数週間前なんですけど、結構好きな現代美術アーティストのインスタレーションが展示されるということで、ミラノの数少ない観光地、Cimitero Monumentaleに行ってきました。



ミラノの市内にある、歴史的な墓地です。近年、周辺の整備も進み、観光客もふえてきているように感じます。
実は私、ミラノに暮らしてから、20年くらいたってから初めて訪ねたような…。以前は、あまり普通にオープンしてなかったと思うんですよね。イタリアあるある、ミラノあるあるなんですけど、観光地としての整備がされてなくて。
行ってみたら、結構面白かったんですけど、だからって言って、別に通うわけではない場所なんで、人生で二度目かもしれない、笑ニコニコ



結構なスペースに、「モニュメンターレ(=記念碑的な、壮大な、というような意味です)」というだけあって、堂々としたお墓がずらりと並んでいるんです。もちろん、ミラノの一等地みたいな場所ですから、誰でもが眠れるわけではなくて、すっごいお金持ちとか文化人とか、ミラノのいわゆるセレブ御用達の墓所です。今では、おそらくですが、新たにここに墓所を贖うことはできないんじゃないでしょうかね。いや、セレブだったらあり得るのかな。

丹念に見て回ると、誰でもが知っているような有名人のお墓がありますよ。さすがミラノで、企業人系が多いですかね。文化人では、トスカニーニ一家とか。以前訪ねたうろ覚えの記憶に基づいて、この辺だろうと思って行ったけど、全然見つかりませんでした。墓地ですら方向音痴で迷いまくりです泣き笑い



そんな墓地なんで、じめじめした様子は全くなくて、様々な建造物が建つ公園、あ、江戸東京建物園ってありましたけど、あんな雰囲気もあるかも!
というのも、金持ちが、金にあかせてっていうか、趣向を凝らして、それはもう様々な建築様式のお墓がバラバラに混在して建てられているんです。



こういう庶民向け団地式も一部あるんですけれど、メインは、独立したお家型になっていて、家族の人々の棺を並んで収めるってタイプです。
だから、ギリシャからローマ、中世からルネサンス横並びで建っていて、建築技法のデパート状態になってるんですよ。



天使がラッパ吹きまくってますよ、笑。建物素通しだし、この一家は地下に眠っているんですね。



これなどは、私の大好きなロマネスク様式、それもピサ様式ですからねびっくり。まったくすごいもんです。こういう囲まれた建物だと、入り口入ると、棺が並んでいたり、棺を納める戸棚がズラリということになります。素通しガラスの扉から、そういう内部が見えたりもします。お墓の概念がね、相当違いますよね。
いずれにしても、建築を学ぶ人には、とても良い教材だと思います。

今回は、現代美術の展示を見に行ったわけなんですが、展示会場が、入り口から最も遠い場所だったので、こうやって見学をする羽目になりました。
展示会場への道。



すごく奥まった場所で、実は焼き場を展示に使っていたんです驚き
イタリアでは、近年火葬が増えてきていますが、この墓地がバリバリ現役だったころは、まだ少数派だったのではないですかね。それでも、省スペースもあり、火葬場を作ったということと思うのですが、一番奥まった場所にしたということは、やはり心理的なバリアとか、拒否反応とかに配慮したのかもね。



一見、温泉保養地的な、優雅な建物ですが、これが火葬場です。できたのも古そうだし、使用されなくなってからも相当たつようです。
で、ここが展示会場となっていたわけです。



マウリツィオ・カッテランMaurizio Cattelan
ララバイLullaby(Ninna Nanna)1994

カッテランはイタリア北部ベネト出身で、世界レベルで成功している現代アーチストです。ミラノに住むようになってから、現代美術は、各地美術館や、ベネチア・ビエンナーレで鑑賞していますが、割と早い時期から、カッテランの作品を目にすることがあり、あまりに印象的なので、すぐに名前や作品の傾向を覚えてしまった方。



マクラ、ですかね。子守歌というタイトルなので、おそらく。そんなのが積んであって、だから何?って、現代美術になじまない人には面白くもなんともないのかなって思いますけど、1994年の作品であるにも関わらず、今、この混沌とした世の中に訴えるものが大いにあると感じ、アーチストの力を、私は感じました。
そして、この火葬場を選んだということ。

こういう展示って、おそらく相当長い時間をかけて、企画されることだから、ウクライナ情勢なんて当然予想外の話ですよね。いや、ウクライナがなくとも、世界のどこかで、常に人々は戦っているわけだから、戦争っていうのも結局普遍的なものかもしれないけれど…。

彼の作品そのものに対しても、すでにシーンとした気持ちになるんですが、そのインスタレーションの隣に、火葬の、おそらく準備と後始末するスペースが、一部再現されています。



ガラスで仕切られているんですけど、なんか怖い凝視
そして、枕の山の反対側が、実際の窯になっています。
準備室と、窯の間、つまりマクラが積まれている場所には、レールが走っています。



準備室から棺がレールで運ばれて、窯に。



なんか、火葬場なんですけどね。。日本だって、窯があって、その前にお別れしてってそういうスペースだしそれに過ぎないけれど、歴史が入っている分、なんていうか、色々考えちゃいますね真顔。ガス室とかにもイメージ持ってかれちゃうしね。

そんなんで、やっぱり現代美術は面白いなって感じる展示でした。カッテラン、すげえな。

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