フィンガースナップとジャケ下の裸の胸にキュン!
80年代の歌謡界が産んだ、最もロマンティックなバラード!
「少年隊は僕の最高傑作。」
2019年に亡くなったジャニー喜多川は、生前、少年隊をそう評していた。
少年隊以前にジャニーズ事務所からデビューした田原俊彦、近藤真彦、シブがき隊は、ルックスや若さを前面に出した売り方をされ、歌唱力は低かった。
が、彼らのバックダンサーを長く務めた少年隊は、ダンス・歌唱がすでに仕上がった状態でデビュー。85年のデビュー曲「仮面舞踏会」で彼らのダンスを初めて見た視聴者は、そのハイレベルさに度肝を抜かれた。
「君だけに」は、そんな少年隊の6枚目のシングル。
歌謡曲ファンには、筒美京平クラシックとして名高いバラード。それだけに、この曲が87年公開の主演SF映画「19 ナインティーン」の主題歌だったことは忘れられがちだ。
西暦1998年の「TOKYO」に3人のタイムパトローラーが降り立った。2550年の未来からやって来た3人の目的は、時空を超えて逃亡中の異生物カーミラの殲滅だった…。
少年隊の3人は、タイムパトローラーを好演。
グレーのマント姿の3人が渋谷のライブハウス街を彷徨うシーンがシュールだった。
そんなパンキッシュな絵柄の映画から一転。
歌番組での「君だけに」歌唱時は、3人は純白のジャケットにチェンジ。
ロマンティックこの上ない歌詞。
映画以上にスペイシーな歌番組のセット。
イントロの幻想的なフィンガースナップ。
「歌い出しのソロパートは一番声が甘い植草を!」と筒美京平が指名。
バラードなのに、曲中絶えず優雅に舞う3人。
ダンスの最中に露わになるジャケットの下の裸の胸…。
数々の萌えポイントを携えたこの曲は、彼らの代表曲となった。
が、この曲の翌月、光GENJIがデビュー。たちまち大ブームに。
遅いデビューと事務所後輩の猛追で、少年隊のアイドルとしてのピークは短かった。
映画「19 ナインティーン」は未DVD化・未配信。
少年隊のアイドル時代を象徴する貴重作品なだけに、商品化をぜひ望みたい。
「君だけに」
作詞:康珍化
作曲:筒美京平
編曲:馬飼野康二