Avocadoの投資・トレード日記

資金250万円からの投資・トレードの記録です。日々の成長を記録します。

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レバレッジ下のロングとショートの非対称性…現物株とレバレッジETFとVXXとオプション

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個別株を始めた時、私は現物を買うということしか知りませんでした。

「ロング」という言葉も、FXやCFDを知ってから、

徐々になじんでいった言葉でした。

ショートは「空売り」という言葉によって知ることになりました。

 

ロングとショートは反対の概念ではあります。

片方は値上がりに賭け、片方は値下がりに賭けるからです。

だからと言って、対称なのでしょうか?

 

今回はかなり長い記事になりますが、付き合っていただけると幸いです。

 

まずは個別株のレバレッジのかけない状態で、

ロングとショートの性質を整理してみたいと思います。

 

個別株でレバレッジをかけないというのは、

売買代金が資金内に収まっている状態を指します。

現物を買うということはまさにレバレッジをかけていない状態でしょう。

(レバレッジ1倍ということ)

この時、最大損失は資金となり、最大利益は株価が上がる限り青天井となります。

つまり、何も指値や損切を置かなかった場合、

潜在的なリスクリワードの性質は損小利大となります。

 

一方、空売りはどうでしょうか。

レバレッジをかけず、運用資金と同等の株を空売りした場合です。

株がゼロの価値を持った場合、運用資金と同等の利益が手に入ります。

株が2倍になった時、証拠金としての運用資金は損失と相殺され、破産します。

つまり、潜在的なリスクリワードは大きくとも1:1であり、

大利小になりやすいため、勝率が必要とされるということになります。

これが「空売りは現物よりも分が悪い」とされる理由の一つとされます。

(その他、企業価値を向上させ成長している企業に対しても空売りは分が悪くなります。

これは株価がランダムウォークではなく、

長期的にロングバイアスがかかっているためです。)

 

この分の悪い空売りを成功させるにはどうしたらよいでしょうか。

タイミングを見計らい、損切を狭めることで、破産の可能性をなくします。

同時に、狭めた損切幅によって、1取引当たりのリスクリワード比を大きくする

ようにすれば、だいぶ分がよくなります。

ただ、レバレッジが1倍であれば、初期の売買代金が大きく、

たいして株数が大きくならないため、

レバレッジを併用するというのが常套手段になってくるでしょう。

 

このあたりの工夫の違いが、ロングとショートの非対称性と言えます。

 

テールリスクを引き受けた空売りというのがあります。

映画「ダム・マネー」でも取り上げられた、

コロナ流行時のゲーム・ストップ株の急騰です。

個人投資家の現物買い、コール買いにより、

株を大きく空売りしていたヘッジファンドは買い戻しを余儀なくされ大損し、

大きなショートスクイーズが発生しました。

 

この場合、レバレッジというよりは浮動株以上の株を売っていた

ネイキッドショートセリングによるものでしたが、

ショートはその仕方によって破滅のリスクを持っているというのは、

忘れずにいたほうがよいでしょう。

価値が0に近づくものに対するショート」は、

この記事でも何回か現れます。

 

dumbmoney.jp

 

レバレッジというのは、いくつか種類があります。

売買代金と運用資金全体の比率、売買代金と証拠金の比率、

原資産価格とオプション価格の比率、価格変動に対する倍率などです。

 

レバナスなどは価格変動に対する倍率にレバレッジがかかっています。

したがって、

現物で買って売買代金と運用資金全体の比率によるレバレッジは1倍であっても、

価格変動に対するレバレッジ倍率はおおよそ2や3倍となるのです。

この場合、大きな損失を出しても、借金は原理的に発生しません。

しませんが、決してデメリットなくレバレッジを享受できるわけではありません。

一般に価格がx%下落した場合、価格は1-0.01*x倍となります。

元の価格に戻るためには1/(1-0.01*x)倍になる必要があり、

(1/(1-0.01*x)-1)/100%のリターンが必要です。

 

難しく書きましたが、

例えば、10%下落したら価格は0.9倍になり、

元の価格に戻るためには、1/0.9≒1.11倍になる必要があり、

その必要リターンは11%ということです。

 

レバナスの場合、

原資産が10%下落したら、レバナスは20%下落し、価格は0.8倍になり、

元の価格に戻るためには、1/0.8=1.25倍になる必要があり、

その必要リターンは25%となります。

すると、11%と25%を比較すると、25%は11%の2倍以上となることが分かります。

つまり、原資産が11%のリターンを得て元に戻っても、

レバナスは25-11*2=4%分だけまだ損をしているということになります。

 

反対のケースも例示しておきます。

原資産が1日10%上昇したら原資産の価格は1.1倍になり、

元の価格に戻るときは、1/1.1≒0.90909倍になります。

そのリターンは約-9.09%ということです。

このときレバナスは1日で20%上昇し、価格は1.2倍になり、

元の価格に戻るときは、1/1.2=0.83倍になります。

そのリターンは-17%となります。

すると、-9.09%と-17%を比較すると、

絶対値で-17%は-9.09%の2倍以下となることが分かります。

つまり、原資産が1日で-9.09%で元の価格に戻った時、

レバナスは2倍の-18.18%のリターンになりますから、

18.18%-17%=1.18%分だけ、レバナスは元の価格より減ってしまう

ということになります。

 

少なくない人がこれをレバナスの減価と呼び、

レバナスの欠点だと指摘します。

 

一方、価格が2日間で連騰した場合はどうでしょうか。

原資産が1日目に10%上昇し、2日目にまた10%上昇したとします。

レバナスは1日目に20%上昇し、2日目にまた20%上昇します。

原資産が2日で1.1*1.1=1.21、つまり21%上昇するのに対して、

レバナスは1.2*1.2=1.44。つまり44%上昇します。

すると、レバナスは2日で21%の2倍以上上昇しています。

44-21*2=2%が、レバナスの得られる複利超過リターンなのです。

レバナスを深堀りしたサイトは、

これをレバナスのメリットだと指摘することが少なくありません。

 

反対に、価格が2日間で続落した場合はどうでしょうか。

原資産が1日目に10%下落し、2日目にまた10%下落したとします。

レバナスは1日目に20%下落し、2日目にまた20%下落します。

原資産が2日で0.9*0.9=0.81、つまり19%下落するのに対して、

レバナスは0.8*0.8=0.64、つまり36%下落します。

両者を比較すると、レバナスの下落率は19%の2倍以下、

19*2-36=2%ほど、下落が抑えられているように「見えます」。

この下落耐性は、

売買代金と運用資金全体の比率におけるレバレッジが1であることではなく、

「価格変動に対するレバレッジ」で生じた性質となります。

 

ところで、原資産が19%下落したときに、

元に戻るには23.45%のリターンが必要ですが、

レバナスは56.25%のリターンが必要です。

56.25/23.45≒2.39倍となり、2倍以上ですので、

2日間の続落後、原資産が元に戻るような動きがあった場合でも、

レバナスが元の価格に戻るのは難しいと言えます。

 

上記のレバナスの性質は、

「価格変動に対するレバレッジ」と複利によって生じます。

これ自体に、私はあまり是非の意見を持っていません。

例示で、リターンを大きくしたのは、複利の効果を大きくするためです。

レバナスは「価格変動に対するレバレッジ」がかかっているため、

複利の効果を享受しやすくなります。

したがって、連騰すれば超過リターンを得られます。

 

しかし、「価格変動に対するレバレッジ」がかかっていない原資産でも

ドローダウンが大きいと、元の価格に戻すのは大変になります。

複利で価格が半分になったら、2倍のリターンを得なければならないのです。

そこにレバナスのレバレッジ効果でさらに価値を減らしてしまうと、

いくら「価格変動に対するレバレッジ」が2倍と言っても、

元の価格に戻すのはさらに大変で、

複利の前には屈するしかなくなるわけです。

長期投資でレバナスを扱う場合、ドローダウンに耐えなければなりません。

いったん大きいドローダウンをすると、

原資産保有よりもレバナスのドローダウンは複利の効果で長引くということなのです。

これは長期投資ではかなり致命的な欠点となります。

 

この欠点を取り除くためには、レバナスを短期売買するか、

大きなドローダウンが始まる前に損切りするということです。

資産のあまり大きくない割合を最大損失として、

大きな上昇相場をつかむことができれば、

借金のリスクも無く、価格変動のレバレッジを効かせ、

利益をつかむことができるでしょう。

 

これらの点についてレバナスの是非の議論ではあまり述べられていませんでした。

今回自分の中で考えが整理されたので、アウトプットしました。

 

まとめると、レバナスは「価格変動に対するレバレッジ」がかかった商品でした。

これをロングするというのは、

仮に「売買代金と運用資金全体の比率という意味でのレバレッジ」がかかっていなくても、

通常のロングとは異なる性質が現れてくるということなのです。

 

インバースETFというのもあります。

レバナスと同様の複利効果から減価したり、

超過リターンを発生させます。

また、原資産の株にはロングバイアスもあるため、

インバースETFは長期的に価格が下がりやすく、

インバースETFをショートするというのは、かなりエッジがあります。

ここでも、「減価すると分かっているが急騰もありうる資産をどうショートするか」

という話が出てきます。

 

次にVXXの話です。

VXXはVIX先物の期近から期先へと次々ロールするETFです。

株式市場が下落で恐怖に落ちいった場合、VIX指数は跳ね上がり、

それにつられてVIX先物が跳ね上がり、VXXの価格が跳ね上がるというプロセスです。

このETFは明らかに長期的に大幅減価します。

それはVIX先物の期間構造によるものです。

したがって、ロングは長くて数日程度が関の山です。

ショートはその減価を利益に変えるということ対してエッジがあるように思えます。

エッジというよりも、

なにも起こらなければお金を拾えるレベルの簡単なノウハウです。

 

そうして、VXXショート、つまり実質的なVIX先物のショートが溜まります。

同様の仕組みで、

かつてVIXに関係するETF・ETNにVIX先物のショートポジションが溜まりました。

 

2018年に突発的大規模なショートカバーが起きました。

VIXショックです。

実質的な、VIX先物のショートポジションを持っていた投資家は大きくやられました。

ここでも、

「減価すると分かっているが急騰もありうる資産をどうショートするか」という

ことが関係していました。

 

最後に、オプションの話題です。

かなり複雑な話になってしまうため、

裸買いと裸売りのみに絞って話をしたいと思います。

 

「オプションでレバレッジが1倍」というのはどういう状況でしょうか。

これは、オプションの裸売りで原資産換算の売買代金が運用資金と等しい場合

を指します。

 

例えば、日経225オプションラージ(1,000倍)で1枚裸売りをしていてるとすると、

日経平均が40,000円として40,000,000=四千万円の運用資金を持っていれば、

どれだけ裸売りから損失を出そうとも借金をすることがありません。

これを「レバレッジが1倍」とよく指すことになります。

 

オプションの裸売りは損失無限大と言われますが、

厳密には「原資産換算の売買代金×レバレッジ」が最大損失となるわけです。

これは破産前提の途方もない金額となるため、無限大と恐れられるわけです。

 

(米国株オプションではレバレッジ1倍でプット売りをすることは、

初心者向け手法となっています。

これは米国株オプションの倍率が100倍と少ないこと。

アメリカンオプションのため、オプション売りのプレミアム分だけ、

お得に現物株を保有できる投資手段であることからです。

もちろん大幅下落・倒産しないような銘柄に、

プット売りを仕掛けることが肝要です)

 

このときのレバレッジは「原資産換算の売買代金と運用資金の比率」を指します。

 

また、別のレバレッジの定義を指すこともあります。

原資産より安いオプションで、最大で原資産と同じように変動するという性質に、

レバレッジがかかっていると言えます。

これは、「原資産換算の売買代金と証拠金・オプション価格の比率」を、

レバレッジと指していることになります。

 

最初の話題であった、レバレッジがかかっていない状態での

現物株でのロング、ショートの話を思い出してください。

オプションではロング、ショートの非対称性はどのように現れるのでしょうか。

 

裸買いの場合、現物株のように損失限定、利益は青天井となります。

しかしながら、時間でオプションの価値は減価するという性質が、

裸買いポジションを不利な状況に追い込みます。

ただ、レバレッジがかかっていないため、

最大損失は運用資金に対してそれほど大きくありません。

「価値が0になってもいいから裸買いを保有する」という戦略が取れ、

レバレッジのかかっていないロングの、

本質的な損小利大を引き出すことになります。

現物株と異なるのは、運用資金の大部分はまだ手付かずということです。

望めば、その資金を別の運用に回すことで、レバレッジをかけることができるのです。

 

裸売りの場合、損失は破産、利益はオプションのプレミアムのみとなります。

これはリスクリワードからいうと、「本当に分が悪い」と言わざるを得ません。

現物株のショートでは、損切幅を狭めて設定し、短期売買することで、

リスクリワードを改善することができましたが、

オプションの裸売りは原資産価格ではなくオプションの価格を取引します。

「高い価格では変動のスピードは速く、低い価格では下がるスピードは遅い」値動きを

相手にショートするため、

損切幅を狭めればノイズの価格上昇にやられやすく、

原資産の変動と時間減価による利確幅を大きくすることで、

なんとかリスクリワードを改善できるということになります。

これは「減価すると分かっているが急騰もありうる資産をどうショートするか」

ということが含まれるため、

前の話にあったように、難しいノウハウの下に行う取引行為なのです。

 

レバレッジがかかるとどうでしょうか。

裸買いでは、損失限定とは言え、運用資産に対する損失は大きくなります。

それはどこかで損切をし、損失をコントロールする必要が出てくることを指します。

裸売りでは、ショートの難しさにさらに難しさが加わります。

少しの原資産の逆行がレバレッジにより大幅な逆行となり、

口座を吹き飛ばす可能性が高まります。

 

幸いオプションのリスク管理ツールとして、グリークスがあります。

裸売りをしていたとしても、ガンマリスクに注意をすれば、

急騰によるショートカバーを避けられやすくはなります。

 

ショートの本質上、

リスクリワードをなんとか保ち、

レバレッジをかけた短期売買でなければ分が悪くなる。

かといって、時間が経たなければオプションの価値は減価せず、

裸売りがそこそこの利益になることは少ない…。

ここを突き詰めればオプション売りに必要な思考が身につきそうですが、

簡単には成功できない非常に難しい話だと私は考えます。

また考えてブログ記事にしたいと思います。

 

以上、レバレッジを中心に、ロングとショートの非対称性の話を書いてみました。

投資・トレードではリスク管理ということが前提とされます。

しかし、どうリスク管理するかという時に、

そのポジションがロングかショートかということで本質的に異なるということは、

あまり意識されません。

 

レバレッジがかかり、短期売買になってしまえば、

確かに対称的になる面も多くあります。

ただ、非対称性は値動きに大きく影響を与えています。

ロンガーの恐怖による投げ売り、ショーターのショートスクイーズは、

この非対称性の影響を受けていると思います。

ロング・ショートの非対称性に理解を深めることは、

投資・トレードの役に立つと考えます。