家族の問題について周りに相談しよう【アダルトチルドレン克服】
機能不全の家族で育った方の中には、
「家族の問題について誰かに話したいけれど、周りに話してはいけない気がする。」
「家族の問題について相談すると、親が逆上して酷い目にあわされる気がする。」
「家族の問題について誰かに相談することは、恥ずかしいことだ。」
などと考える人が少なくないのではないでしょうか。
私の場合はそうでした。
自分の家の問題について誰かに相談することは、漏らしてはいけない秘密を暴露するような気になり、なかなか周りの人に相談ができませんでした。
しかし、自分の家族の問題や、自分が抱える問題について相談することは、問題を解決するために重要な方法の一つです。
今回の記事では、なぜアダルトチルドレンは周りに相談ができないのか、相談することにはどのようなメリットがあるのか、そして、どのように相談相手を見つけていけばいいのか、等について私なりの見解を書いていこうと思います。
- なぜアダルトチルドレンは周りに相談ができなくなってしまうのか
- なぜ毒親は自分の家のことを周りに話されたくないのか
- 周りに相談しないとどうなるか
- 相談するためにはどうすればいいか
- 勇気を出して相談をした見返りは必ずある
なぜアダルトチルドレンは周りに相談ができなくなってしまうのか
まず最初に、なぜ私たちアダルトチルドレンは自分の家族の問題について、周りに相談できなくなってしまうのでしょうか。
これにはお決まりのパターンがあります。
それは毒親による真実のねじ曲げです。
真実のねじ曲げについての詳細は過去の記事で記載していますので、よろしければそちらをご参照ください。
簡単に説明すると、私たちアダルトチルドレンは、幼い頃から毒親から以下のようなメッセージを受け取り続けています。
「お前の言うことなんて誰も信じてくれない。」
「お前は間違っている。」
「家のことについて、よその人に言ったら酷い目に遭わせるぞ。」
こういったメッセージを受け取り続けることで、私たちは、
「自分の問題について話すこと = 悪いこと」
というイメージが刷り込まれます。
そしてそれが自分の中の習慣、癖として定着することで周りに助けを求めることができなくなります。
なぜ毒親は自分の家のことを周りに話されたくないのか
では、なぜ毒親は家族の問題について、子どもが話すことを禁じるのでしょうか。
それは簡単な理屈で、いじめっ子がいじめについて先生にチクられるのを恐れるように、毒親も
『毒親自身の抱える問題が外に漏れることを恐れているから。』
です。
さらに、なぜ毒親がそのような行動パターンを身につけたか、というと、
『毒親もまた、その親(つまり私たちにとっての祖父母)から、家族の抱える問題について外に相談できないように支配されてきたから。』
です。
つまり、そのような自滅的な行動パターンが、祖父母から父母へ、父母から私たちへ、代々と受け継がれてきているのです。
そして、その行動の根本に潜んでいるのは恐れの感情です。
ここは私見ですが、おそらく機能不全の家族では、幼少期の愛着形成や健全な人間関係の構築がうまくいかないため、条件付きの愛が与えられ、
「親にとって都合の悪い行動をすること = すなわち、家族の問題を暴露すること = 親から見捨てられる」
などといった思考のパターンがセットされてしまったためではないかと思います。
つまり、私たちアダルトチルドレンにとって、問題を暴露するという行動は、親から見放されるという非常に大きな恐怖を伴う行動であるため、なかなか行動に出せないわけです。
周りに相談しないとどうなるか
では、そんな私たちが、周りに相談できないままでいるとどうなるでしょうか。
周りに相談したり、援助を求めない、というのは、問題を解決する行動を取らない、ということです。
問題を解決せずに蓋をするとどうなるか。
問題は時間経過とともにどんどん大きくなっていきます。
それはこの記事を読んでいただいている方々であれば、これまでの体験からイメージができるのではないでしょうか。
家族の問題について、誰にも打ち明けず、自分の中だけで隠し続けようとした結果どうなったか。
心身の健康を崩してしまうくらい、抱えている問題は大きくなり、私たちを苦しませ続けているのではないでしょうか。
つまり、誰かに相談しない、という行動は私たちを幸せや健全な状態から遠ざける自滅的な行動パターンです。
そのことをよく理解することが大切です。
相談するためにはどうすればいいか
私たちは、非常に大きな恐怖心から、相談するという行動がうまくとることができません。
つまり、私たちが周りに相談できるようになるためには、この「恐怖心」を克服する必要があります。
ここからは、私たちが恐怖心を克服して相談できるようにするためにはどうすればいいか、について書いていきたいと思います。
相談することにはメリットがあることを理解する
私たちが何らかの行動を選択するとき、それは自分にとってその行動をすることのメリットがデメリットを上回っているためです。
無意識かと思いますが、私たちが「相談をしない」という行動をすることにも、実は自分なりのメリットがあるためその行動を自分が選択しているのです。
多くの場合、「相談をしない」ことのメリットは、「親を悲しませない」ためでしょう。
その点について掘り下げて考えてみましょう。
「親を悲しませない」というメリットのために「相談しない」という行動を選択した結果、私たちが得たものは何か。
それは、私たち自身が様々な問題を抱え込むようになった、ということです。
この選択した行動と、得ている結果について考察することは、正しい行動を獲得するために有効な方法だと、私は考えています。
では、私たちが「相談する」という行動を取った時に得られるであろう結果は何でしょうか。
それは、「問題が解決に向かう可能性がある」ということです。
ただし、それは同時に「親を悲しませたり、逆上させたりする可能性がある。」というデメリットも含まれています。
この点についてじっくり考えてみることをお勧めします。
問題が解決する、ということは、私たちが幸せで健全な方向へ進むことができる、ということです。
愛情に溢れた親であれば、自分の子ども達が健全な方向へ向かうことを望んでくれるはずです。
しかし、毒親は別です。
私たちを不幸な方向へ、自滅的な方向へ進ませるように仕向けるのが毒親の典型的なやり口です。
なので、私たちにとって大切なのは、親の都合ではなく、客観的にみてどの行動が自分にとってメリットがあるのか、ということをよく考えて、理解して、自分なりに納得することです。
そのことが次の行動につながります。
このことについて、
アダルト・チルドレン癒しのワークブック 本当の自分を取りもどす16の方法 /西尾和美
によると、
『癒しは、まず心の傷を認めて、それを表現していくことからはじまる。』(p89)
とあります。
また、
『幸いなことに、いったんトラウマがあったことを認め、癒しの作業をはじめると、さまざまな精神的な症状や問題など、よくない状況から抜け出せることが可能ですし、不健全な人間関係を改善することもできるのです。』(p86)
ともあります。
つまり、問題を自分の胸の中だけに隠しておいても、いつまで経っても解決はしません。
信頼できる相手を見つける
相談することのメリットについて理解ができたのであれば、次に信頼できる相手を見つけましょう。
この「信頼できる人を探す」という行動は、私たちアダルトチルドレンにとって重要なポイントです。
なぜなら私たちは、それは私たちが育ってきた環境の中によいモデルがなかったため、健全な人間関係をうまく構築することができず、不健全な人間関係の中で生きている可能性が少なくないからです。
相談相手は非常に大切です。
もし相談相手がうまく解決に導くことができない人で、相談をしてもうまくいかない、という経験を繰り返してしまうと、
「相談しても意味がない。」
という考え方や価値観をより強く持ってしまうかもしれません。
では、どのように信頼できる相談相手を見つけるか、ということですが、これはなかなか難しいことです。
どのような立場にいても、どのような権力を持っていたとしても、信頼できる人もいればそうでない人もいます。
医者だから信頼できる訳ではありません、カウンセラーだから信頼できる訳ではありません。
お金を持っているから信頼できる訳ではありません、権力があるから信頼できる訳ではありません。
例えば、私の地元の精神科医の話をすると、悪気があるのかは分かりませんが、患者を薬漬けにしているような病院もあれば、ほとんど患者の話も聞かず、高額な医療費を請求している病院もあります。
医師自体が精神疾患を抱え、まともにコミュニケーションが取れないような病院もあります。
結局、どの立場にいても、信頼できる人は信頼できますし、そうでない人はそうでない、ということです。
では、どのように信頼できる人を探していくか、という点についてですが、あくまで私見ですが、私の場合は自分の憧れる人にアプローチをかけていく、ということをしました。
理由ですが、私の周りの居心地が良くて話しやすかった人、は私と同じような問題を抱えていることが少なくなかったため、問題解決能力が乏しいケースが多かったように思います。
なので私は、周りから信頼を得ている人の中で、自分もこうなりたい、けれども、話しかけるには少しハードルが高いかも、と感じる方に相談をかけるようにしました。
自分から見て、
「この人は今まで何の問題も無くて、ずっと成功してきたんだろうな。」
と、いう感覚を覚える人です。
ただ、それが必ず当たる、ということはありませんし、自分との相性もあります。
相談相手を見つけることは試行錯誤の繰り返しでうまくなっていくと思いますので、一度失敗しても繰り返し、色んな人にアプローチすることが大切だと思っています。
勇気を持って相談する
信頼できる相手を見つけたのならば、あとは勇気を持って相談することです。
私たちが相談できない根本的な原因が、毒親から植え付けられた「恐怖心」にあるので、この「勇気を出す」というプロセスが一番ハードルが高いはずです。
この勇気を出す、という感覚は人それぞれでしょうし、なかなかやり方、というのを伝えるのは難しく感じていますが、私なりの勇気の出し方は、
「考えずに飛び込む」
「相談せざるを得ない状況に自分を追い込む」
といった感覚でしょうか。
例えば「どうすればうまく話しかけて、話題を誘導して、自分の相談の話しへ持っていくか」なんて筋書きを考えても勇気は出ません。
悩むという行動はとどのつまり恐怖が根っこにあると私は考えるからです。
なので、勇気を出すためには思考を振り払って後先考えずに行動することであったり、2人で食事に行く場を設定する、など、やらざるを得ない状況に自分を追い込むことしかないのかな、と私は考えています。
どうしても恐怖心が振り払えず、勇気が出せない人へ
行動するためには「恐怖心」を振り払って勇気を持って行動するしかありません。
しかし、どうしても恐怖心が振り払えず、行動ができない方もいるかもしれません。
そのような方の原因の一つとして、体質的な問題が考えられます。
「勇気が出せない = 臆病者」
と性格のせいにしてしまうことがあるかもしれませんが、脳のセロトニン系の物質の調整がうまくいかず、不安や恐怖を人以上に過敏に感じてしまうケースもあります。
それは性格ではなく器質的な問題です。
つまり、臆病なのではなく、脳の構造上どうしても恐怖心を取り除くことが難しい場合もあります。
私の場合がそうでした。
そういった場合に、心療内科で処方される薬によって、不安や恐怖を抑え、ポジティブな行動を出しやすくする方法があります。
その点について、私が心療内科で薬物療法を開始して話を過去の記事で掲載しましたので、よろしければそちらの記事もご参照ください。
勇気を出して相談をした見返りは必ずある
アダルト・チルドレン癒しのワークブック 本当の自分を取りもどす16の方法 /西尾和美
によると、
『誰にも言えなかったことを今日はじめて話すのは勇気がいったでしょう。しばらくの間つらいけれど、話し続けることが大切なのよ。たぶん、話し出したら涙が止まらず、底がないような気がして不安になるかもしれないけど、全部吐き出してしまいましょうね。必ず終わりが見えてくるようになりますから、心配せずいまはただ自分の話を語りましょう。あなたは、癒しの第一歩を踏み出したのよ。』(p 93)
とあります。
もし勇気を出して、問題解決に向けて周りに相談することができたのであれば、今まで解決されず自分の中に閉じ込められていた問題が、少しずつ解決の方向へ向かい始めます。
ただし、時間はかかります。
一瞬で全ての問題が一気に解決される魔法のような方法はありません。
けれども、一回の勇気は、確実に自分を良くする方向へ働きます。
私は10数年間近く自分の家族の問題と向き合い続けてきましたが、自分の回復に向けて一番重要だった要素は「勇気である」と考えています。
それくらい勇気を出した見返りは大きいです。
もし今、勇気を出せずに悩んでいる方がおられましたら、この記事を参考に勇気のある一歩を踏み出していただけたら、と思います。