白色瞳孔を生じる3疾患 子どもの瞳が白いときは早急な受診を

白色瞳孔という医学用語がありまして、子どもの黒目が白色に見えた場合は要注意です。

出生間もない子から認める場合があり、そのような場合はすぐに眼科を受診しましょう。

目次

白色瞳孔とは?

瞳孔(ひとみ)は本来、黒色に見えます。

黒いのではなく、目の内側から光が発せられていないので、暗く、黒色に「見える」だけです。

白色瞳孔とは、虹彩の間の瞳孔、本来黒く見えるところが、白くなっている状態です。

どういう状態かイラストで示すと以下のようになります。

本来、瞳孔はこのように暗い(黒色)ですが
このように瞳孔が白くなっているのが、白色瞳孔です

白色瞳孔が大切なのは、

重大・重症・緊急な病気が原因である可能性が高いためです。

白色瞳孔とは別に、角膜の周辺部が白くなるものに、老人環があります。若い人でなる若年環の場合は精査したほうがよいですが、老人環は放置でよいです。

白色瞳孔の原因となる病気

白色瞳孔の原因となる病気をあげていきます。

先天白内障

白内障と言うと、基本的には高齢者に多い病気で、歳を取ると全員なる老化現象です。

しかし、子どもも同様に白内障になることがまれにあります。

子どもが白内障になる原因として多いのは、

  • 先天性の全身性の疾患に伴う白内障(知的障害などを伴うことも多い)
  • 白血病その他ステロイドを治療として使ったことによるステロイド白内障
  • 先天白内障(身体は健康であることも多い)

などがあります。

白内障は手術すれば治るでしょ?

はい、白内障自体は治ります

その通りで、白内障は目のレンズの濁りですから、手術で取り除けば治ります。

しかし、子どもの場合は「視力の成長」が非常に大切で治療の緊急性に関わってきます。

子どもの目は、外からの光が目に入ることではっきりと見えるように成長していきます。

子どもの生まれた時期に白内障があると、それにより目に光が入ってきません。

そうすると、視力が成長せず、後に白内障手術をしても、視力が低い弱視の状態になってしまいます。

先天白内障の子どもの白内障手術は、

  • 片目の白内障の場合、生後数日~6週ごろまで
  • 両目の白内障の場合、生後8~12週(2~3か月)ごろまで

に手術をしないと、弱視になる可能性が高くなります。(手術時期については文献により記載が異なりますが、両眼より片眼のほうが緊急であり、いずれにせよ早めの手術が必要。)

弱視になったら、後々視力が上がることはありません。

先天白内障は、緊急性の高い疾患ということです。生まれたばかりの子どもであっても、瞳が白いと思ったらすぐに眼科を受診しましょう。

なお、先天白内障は特発性(他に身体の病気・原因がないもの)が多いですが、全身疾患と合併することもあり、小児科的な異常がないか確認することも大切です。

一方で、大人で白色瞳孔を認める場合は、成熟した白内障である場合が多いです。もともとよく見えていて網膜などに異常がない場合、白内障手術が問題なく終われば見やすく改善する可能性が高いです。(手術難易度は通常の白内障よりも高いです)

網膜芽細胞腫

網膜芽細胞腫は、網膜の悪性腫瘍です。

遺伝子異常によって生じる悪性腫瘍で、RB遺伝子が関与します。

悪性腫瘍であるため、基本的な治療は腫瘍の全摘出です。

網膜芽細胞腫は、目の奥の内部、網膜に腫瘍が存在します。網膜のその一部分だけを確実に取ることはできず、摘出手術の場合は、眼球を丸ごと摘出をする必要があります。眼球摘出後は目がなくなるので、術後は整容面で義眼を装着します。

腫瘍の広がりが小さく、眼球摘出せずに、眼球を温存することができる場合もあります。

その場合は

  • 全身化学療法
  • レーザー治療
  • 冷凍凝固
  • 局所(眼動脈)化学療法

などの治療があります。

しかし網膜芽細胞腫は悪性腫瘍であるため、腫瘍細胞が生きて転移すると命に関わる可能性もあります。

眼科では悪性腫瘍を扱う頻度はかなり少なく、そういう意味では非常に難しい疾患であり、治療方針の決定には専門病院を受診したほうがよいです。(→国立がん研究センターなど)

治療内容や進行例の予後などを含め、重大で重症な疾患です。

網膜剥離

3つ目は網膜剥離です。

網膜剥離も基本的には50-60代に多い、成人の病気です。

早期に治療を受けられれば大きな後遺症なく治る病気でもありますが、時間が経過してしまうと見え方の後遺症(視力が低い、歪んで見えるなど)を残し、さらに長期間放置すると失明し視力の回復は得られない準緊急で重要な病気です。

見え方の異常を感じるため、大人であれば自分で気が付くことが多いですが、小さい子どもの場合「見えにくい」状態がわからなかったり、伝えることができず発見が遅くなります。

白色瞳孔を認める場合、網膜剥離はかなり進行している重症な状態であることが多いです。

白色瞳孔をきたす疾患に、既出のもの以外に

  • コーツ病
  • 未熟児網膜症
  • 家族性滲出性硝子体網膜症(FEVR)

などがありますが、これらは基本的に網膜剥離が生じて進行していないと白色瞳孔にはなりません。

その他の原因

  • 胎生血管系遺残(PFV)
    (第一次硝子体過形成遺残(PHPV))

は水晶体後方に白色の遺残物質が残っていることで白色瞳孔に見えます。

その他の疾患としては、瞳孔ではないですが、角膜の表面が白濁している場合、さらに角膜の中央のみが白濁している場合だとより一層、白色瞳孔のように見えることがあります。

角膜が濁る病気は多数ありますが、子どもの場合はpeters異常などが有名です。

まとめ

  • 白色瞳孔の原因は、①先天白内障、②網膜芽細胞腫、③網膜剥離、④その他
  • 緊急性、重症度の点で、重要な疾患が多い
  • 子どもの瞳が白いときは早めに眼科受診を

子どもの白色瞳孔を認めた場合は、早期の眼科受診を!

本文内で紹介した記事以外に、子どもの目に関する記事を貼っておきますので、ご参考にしてください。

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