お金を貯めるための教科書「LIFE MONEY SENSE」前編

LIFE MONEY SENSE (不確実な未来を生き抜くための8人のお金の話) 資産形成
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こんにちは。妻です。

コロナ禍により小麦や原油などの価格が高騰しましたが、ロシアによるウクライナ侵攻や円安などの影響によって物価がさらに上がりました。
それにより、わたしたちの身の回りにある食品・生活用品・電気などの値上げが行われています。

妻

値上げを受けて「お金に困らないために今やっていることにプラスしてなにかしなくては…」と考えるようになりました。そんな時、本屋さんでこの一冊の本を見つけました。

それが今回紹介する『LIFE MONEY SENSE (不確実な未来を生き抜くための8人のお金の話)』です。

本書は、クレア・ライフ・パートナーズという会社を経営している工藤将太郎(くどうしょうたろう)さんが手がけており、8人の事例をもとに先行き不透明な未来を生き抜くための資産形成の知識や考え方・実施といったノウハウが解説されています。

クレア・ライフ・パートナーズ
資産規模や収入、年齢、家族構成を問わず、中長期でしっかりと資産を形成したいと考えている方々に向けて、さまざまな資産形成のサポートを行なっている会社。最大の特徴は一人ひとりに最適なマネープランを作成し、国内・海外問わず多数の投資商品やソリューションから、ベストな解決策をワンストップで提供している点。
妻

今回は8人の事例から3人の悩みをピックアップし、どんな方法で悩みを解決していくのか、見ていきたいと思います!いくつかお金に関する本を読んで最近わかってきたのですが、わたしは実体験をもとに解説している本がより頭に入る傾向にあるようです。

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後編はこちら↓

貯めたお金を投資に回し、更なる資産増へ「LIFE MONEY SENSE」後編
こんにちは。妻です。 今日は『LIFE MONEY SENSE (不確実な未来を生き抜くための8人のお金の話)』の後編です。 前編ではお金に関する3つの悩みをもとに、お金を貯める方法に着目して見ていきました。 簡単におさらいすると、「使途不...

悩み1.将来のお金がとにかく心配!

32歳男性(年収450万円)
28歳女性(年収360万円)
結婚して2年目の夫婦。資産形成に関する知識はほぼ皆無。現在子どもはいないが、将来的に2人くらいほしいと考えている。

最近のさまざまなニュースを見て漠然と不安を抱えていると相談に来た新婚のご夫婦。
こうした将来に不安を抱いている人はとても多いと工藤さんは言います。

このようなお金に対する不安について、クレア・ライフ・パートナーズではまず数値化目標設定を行うことで解消していきます。
具体的な方法としては「ライフプラン(人生のお金計画表)」の作成を行います。

ライフプラン
結婚・出産・教育・マイホーム購入・退職など、人生の中で想定される大きなイベントを考え、そこからお金が必要になるタイミングやその金額を導き出し、把握すること。
妻

ということで、ここからはライフプラン作成の基本となる5つのSTEPを1つずつ見ていきます。

ライフプラン作成STEP1.現在の資産状況を把握する

そもそも、現在の資産状況を正しく把握しなければ、目的達成までの道のりを正しく描くことができません。

妻

こんなの当たり前じゃないか!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、自分や家族の資産状況を把握できていないという方は意外と多いそうです…

今回相談があったご夫婦もお互いの手取りは把握していましたが、それ以外の金額は明確に把握していないことがわかりました。
お互いの資産状況を洗い出した結果がこちら。

新婚夫婦の毎月の支出額と資産額〈Before〉

LIFE MONEY SENSE (不確実な未来を生き抜くための8人のお金の話) よりまとめたもの

妻

このご夫婦、「資産形成に関する知識はほぼ皆無」とのことでしたが、収入の20%ほどは将来対策費用に充てているかつiDeCoやつみたてNISAもやられていて、家計の見直しをする前のわたしよりちゃんとしています。

クレア・ライフ・パートナーズでは、資産状況を洗い出した後に必ず「どういった目的で運用を始めたのか?」と質問しています。
質問に対するご夫婦の返答は「つみたてNISAとiDeCoはいろいろなところでオススメされていたから」「保険は一応将来のリスク対策として」といったものでした。
具体的にいつ使うお金のために運用しているか不透明なことが見えてきました。

このように、資産状況を把握することで、本当に必要なお金の使い方なのかを確認することができます。

ライフプラン作成STEP2.目的を明確化する

ここでは、現段階で考えている将来プランを見える化していきます。

例えば、以下のような形で「収入の変化」「支出の変化」の2軸で見ていきます。

  • 働き方について
    現職を続けるのか、転職するのか、独立するのか、結婚後は在職するのか・退職するのか など
  • 子どもについて
    何人ほしいのか、公立に入れたいのか私立に入れたいのか、私立に入れる場合は何歳から進学させたいのか など
  • 住宅について
    マイホームを購入するか・賃貸物件に住み続けるのか、マイホームの場合は何年後にいくらの物件を買いたいのか など
妻

他にも、車を持っている・年に1回は旅行に行くなど、決まっている出費があれば年間どれくらいかかるか明確にしておくのがベストです。

目的が見えてきたら、次のステップに移ります。

ライフプラン作成STEP3.目的に必要なお金を数値化する

ここでは、目的を実現するために必要なお金を数値化していきます。

今回相談があったご夫婦の場合、将来のお金に対して漠然とした不安を抱いていました。そこで「99歳まで生きる」という過程を立て、支出額を具体化していきます。

生活費

  • 32歳から…20.5万円/月
  • 36歳から…23.5万円/月
  • 55歳から…20.5万円/月
  • 65歳から…18.0万円/月

住宅関連

  • マイホームを5年後(ご主人が37歳のとき)に購入
  • 購入予定価格…5,000万円
  • 年間の維持費(管理費、修繕積立金、固定資産税)…30万円
  • 頭金…500万円
  • 借入期間…35年、金利1%

教育費

  • お子さまは2年後に1人目、その2年後に2人目を希望
  • 2人とも幼稚園、小中高は公立。大学は1人目が私立文系、2人目が私立理系。2人とも賃貸でひとり暮らしをさせて、結婚したら100万円のお祝い金を渡したい
    → すべて合わせてお子さま1人当たり1,789万円
妻

住宅関連と教育費めっちゃ具体的!となったあなたへ、この2項目については必要条件を入力するだけで毎月の支出額がわかるシミュレーションサイトがあるとのことなので、ご安心ください。

このような形で、支出と収入を数値化していきます。

ライフプラン作成STEP4.リスク許容度と資産状況、時間軸などから目的が実現可能か判断する

ここまで終われば、あとは実践するための投資商品を選ぶことになりますが、その前にリスクと感じることリスク許容度を把握する必要があります。

資産運用の方法を考える際、「お金が一時的にでも減ること」をリスクに感じる人もいれば、「流動性が低い(現金化しにくい)こと」をリスクに感じる人もいます。
また、緊急予備資金は「10万円あれば大丈夫」と思う人もいれば、「500万円あっても不安」という人もいます。
なにをリスクと感じるのか、どれくらいリスクを許容できるのかは人それぞれ異なるため、ここで明確にし、描いたライフプランが実現可能なのかを改めて判断していきます。

このご夫婦の場合、現時点で考えている理想の生活を送ろうとすると、ご主人が69歳になった時点で金融資産がマイナスになることが判明しました。

ライフプラン作成STEP5.目標設定・資金・リスクを見直し、資産運用方法を検討・決定する

相談してきたご夫婦の状況を整理すると、現時点のライフプランでは理想的な将来を送ることが難しいことがわかりました。そのため、なんらかの対策を打つ必要があります。

その対策とは、ズバリ以下の3つに集約されます。

  1. 無駄遣いを減らす(支出を減らす)
  2. 資産運用をする(収入を増やす)
  3. 目的達成のハードルを下げる・優先順位の低いものをあきらめる

1.は家計簿をつけることで支出と収入の見える化を行います。
2.は目標金額を達成するために「毎月いくら積み立てれば良いか」「目標達成に何年かかるのか」「何年間運用できるのか」などを見て、どのように資産運用を行うか検討していきます。

妻

資産運用と聞いて、株や投資信託を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、工藤さんはこう言われています。

資産を形成する手段というのは、なにも株式や投資信託、FXだけを指すのではありません。
いまだに多くの人は、「資産形成」や「資産運用」と聞くと「株とかFXのことか」「投資信託の積み立てのことか」などと考えるようです。
<中略>
しかし、金融資産や実物資産はさまざまな種類があり、その人の目的・目標やリスク許容度によって、選ぶべき商品は大きく変わります。資産形成においては、1つのジャンルの商品に集中的に投資するのではなく、異なる性質を持つ多様な資産への分散(多様分散)の考え方が重要だと私たちは考えています(この点についてはいろいろな考え方がありますので、他の書籍や情報も参考にしてみてください)。

3.は作成したライフプランの中で「これだったら調整できる」という項目にかかるお金を減らしていき、ライフプランが黒字を維持できるまで修正を繰り返していきます。

相談されているご夫婦の場合は、マイホームの価格を下げるもしくは頭金を増やす、子どもの進学先を私立ではなく公立に変えるなどして教育費を下げるといった選択が挙げられます。

修正を繰り返すことで、ライフプランが以下の形に変わりました。

新婚夫婦の毎月の支出額と資産額〈After〉

LIFE MONEY SENSE (不確実な未来を生き抜くための8人のお金の話) よりまとめたもの

BeforeとAfterの違いは

  • Beforeでは生命保険に2つ加入していたが、奥さまの医療保険とご主人の死亡保険を就業不能保険に統一
  • iDeCoは原則60歳まで引き出しができず流動性(お金が必要となったときにすぐ引き出せるか)が低いため、2万円から1万円に減額
  • 老後の収入源として、また団体信用生命保険も付けられるため、長期投資の観点で国内不動産を1戸購入。年5万円程度の固定資産税、運用資金として月1万円の持ち出し

また、954万円ある資産のうち、約700万円の銀行預金と80万円の保険を分配することにしました。

  • 緊急
    普通預金(某銀行:金利0.1%):300万円
  • 中期
    ファンドラップ(流動性を確保しながら余剰資金の効率的な運用を実施):250万円
    海外不動産(米国):110万円
    ウイスキーカスク:70万円(5〜10年くらいを1サイクルに資本増強をめざす)
  • 長期
    国内不動産:50万円(初期費用)

ちなみにこの分配は「資産とリスクのバランスをよくするため」ではなく、「設定したライフプランを実現するという最大の目的を果たすため」に行なっています。

妻

なんとなく不安を抱えている場合は、このご夫婦のようにライフプランの作成を行うことで不安を解消できるわけですね…!わたしたち夫婦は○歳でいくら貯まればという目標はありますが、このような形で算出はしていないので、改めて夫と話し合ってみようと思います…!

悩み2.なぜかお金が貯まらない!

27歳女性(年収400万円)
都内で一人暮らし、結婚する予定はない。趣味は旅行で、年に1回は有給を使って韓国やハワイに行っている。銀行預金は50万で特に無駄遣いをしているわけではないのに、なぜかお金が貯まらないと悩んでいる。

同じ年代の女性と比べて年収も多いはずなのに、毎月の生活はギリギリで貯金もほぼないと語る一人暮らしの女性。
今回のように、貯金が少なかったりゼロという20代は相当な割合、存在するそうです。

妻

ちなみにわたしも20代は貯金ゼロどころかむしろマイナスでした…

ではなぜ、お金を貯められない人が多いのでしょうか?
コロナショックも原因の一つではありますが、そもそもお金の使い方や貯め方・増やし方の基礎知識を知らないという要因が大きいように思えると工藤さんは言います。

ということで、ここではお金をもっと貯めていきたい人にぜひご理解いただきた3つのポイントをしていきます。

ポイント1.家計簿をつけて使途不明金を把握

なぜかお金が貯まらないという人は、自分が想像している以上にお金を使っているというケースが非常に多いそうです。
例えば、このようなケースが挙げられます。

  • 食費は月4万円くらい
    → 実際は10万円
  • 飲み会は月2回くらい
    → 実際は月3回以上
  • 服や化粧品はそれぞれ2ヶ月に1回買うくらい
    → 実際は毎月買っている

この○○くらいという曖昧な認識が、自分が使っているお金を正しく把握できない原因になります。
このような自覚していない、あるいは記憶にない支出のことをクレア・ライフ・パートナーズでは「使途不明金」と呼んでいます。

この使途不明金を把握するには、家計簿をつけることで把握することができます。
家計簿をつけると聞くと、面倒くさそう…と思う方も多いと思いますが、工藤さんは「なにに」「いくら」使ったか記録するだけでOKと言います。

妻

最近ではレシートを読み込んだり、銀行口座やクレジットカードと連携して自動で記録してくれる便利な家計簿アプリもあるので、昔より継続しやすくなっているはず…!

とはいっても、家計簿は続かないんだよね…という方もいらっしゃると思います。工藤さんはまず頑張って1ヶ月続けることをオススメしています。
また、就寝前や通勤時間中など家計簿をつけるタイミングを決めておくと、漏れやつけ忘れがなくなります。

今回相談されている一人暮らしの女性も「食費は月4万円くらい」と認識していましたが、実際はコンビニや自販機を使っていることもあり5万円使っていることがわかりました。また、交際費や娯楽費も合わせると、計7万円の使途不明金が見つかったそうです。

ポイント2.「消費」「浪費」「投資」の違いを知ろう

家計簿をつけて家計を見直していくにあたり、少しでもお金を残したいからと「なんでも節約しよう!」と極端に考えてしまう方も出てきます。
確かに無駄遣いをなくすことは大事ですが、支出の中には「削ってはいけない出費」があると工藤さんは言います。

例えば、「毎日カフェに行ってコーヒーを飲む」、これは無駄使いでしょうか?必要な出費でしょうか?
「コーヒーを飲みたいからカフェに行く」のであれば、自宅でコーヒーを淹れる形に変えれば節約できますし、「仕事前にカフェに行くことでモチベーションを上げる」のが目的で通っているのであれば、節約のためにカフェ通いを我慢すると仕事や日常生活に支障をきたす可能性があります。
そのため、正解は人によって異なります。

この支出が無駄遣いなのか否かは当然、自分で判断する必要があります。判断する基準の1つとして「消費」「浪費」「投資」の考え方を知ることが重要とされています。

  • 消費
    生活をするために必要な支出のこと。
    例)日々の食料品、光熱費、スマホ代、家賃 など
  • 浪費
    無駄な支出(無駄使い)のこと。
    例)ギャンブル、サービスを利用していないのにかかっている月・年会費、頻繁な飲み会、必要以上の贅沢 など
  • 投資
    将来必要または役に立つ出費で自分にプラスとなる支出のこと。
    例)積立投資、貯蓄、スキルアップのための勉強代、書籍代 など

無駄遣いを削減するには、この3つの考え方に基づいて自分にとっての「浪費」を正しく理解することが大切になります。
また、使途不明金の発生を抑えるべく、「投資」になる支出はあらかじめ予算を設定しておくのもポイントです。

ちなみに、今回の一人暮らしの女性の収支はこんな感じでした。

一人暮らし女性の毎月の支出額と資産額〈Before〉

LIFE MONEY SENSE (不確実な未来を生き抜くための8人のお金の話) よりまとめたもの

毎月残るお金は4000円で、年間収支はマイナス4万円。年間残るお金は8000円(月換算だと667円)、つまりこれが貯蓄可能額ということになります。お金が貯まらないというのも納得の数字です。

将来のことを考え、支出を下げて貯蓄や投資に回せる財源を作っていく必要があります。

一人暮らしの女性は家計簿をつけることで、「削る部分」と「削れない部分」が見えてきました。それにより、最終的な収支はこう変わりました。

一人暮らし女性の毎月の支出額と資産額〈After〉

LIFE MONEY SENSE (不確実な未来を生き抜くための8人のお金の話) よりまとめたもの

BeforeとAfterの違いは

  • 食費はコンビニや自販機、デリバリーや外食の利用を減らすことで毎月5万円から3万5000円に減額
  • カフェ利用は仕事へのモチベーションを上げるという目的で「自己投資」に区分。投資になる支出をあらかじめ予算取りし、1回の利用額380円×出勤回数22日=8360円として計上
  • 通信費8000円を格安SIMに変えることで3000円に
  • 趣味・娯楽費は利用していないサブスクの解約などにより1万円に

生活面での月額支出は23万1000円から18万9360円に下がり、収支がプラス4万1640円と大幅に改善されました。

ポイント3.多機能商品を活用し、分散投資効果を狙う

ポイント2.で最終的に生まれた毎月約4万円で、将来対策の準備を行なっています。

まず保険ですが、生命保険で毎月5000円の支払いから変額保険の1万円に変更しています。

変額保険
補償を確保しつつ株式や債券を中心に資産を運用し、運用実績によって保険金や解約返戻金が発生する保険。解約返戻金が変動する代わりに保険料が安い。

変額保険はさまざまなメリットがある一方、現金化しにくい(流動性が低い)というデメリットもあります。
今回の一人暮らしの女性の場合は、いつでも金額が変更できて必要な時に売却して手元に資金化できる投資信託積立でバランスを調整し、一旦毎月1万5000円の投資で実施していきます。

最後に、一括での投資が難しいぶん借入で資産形成をすることが可能な方法として、都内の中古ワンルーム物件を1戸購入することを選びました。
将来の年金対策が目的になりますが、確定申告をすることで経費を計上するため、年間所得を下げる効果があるそうです。

この3つの投資を差し引いても毎月2万5640円の貯蓄が可能になりました。

ここで重要なのが、以前と異なり変額保険と国内不動産と投資信託積立によって、リスクを分散している点です。3つの商品の共通点は、大きなお金を持っていなくても、時間をかけて資産を着実に形成できる方法だという点です。20代、30代から実行したいものの代表商品だと私たちは考えています。
<中略>
さらに付け加えると、この状態で5年、10年としっかり資産形成していくことで、複利効果によって資産規模が加速度的に大きくなります。

妻

貯蓄がなくても使途不明金を把握し、消費・浪費・投資を理解し、うまく商品をうまく組み合わせることで、これだけの改善ができるんですね…!家計簿をつけてはいますが、消費・浪費・投資がごちゃごちゃしている部分があるため、もう少し整理したいと思います…!

悩み3.1000万円を3年間で貯めたい!

33歳男性(SE職・年収800万円)
SE職。お金に困ることはなく、預金額300万円あり。長年付き合っている彼女と結婚予定があり、これを機に資産形成にトライしたいと考えている。

「いま付き合っている彼女と3年後に結婚したいので、資産を1000万円に増やしたい」という目標を持つ33歳男性。
投資経験はゼロで、毎月の収支は赤字。この赤字は賞与で補填している状態が続いているとのこと。

300万円の元手で目標の1000万円を達成するには、単純計算で3年という短期間で700万円という大金を増やす必要があります。
工藤さん曰く、投資の経験が少ない人ほど「資産運用すれば、あっという間にお金が増える!」と思い込んでいる傾向にあるそうです。

ということで、ここではまず「資産を増やす=投資」だけではないということを理解していくところから始めます。

妻

改めて内容を整理していきましょう。

「3年で300万円を1000万円に増やす」には、3年連続で49%の利回り(複利)が必要になります。
ちなみに、投資信託の年間利回りは3〜10%と言われているため、この49%がいかに高い数字かがわかるかと思います。

では「別の手段で手元のお金を増やし、それを投資の資金に回す」とどうでしょうか。
年間利回りが49%を下回っていても、300万円を超える金額を投資するため3年間で1000万円を増やせる可能性があります。
この別の手段とはズバリ支出を減らすことだと工藤さんは言います。

工藤さん曰く、そもそも手元のお金を増やすための方法は収入を増やす支出を減らす、この2つしかないのだそうです。

  • 収入を増やす(=攻めの手段)
    例)昇給・キャリアアップ・転職、副業・バイト、投資などによる収入 など
  • 支出を減らす(=守りの手段)
    例)無駄遣いをなくす、保険料の見直し、通信費の見直し、税金を安くする など

「収入を増やす」にはどの方法を取ってもお金を増やすには時間がかかりますし、自分の力だけではどうにもできない部分もあります。
一方、「支出を減らす」にはいますぐ自分の力で実践できるものが多くあります。
すなわち、よりたくさん働いたり投資したりするよりも、支出の無駄をなくすほうが、はるかにコントロールが利きやすいと工藤さんは言います。

妻

では具体的に支出の無駄をなくすにはどうすればいいのでしょうか?ここでは3つのステップにわけて見ていきましょう。

STEP1.家計簿をつけて使途不明金を把握する

先ほどの1人暮らしの女性のケースでも出た内容になりますが、何をするにも収支をきちんと把握し、無駄な消費や浪費を徹底的に削ることが第一です。

こちらの男性の場合、飲み会が非常に多く、レシートが出ないため支出額を正確に把握できていませんでした。そこで家計簿をつけてみると、本人は「飲み会で使っている金額は月5万円くらい」と思っていたのが、実際は約10万円と5万もの差がありました。
また、コンビニでの買いものやスマホアプリの課金での出費も多いことがわかりました。

STEP2.福利厚生の仕組みを理解・チェックして、保障/補償されない範囲の保険にだけ加入する

わたしたちがすでに持っている会社員としての権利を正しく把握することで、無駄な支出を抑えることにつながる可能性があるそうです。

そもそも福利厚生とは、給与や賞与といった基本的な労働対価にくわえて、企業が従業員に提供する給料以外の報酬やサービスの総称を指します。

福利厚生にもさまざまな種類があり、大きく分けて法定福利法定外福利の2種類があります。

  • 法定福利
    法律によって「企業の費用負担で従業員に提供しなければならない」と義務付けられているもの。
    社会保険(雇用保険、健康保険、介護保険、労災保険、厚生年金保険)、子ども・子育て拠出金(旧:児童手当拠出金)の6種類が該当する。
  • 法定外福利
    法律で義務付けられたものではなく、企業が独自で定めるもの。
    内容は企業によって大きく異なり、住宅手当(家賃補助)や通勤手当(交通費)、休暇(慶弔休暇、夏季特別休暇)、健康診断の補助、社員旅行の実施など多岐にわたる。

つまり、法定福利はどの企業も同じ、法定外福利は企業ごとに大きく異なるのがポイントです。

仕組みがわかったところで、次は自身が務める会社にどういった福利厚生制度があるのかを調べていきます。

具体的には次の項目をチェックすることを工藤さんは推奨しています。

  • 死亡弔慰金
    従業員が死亡したときに遺族に支給されるお金のことで、従業員の家族が死亡した場合に、本人に支払われる場合もあり。
    仮に死亡弔慰金を1500万円もらえる会社に勤めていれば、「1500万円の死亡補償を持っていること」と同じなため、民間の死亡保険に加入する場合は1500万円の保障で足りない部分の保障分のみ保険に入ればOK。
  • GLTD(団体長期障害所得保障保険)
    従業員が在職中に病気やケガなどにより就労不能になったときの収入減を、長期間にわたって補償してくれる損害保険を活用した福利厚生制度。
    仮に就労不能になった際、基本的には健康保険の傷病手当金や国からの障害年金を受給することになるが、多くの場合はこの補償のみでは給与水準を下回ってしまうため、補填しきれない収入の不足分をGLTDで補う。
  • 団体傷害保険、グループ保険
    加入している団体(企業グループ)の従業員であれば、団体割引で保険料が安くなる制度。
  • 退職金
    受け取り方によって「退職一時金制度(退職時に一括して退職金を受け取る制度)」と「退職年金制度(退職後に複数回にわたり年金という形で退職金を受け取る制度)」に分けられる。
  • 財形貯蓄
    企業が従業員の給与から毎月一定額を天引きし、金融機関に送金する制度。

これらの制度があるか確認し、同じ目的にお金を支払ってしまうことがないよう、保険を調整していきます。

妻

就職活動や転職活動時、仕事内容や年収で判断しがちですが、こういった福利厚生が充実しているかどうかも確認したうえで決めていきたいですね…!

STEP3.節税する

さらに無駄を減らす部分として、税金にも着目していきます。
工藤さんは以下の節税を考えていくと良いと言います。

所得税、住民税の節税

  • 企業型確定拠出年金へのマッチング拠出(会社が拠出する掛金にくわえて、加入者本人が掛金を上乗せして拠出すること)やiDeCoなどによる所得控除
  • 不動産投資での節税
  • 住宅ローン控除
  • 生命保険料の保険料控除
  • ふるさと納税、医療費控除

資産運用収入の節税

  • NISA、つみたてNISAなどの利益の非課税
  • iDeCoや企業型確定拠出年金による利益分への課税の繰り延べ
  • 生命保険の資産運用効果を使った非課税での現金引き出し

ではここまでで33歳男性の収支はどのように改善されたのか、「3年で300万円を1000万円に増やす」目標は実現できそうなのか、見ていきましょう。

33歳男性の資産

LIFE MONEY SENSE (不確実な未来を生き抜くための8人のお金の話) よりまとめたもの

結果、1000万円という数字には満たなかったものの、目標額にはほぼ達することができました。

「資産運用」と「資産形成」を混同している人も多いのですが、実はこの2つは、意味が異なります。「資産運用」は「投資」が前提ですが、「資産形成」は運用だけでなく「支出削減」も含まれます。
<中略>
資産を築きたいなら、「運用」よりも「支出削減」から行なうというのは、非常に有用なセオリーなのです。

妻

「支出を減らす」ことや「収入を増やす」ことの大切さは他の本でもたびたび言われていることですが、福利厚生の面から支出を減らすことができるという点が新たな気づきでした…!しかもこの男性、見直しにより目標達成まであと一歩まで来ている…!わたしも早速、明日のお昼休憩にでも福利厚生について調べたいと思います!

「不確実な未来を生き抜くため」に不可欠なこと

ということで、今日は『LIFE MONEY SENSE (不確実な未来を生き抜くための8人のお金の話)』より、3人のお悩みと解決方法について取り上げていきました。

本書には残り5人のお悩みがありますが、その中でわたしが学んだことは「株式という1つの金融資産に投資している状態は本当の意味での分散投資ではない」という点でした。

そのことについて触れたかったのですが、今回長くなってしまったので、次回書いていきたいと思います。

妻

ちなみに、後編では「分散投資の本質」と「さまざまな投資」について紹介していく予定です。

後編はこちら↓

貯めたお金を投資に回し、更なる資産増へ「LIFE MONEY SENSE」後編
こんにちは。妻です。 今日は『LIFE MONEY SENSE (不確実な未来を生き抜くための8人のお金の話)』の後編です。 前編ではお金に関する3つの悩みをもとに、お金を貯める方法に着目して見ていきました。 簡単におさらいすると、「使途不...

日本は昔であれば「国」が国民の面倒を見てくれる時代でした。しかし戦後から、国は「企業」に国民の老後についての責任を持たせるようになりました。そして今では、企業から「個人」に資産運用や老後のリスクが回っています。

時代の変化により、国や会社に頼れないからと自力でお金を増やしていかなければ…と考える人は多くいらっしゃるかと思います。しかし、現在持っている貯蓄や投資商品でさえどうなるかわからない時代です。

本書では、ずっと安心して暮らしていくために「自分でお金の最適解を選択できる感性」「それにむかって行動できる力」が必要と書かれています。

私たちはこれらを「ライフマネーセンス」と呼んでいます。
本書の最大の目的は、読者のみなさんに、「不確実ないま」も「ずっと先の未来」でも笑顔で過ごしていただける「ライフマネーセンス」を習得していただくことです。

妻

本書を読んで、お金の不安に対して何をすればいいかわからない、けどなんとかしなければと思っている方が多いということを改めて知ることができました。どんな時代になっても生きていけるよう、ライフマネーセンスを身につけていきたいと思います!

ではまた。

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