とある内科医の病棟マニュアル

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呼吸器内科医が日常診療の考え方を綴る備忘録

凝固異常

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血液凝固カスケード

f:id:kodomonotsukai:20220404010701p:plain外因系:Ⅲ、Ⅶ(3+7=10)

内因系:Ⅷ、Ⅸ、Ⅺ、Ⅻ

共通系:Ⅰ、Ⅱ、Ⅴ、Ⅹ(2×5=10)

 

鑑別疾患

※リバーロキサバン・エドキサバン:APTTよりもPTが延長しやすい

※ダビガトラン:APTTが延長しやすい

※アピキサバン:PT・APTTともに延長しにくい

 

検査

PTのみの延長の場合

✅薬剤性の除外(抗凝固薬やその他の薬剤)。

✅検査の再検(検査の不備や検体採取の問題の可能性)

✅DIC、肝硬変、肝不全の除外

生化学(AST、ALT、ALP、γ-GTPコリンエステラーゼ、TP、Alb)、凝固(PT、APTT、Fib、FDP、D-dimer、ATⅢ)、腹部エコーなど

✅ビタミンK欠乏の診断

ビタミンK分画測定、PIVKA-Ⅱ(ビタミンK欠乏で上昇)、ビタミンK補充してみる、抗菌薬の使用や胆道系疾患の既往の有無の確認

✅第Ⅶ因子活性

低下している場合はクロスミキシング試験、第Ⅶ因子インヒビター測定

 

※凝固因子活性:低下している場合は凝固因子の欠乏、消費、インヒビター産生など

※クロスミキシング試験:正常血漿に患者血漿を混合する→凝固が延長する場合はインヒビターあり。

 

APTTのみ延長の場合

✅薬剤性の除外(抗凝固薬やその他の薬剤)

✅検査の再検(検査の不備や検体採取の問題の可能性)。

✅凝固(PT、APTT、Fib、FDP、D-dimer、ATⅢ)、RF、抗核抗体、IgG、IgA、IgM、vWF活性(リストセチン・コファクター活性)、第Ⅸ因子活性、第Ⅷ因子関連抗原(フォン・ヴィレブランド因子抗原)、第Ⅷ因子活性、第Ⅹ因子活性、第Ⅺ因子活性、第Ⅻ因子活性、ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、抗カルジオリピンβ2グリコプロテインⅠ複合体抗体。

血友病が疑われる場合はクロスミキシング試験とインヒビターの測定を行う。(Ⅷ因子のインヒビターが最も多い)

✅vWDが疑われる場合は血小板凝集能検査も追加。

 

※凝固因子活性:低下している場合は凝固因子の欠乏、消費、インヒビター産生など

※クロスミキシング試験:正常血漿に患者血漿を混合する→凝固が延長する場合はインヒビターあり。

 

PT、APTTともに延長

✅薬剤性の確認(抗凝固薬やその他の薬剤)

✅検査の再検(検査の不備や検体採取の問題の可能性)。

✅DIC、肝硬変、肝不全の除外。無フィブリノーゲン血症の確認。

生化学(AST、ALT、ALP、γ-GTPコリンエステラーゼ、TP、Alb)、凝固(PT、APTT、Fib、FDP、D-dimer、ATⅢ)、腹部エコーなど

✅ビタミンK欠乏の診断

ビタミンK分画測定、PIVKA-Ⅱ(ビタミンK欠乏で上昇)、ビタミンK補充してみる、抗菌薬の使用や胆道系疾患の既往の有無の確認

✅RF、抗核抗体、IgG、IgA、IgM、vWF活性(リストセチン・コファクター活性)、第Ⅴ因子活性、第Ⅶ因子活性、第Ⅸ因子活性、第Ⅷ因子関連抗原(フォン・ヴィレブランド因子抗原)、第Ⅷ因子活性、第Ⅹ因子活性、第Ⅺ因子活性、第Ⅻ因子活性、ループスアンチコアグラント、抗カルジオリピン抗体、抗カルジオリピンβ2グリコプロテインⅠ複合体抗体、フォスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体。

血友病が疑われる場合はクロスミキシング試験とインヒビターの測定を行う。

✅プロトロンビン欠乏(非常に稀)を疑うならプロトロンビン活性やプロトロンビン抗原。

 

※凝固因子活性:低下している場合は凝固因子の欠乏、消費、インヒビター産生など

※クロスミキシング試験:正常血漿に患者血漿を混合する→凝固が延長する場合はインヒビターあり。

 

PT、APTTともに正常で出血傾向がある場合

✅抗血小板薬の投与や血小板数の確認。

✅老人性紫斑病、アッヘンバッハ症候群などの可能性

✅紫斑病の鑑別

✅出血時間の確認(Duke法、Ivy法)、血小板凝集能測定、毛細血管抵抗試験

✅第ⅩⅢ因子測定。

 

 

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