今日はマンハッタンのプライド・マーチ。ゲイパパ軍団のグループに混じって彼らやその子供たちとマーチをするはずでしたが、数日前から旦那にまさかのコロナ症状。乗り気な私に比べ、元々あまり楽しみにしている様子ではなかったので、仮病?を疑ったのですが、そのうち私も同じような症状が出てきて二人で検査したら揃って「陽性」!この2年間一度も罹ったことがないのにこの期に及んで感染してしまいました。Dは飛行機で出張してたし、私もオフィスに行って数日前はゲイパパ軍団のハッピアワーにも行ったし(誰もマスクしてなかった)、油断してしまったんですね。

 

私は今のところ鼻水が出るのと喉が少し痛い程度ですが、折角天気もいいのに本当に残念。今日はこの後セクシーなGay Daddiesとその子供たちと一緒にプライドマーチしてるはずだったのですが、3年ぶりのマンハッタンプライド・ウィークエンドは大人しく家で過ごすという急転直下の結末になりました。

 

私たちが参加予定だったグループの様子はこちら。

今年の様子を紹介したかったのですが、今日は時間もできたことですし、コロナ前に参加したときに写真を交えて、実際のプライド当日の様子を紹介します。

 

マンハッタンのマーチは毎回ミッドタウン40丁目あたりから3キロくらい大通りを南下、周辺を完全封鎖して行われます。毎年微妙に会場が変わるのですが大体Stonewall Innという老舗ゲイバーの周辺が終点となります。Stonewall Innは1960年代、地元警察からゲイへの弾圧に対して抗議する暴動が発生し、プライドムーブメントの発祥の地になったLGBTQの歴史的モニュメントで、現在も営業を続けています。普段は週末には若者を中心に賑わうローカルスポットです。

 

Stonewall Innの前でプライドの様子を取材するマスコミ関係者

 

プライドマーチは大抵昼頃から始まります。これは、先頭集団が出発する時間で、2019年のマーチは600以上の団体が参加していて、我々が参加したグループは前から数えて200番目くらいの出発、待機する場所から行進するメインストリートに出たのは午後3時を回っていました。最後の方のグループが出発したのは夕方6時になっていたと聞きました。当日の人出は登録者数では15万人とも言われています。Dと私のように登録しても当日行けない人も結構いるので、実際にはどのくらいマーチするのかわかりませんが、毎年大体数万人が行進するとニュースでは報道しています。結構なカオス状態ですが、待機場で待っている間も実は割と楽しくて、音楽団体やダンスグループなどはパフォーマンスをして他のグループの人たちを楽しませています。あまりにも長い待ちになるとマーチは諦めて帰ってしまう参加者もいます。

 

待機していた路上では、同じくマーチをする地元の鼓笛隊のグループが即興演奏

 

これは別の都市のプライドマーチの参加者案内。待合場所だけでも6−7街区に渡る規模

 

 

各グループに待合場所と出発予定時間が割り当てられますが、我々が参加した時はいつも、予定出発時間より2時間くらい遅れての出発になりました。それでも、いざ出発となり待機場所のサイドストリートからメインストリートに出るとやはりテンションが上がります。前後が音楽のマーチングバンドやダンスグループだったりすると気分も高揚します。私が参加したのは3回とも、お揃いのTシャツを来て小ぶりなレインボーフラッグ振って普通に歩くだけでしたが、本当に楽しい経験でした。見物の観客が多いのは初めの1−2キロで、道の両側は観光客で溢れかえります。これがまた気分をハイにさせます。一度歩き始めるとパレードをする道の両側は柵で閉鎖されてしまっていてパレードから抜けるのは大変です。気温が30度くらいに上がる年もあるので、暑さ対策や水分補給は大切。それと、なかなかトイレに行けないのでトイレが近い人は当日はあまりコーヒーやお茶を飲まない方がいいかもしれません。

 

パレードも中盤に差しかかるとハイテンションもやや覚めてリラックスモードに

 

後で知ったのですが、この自転車の半裸男は有名ポルノスターだそうです

 

各種マーチングバンドもプライド常連参加組

 

沿道が一番盛り上がるのは彼女たちが花魁歩きする時でしょう

 

パレード自体は3−4キロの距離なのですが、途中渋滞が発生して人の流れが滞ったりして終点まで3−4時間くらいかかかります。大勢の観客に囲まれながら歩いている時のは高揚した気分で、終盤に差し掛かり周囲の光景がローカルな感じになる頃には自分はニューヨークの一員なのだという妙な安堵感も心地よい感じです。ゴールはみんなで抱き合って歓喜するとかではなく、意外にあっさりしています。というか、ゴールで人が滞留しないように工夫しているのか、明らかに最終地点とわからないようになっています。それでも、一度、パレード終わったときには夜の10時ごろになっていた年がありましたが、そこから眺めるビル街と夜空は今も忘れられません。

 

日本だと、こういうイベント事が終わったらそのままみんなで居酒屋に直行して打ち上げ、みたいな感じになったりするのですが、ニューヨークでは、あまりグループ行動はなく、意外に歩き終わったあとはあっさりしていて、三々午後、周辺のバーでこの日の余韻に浸る人や、ゲイクラブで盛り上がる人、そして地下鉄の入り口に直行して帰宅する人、それぞれです。

 

沿道からの応援も歩いている人たちの気分を盛り上げます

 

終点近く、Stonewall Innの付近は一際盛り上がる光景です

 

先週、保守寄りに偏っている現在の最高裁判所が50年近く続いてきた「中絶権は憲法の権利である」という判決を覆す判断をしました。よって、保守色の強い州では、妊娠中絶は完全に禁止されるところも出てきます。中絶の権利と同性婚はアメリカを2分するアジェンダであり、権利の拡大を進めるリベラルと伝統的家族的価値観の復古を掲げる保守派でのせめぎ合いが続いています。当然、6人の保守派最高裁判事達の次のターゲットは、全米で認められた同性婚を再び違憲状態に戻すことと言われています。これはゲイカップルにとって死活問題。アメリカのLGBTQコミュニティーの権利は、Stonewall Inn暴動事件が起こった50年以上も前の状態に戻ってしまうのでしょうか。

 

我々のプライド当日は残念な結末になってしまいましたが、今年のパレードはお祭り的様相以外にも人権運動的な盛り上がりも見せることでしょう。