マリの朗読と作詞作曲

古典や小説などの朗読と自作曲を紹介するブログです。
写真やイラストはフリー素材を拝借しています。

草枕(夏目漱石)

2021年11月22日 | 小説の朗読

 

 

夏目漱石の「草枕」の冒頭は有名で

よく暗唱などもされるが、どうせなら

「あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、

人の心を豊かにするが故に尊とい。」

までが読まれることを願う。

そうしないと、

一番大切な部分が欠けてしまうかと。

 

草枕(夏目漱石)

 

草枕 (夏目漱石作)

 山路を登りながら、こう考えた。    

 智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。

意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

 住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。

どこへ越しても住みにくいと悟った時、

詩が生れて、画が出来る。

 人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。 

やはり向う三軒両隣りにちらちらするただの人である。

ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、

越す国はあるまい。

あれば人でなしの国へ行くばかりだ。

人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。 

 越す事のならぬ世が住みにくければ、

住みにくい所をどれほどか、寛容て、束の間の命を、

束の間でも住みよくせねばならぬ。

ここに詩人という天職が出来て、

ここに画家という使命が降る。

あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、

人の心を豊かにするが故に尊とい。

 

 



最新の画像もっと見る