2種類の過誤をイメージでとらえる

こんにちは。

今回は統計学の仮説検定における「2種類の過誤」の説明を試みます。

仮説検定では検定統計量に基づいて検定を行いますが、時々間違いを起こすことがあります。間違いには2種類あり、一つを「第一種の過誤」、もう一つを「第二種の過誤」と言います。

第一種の過誤とは帰無仮説が正しいのに帰無仮説を棄却してしまうことをいいます。薬の効果を調べる仮説検定で例えると「本当は薬の効果がないのに薬の効果がある」という検定結果になることです。別名「アルファ・エラー」「偽陽性」ということもあります。

第二種の過誤とは帰無仮説が正しくないのに帰無仮説を採択してしまうことをいいます。先ほどの例を利用すると「本当は薬の効果があるのに薬の効果がない」という検定結果になることです。別名「ベータ・エラー」「偽陰性」ということもあります。

これをグラフで表すとこのようになります。


ここで有意水準をαとすると、このαは第一種の過誤を犯す確率を意味しています。一方で第二種の過誤を犯す確率はαとは別物(帰無仮説の下での分布と対立仮説の下での分布は異なるので注意!)で、βを用います。また、1-βは帰無仮説が正しくないときにしっかりと帰無仮説を棄却する確率を示しており、これを検出力と言います。

αとβはトレードオフの関係にあり、αを小さくするために有意水準を小さくすると、先ほどの図の有意水準の線が右に動きます。するとαは小さくなりますがβは大きくなってしまいます。逆に有意水準を大きくするとαは大きくなりますがβは小さくなります。

代表的な考え方としてネイマン・ピアソンの検定基準というものがあります。片側検定においては有意水準を端に固定して第一種の過誤の確率を固定したうえで、第二種の過誤をできる限り小さくしようという考え方です。

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