術をするが、草野球レベルなら手術はしないで保存療法がベスト」とのことでした。
肩を動かしていくのに必要な筋群(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋、三角筋)が連動して動きます。T君の場合、この筋群の柔軟性が足りなく、肩関節の可動域が狭くなって、正しい投球フォームで投げられず負担がかかったのでしょう。治療は、手術の選択肢がなくなりましたので、運動はしばらく休み肩を休めます。
当院ではマッサージとストレッチで肩の筋肉に柔軟性をつけます
当院では、引き続きマッサージとストレッチで肩を動かしていくのに必要な筋群に柔軟性をつけます。
病院では、理学療法士によって投球フォームの改善、投球に負けない肩を作るためのリハビリで肩甲骨周囲の筋力訓練、肩のインナーマッスルの強化などをしていくことになります。T君のためには、当院と理学療法士との連携をしていくことが大切と考え、しばらく来院してもらうことになります。
肩の痛みでお悩みの方、一度治療院よしぐちにご相談ください。ご連絡お待ちしています。
自由が丘駅南口徒歩3分 奥沢駅徒歩5分の整体治療院です。