書店員のひとり向上委員会

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「さよならドビュッシー」 中山七里

第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞した小説。

(2010年1月22日発行)

 



岬洋介シリーズ」読む順番

  1. 「さよならドビュッシー
  2. 「おやすみラフマニノフ
  3. 「いつまでもショパン
  4. 「どこかでベートーヴェン
  5. 「もういちどベートーヴェン
  6. 「合唱 岬洋介の帰還」
  7. 「おわかれはモーツァルト

 

「さよならドビュッシー」を読む前に、よく知らずに 

「5. もういちどベートーヴェン」を先に読んでしまった。

順番通りではなくても、話が繋がらないことはなく単体でも楽しめました。

 

「もういちどベートーヴェン」を読み終わり

「どうやらシリーズものらしいから、最初から読んでみたい😅」と調べたところ

「さよならドビュッシー」が最初でした。しかも「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しているので

「面白いに間違いないっ!」と読んでみることに📕

 

 

主人公の岬洋介の父親は、人望がある有名な検事正。親の期待に応えるべく、優秀な成績で司法試験に合格。将来を嘱望されていた。

ところが、ずっとやってきた「ピアノが忘れられない」と、司法研修を蹴って、ピアノ講師をしている。

 

中山七里さんの小説の主人公にしてはめずらしく、完全無欠の人格者。

内容は、ミステリーだけど、読んでいて安心感があります。

 

 

ピアニストを目指す女学生、遥の家が火事になり、資産家の祖父と従姉妹が死亡。

次々と不審な事故が相次ぎ「遺産を狙った殺人事件」の疑いが…

 

 

結末は、大どんでん返し。確かによくよく思い起こせば、たくさんの伏線が張られています。

何も考えず読み進めてしまっているためか、唐突に大どんでん返しを喰らってしまう感じ。

 

 

ミステリー要素もさることながら、ピアノのことを全然知らなくてもピアノの世界に浸れます🎹

 

 

 

心に残しておきたいセリフ

スマトラ島沖地震で両親を亡くした遙の従姉妹、ルシアに対しての祖父の言葉。

 

「いつまでも不幸を引き摺るな。その二本の足で立って前を見ろ。悲しい時には泣いてもええ。悔しい時には歯噛みしても構わん。しかし自分の不幸や周りの環境を失敗の言い訳にしたらあかん。前に進むのをやめたらあかん。目の前に塞がるものを恐れて逃げたらあかん。逃げることを覚えると、今度は余計に怖くなる。そやから、頑張れ。不幸とか、世の中の悪意に負けるんやない。世の中の誰にでも、世の中のあらゆる困難にも打ち勝つ唯一無二の方法があるのを知っとるか」

 

「それはな、勝つまでやめない、ちゅうことさ。大抵のことはな、闘い続けていれば勝機が訪れるもんだ。倒されて

も倒されても、その度に立ち上がっていれば、いつか必ず勝てる。いや、勝てないまでも負けることは絶対にない。負けるのはな、闘いをやめた時や。闘いをやめたいと思う自分に負けた時や。いや、全ての闘いは詰まるところ弱い自分との闘いと言っていい。そやから、闘うことをやめたらあかん。立ち上がることをやめたらあかん。」

 

 

中山七里

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