傘の歌 #31

当ページのリンクには広告が含まれています。
傘の短歌

徹夜明け傘をさすには微妙なる雨降る中を茫々とゆく
松木秀『5メートルほどの果てしなさ』

松木秀の第一歌集5メートルほどの果てしなさ(2005年)に収められた一首です。

夜勤を終えた後でしょうか、それとも仕事が終わらず朝までかかってしまったのでしょうか。あるいは、仕事とは関係なく、朝まで遊んでいた後のことでしょうか。その場合、徹夜明けでこれから仕事に向かうのでしょうか。

状況は色々と想像できますが、「徹夜明け」で「雨」が降っている場面です。

この歌のポイントは「傘をさすには微妙なる雨」という部分でしょう。それなりに雨が降っていれば、そして傘をもっていれば、傘を差しながら雨の朝を歩いていくでしょう。

しかし、この朝に降っていたのは「傘をさすには微妙なる雨」だったのです。

どれくらい強く雨が降っていたら傘を差すかは、人によって異なると思います。濡れるのが嫌だから少しでも降っていたら差すという人もいれば、差すのは面倒だから少々の雨くらいでは差さないという人もいるでしょう。

ですから、この「傘をさすには微妙なる雨」に関して、どれくらいの強さの雨だったかというのは、読み手によって、その想像はさまざまだと思います。

主体が、微妙だと感じたのは徹夜明けだったからかもしれません。同じ程度の強さの雨でも、状況が違えば、傘を差した方がいいと感じていた可能性はあります。

結句の「茫々とゆく」は、徹夜明けのぼんやりした頭で、はっきりしないままの状態であることを意味しているのだと思います。「茫々」が、傘を差すには微妙な雨であると感じさせているのかもしれません。

主体の置かれた状況、そして主体の思考について、あれこれと想像するのが楽しい一首だと感じます。

雨の朝
雨の朝

♪ みなさまの応援が励みになります ♪


俳句・短歌ランキング

ブログランキング・にほんブログ村へ

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次