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1970年代の後期型「モンブラン モンテローザ」は単なる廉価版ではないという話【モンテローザ 万年筆 新旧比較】

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最近また1960~70年代のモンブラン筆記具にハマっております。
 

モンブランにおいて巷で1960~70年代の造りが良いとよく言われていますが これは単なる都市伝説ではなく、実際に使ってみて納得という出来映え。
 

それはフラッグシップのマイスターシュテュックに限らず、廉価モデルのモンテローザについてもしかり。
まさに極上の書き心地と言っても過言ではない、柔らかな筆記体験を与えてくれるのです。
 

1970年製造のモンテローザは、デザインとしてはクラシックを脱し スタイリッシュな時代のトレンドに乗せようとした結果か、バリエーションも製造期間の中で2点3点しており紆余曲折が感じられます。
 

 
今回の記事は、以前にインク窓清掃の記事で取り上げた1950年代のモンテローザと、1970年製造の後輩モンテローザの比較、また、同年代に造られた№22との比較記事となります。
 

 

それでは早速 見ていきましょう。
 

まずは、1970年代モンテローザのデザインから。
 

 
冒頭にも書いたとおり、クラシックな路線からは外れた スリムな80年代のデザインに向かいかけたシンプルなデザイン。
 

キャップはステンレス製で梨地仕上げ。
クリップは鏡面仕上げのストレートタイプとなっています。
 

重量は17gという軽さ。
キャップが9g、胴軸が8gという内訳で、写真のように尻軸にキャップをポストすると重心はリアに寄りますが長さはベストとなり、全体的に軽いためリアヘビーも気になるほどではありません。
 

 
キャップの刻印。
全体がステンレスで出来ており、キャップリングなるものはありません。
刻印は、「Monte Rosa GERMANY」反対側には大きく「MONTBLANC」の文字。
 

「MONTBLANC」のAの文字は、年代やモデル毎に違ったデザインで使う者を楽しませてくれます。
 

 
クリップを横から見たところ。
 

シンプルな剣先のようなストレートクリップ。クリップ先はおにぎり型。
開きは硬めで、このモンテローザが廉価版だったことを再認識できる造りとなっています。
 

 
天冠にはホワイトスター。
 

1967~1970年の3年間に渡って造られたこのモンテローザは後期型。
1961~1967年まで製造された前期型のモンテローザには、ホワイトスターが無い代わりにネジ式のキャップが採用されています。
 

ペン先のスタイルも、写真の様なオープンニブの他に流行していたフーデッドニブのモデルや、インク窓のデザインが異なるタイプなど、約10年程の全製造期間の間に様々なバリエーションが発売されているのです。
 

 
ついでに同じような年代のホワイトスターを並べてみました。
角が丸い60~70年代のホワイトスターから近代になるにつれて、はっきりとしたホワイトスターへ変化していることが覗えます。
 

 
廉価版という位置づけですが、しっかりとピストンフィラー。
コレがまた良いのです。
 

操作性も軽く、インク吸入を楽しい時間にしてくれます。
ピストン部の締まり具合いも良好で、尻軸もリングが無いデザインのため継ぎ目はほとんど見えません。
 

 
1960年代後半~70年代のモンテローザの最大の特徴は、一風変わったダイヤ型のインク窓ではないでしょうか。
合計6つのクリアーなインク窓は意外と視認性も良好です。
 

 
堪らない14金のペン先。
近年のモンブランの書き味に慣れていると、となでもない柔らかさと“しなり”に驚くことになるペン先です。
個人的には、これもしかするとモンブランの中で一番しなるのでは?と感じています。
ファーストタッチの感動はかなりのものです。
(ハードル上げすぎな感じもしますが、本当です)
 

 

さて、それではモンテローザの新旧比較へと進んでいきましょう。
(新旧と言っても、現在からするとどちらも旧ですが…)
 

 
クラシックなデザインの1950~60年代にかけてのモンテローザと、デザイン発展途上とも言いましょうか1960~70年代にかけてのモンテローザ。
 

同じモデルでありながら、様々な点が異なっていることに面白さを感じます。
 

 
デザインが異なる新旧のモンテローザのニブ。
左が1950~60年代、右が1960~70年代。
 

刻印は「MONTE ROSA」から「MONTBLANC」へ。
オリジナリティのあった雪山のマークはオミットされ、「14C MONTBLANC 585」のみのシンプルなデザインとなっています。
 

 
斜めから見るとニブの形状にも変化があることが分かります。
旧タイプはニブのサイドの壁が切り立ったデザインで、タッチは柔らかですがしなりは少ないように感じます。
 

一方、新タイプは浅いアーチ型で、旧タイプよりもニブの厚みも薄く、それもあってかしなる書き味となっています。
 

続いてペン芯を比較してみましょう。
 

 
新旧どちらもエボナイト製のペン芯を搭載。
旧タイプは昔ながらのサイドに配置されたフィンと、この年代の№149にも見られた縦溝が印象的なペン芯。
 

新タイプはニブ側にフィンがまわり、目に見える部分はプレーンなエボナイト棒のような見た目。
 

 
横から見ると、ニブの形状の違いやペン芯の変化などを見て取れますね。
 

 
ペン先の拡大写真。
書き味がドンピシャに好みなこの2本のモンテローザは、主にイラスト用に使っています。
 

旧タイプ(左)のモンテローザは字幅がM~Bくらいで色塗り担当。
旧タイプ(右)はEFでかなり細い線が書けるため、ペン先を裏返してさらに細く描く技法も含めて、イラスト担当。
 

どちらも素晴らしい書き味なのです。
 

続いてはモンテローザと同年代の万年筆である№22の比較をしていきましょう。
 

 
3本並べてみました。
左から旧モンテローザ、新モンテローザ、№22。
 

クラシックなラインの少しずんぐりとしたシルエットと裏腹に、スリムな印象を受ける新モンテローザ。
シルバー×ブラックのカラーリングも新鮮です。
 

 
3本のペン先の比較。
 

№22はウィングニブと呼ばれるタイプですが、首軸兼フード部分を外すとイカペンのようなペン先が出てきます。
同じ年代の万年筆だけあって、新モンテローザと№22の書き味は似ていて柔らかさがクセになります。
 

 
インク窓の違い。
ブルーのインク窓が美しい。
 

新モンテローザのクリアのダイヤ型インク窓は、ブルーのインク窓に比べると高級感こそありませんが、唯一無二のデザインでアイデンティティー溢れています。
 

1970年代の2本は嵌合式キャップ。この頃の万年筆は嵌合式のキャップがメインとなっていたようですね。
 

 
同じ年代の新モンテローザと№22、実はペン芯は同じものとなっています。
№22はペン芯の一部のみ露出しているためペン芯の全貌は分解しないと見えませんが、こう並べてみると同じだという事が分かります。
 

 
№22の初見で変わったペン芯だなーと思っていましたが、全体はこうなっていたのか…という感じです。
 

 


 
まとめると、1970年代(後期型)のモンテローザはとにかくペン先のしなりが楽しい万年筆。
決して廉価版だということを感じさせない、造りの良さが覗えます。
 

私は主にイラスト用で使っていますが、もちろんこの年代のEFはよくしなるペン先と相まって、日本語もとても書きやすく、小さな文字書きが必要な手帳利用など 常備しての日常使用にも耐えます。
 

 
万年筆で絵を描き、万年筆で色を塗る。
 

これもなかなか楽しい趣味となります。
あまり良い使い方とは言えないかも知れませんが、ニブを裏返して使う超極細利用も廉価モデルだからこそ気軽に楽しめる部分ではないでしょうか。
 

今回は、1970年代モンブランの底力「モンテローザ 万年筆」を比較を交えながら見てきました。
この年代の万年筆をまだ体験していないモンブラン好きがいらっしゃれば、間違いなく通るべき道ではないかと思います。
 

それでは今回はこの辺で。
また筆記具沼の縁でお会いしましょう。

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