船弁慶/静御前(Shizukagozen)



能楽「船弁慶」より前シテの静御前です。





※船弁慶の詳しいあらすじや解説等については以前に平知盛を描いた「船弁慶」のページで紹介してますので、そちらをご覧ください。


この演目は、『平家物語』や『吾妻鏡』を基にして作られた作品です。

源義経、武蔵坊弁慶、静御前、平知盛と、比較的誰もが知っている歴史上の人物が登場する人気の能演目になります。

前後のシテ(主役)は通常同じ役が多いですが、

この能では前半は白拍子である静御前、後半は平知盛の怨霊という全く異なった役柄で演じられます。

頭には静烏帽子と呼ばれる烏帽子を被り、
中には摺箔すりはくと呼ばれる、刺繍や織物ではなく接着剤により金銀の箔で模様が付けられた装束を着ています。
その上には紅入唐織いろいりからおりという、金銀糸やさまざまの色糸を使った小袖を着付けています。能装束の中でも最も豪華とされています。


唐織は初めて描いたので、描けそうな柄を探し(笑)制作してみました。

とにかく豪華な装束ですが、あまり金やテカリ、朱の表現を近くしようとすると派手に見えすぎてしまう為、花の色を抑えめにしたり、立体感を出すための表現が陰影だけでは表せなかったりと、かなり時間がかかりました。

能面は「孫次郎まごじろう」という面をモデルに描きました。

能の流派の一つである金剛流の流祖につながる、金剛右京久次こんごううきょうひさつぐが若くして亡くなった妻の面影をしのんで打ったとされているそうです。

小面よりも頬が少しだけほっそりしていて、少し年上の女性を感じさせる色気のある面です。

背景は月夜に桜を描きました。


船弁慶前半のあらすじ


平家追討に功績をあげた源義経でしたが、頼朝に疑惑を持たれ、鎌倉方から追われる身となります。

義経は、弁慶や忠実な従者とともに西国へ逃れようと、摂津の国大物の浦へ到着します。

弁慶は義経に、静が女の身で困難な道のりをこれ以上進むことは難しいだろうと、都にかえすよう進言します。

義経が承知するので、弁慶は静のいる別の旅宿に向かい話しますが、静は断り義経に会いにいくといいます。

弁慶は仕方なく静を伴って義経の宿に帰ってきました。

義経は、ここまで健気についてきた静を褒め、都に帰って時節を待てと命じました。

静は弁慶の独断かと疑っていたことを詫び、弁慶も義経と静の別れにもらい泣きをしました。

静は次にお会いできるまで命を惜しみますと涙を流します。

義経は弁慶に命じ静に酌をさせ、別れの酒盛りとなりました。

別れの宴の席で静は白拍子の姿となり舞を舞い、義経の未来を祈り、再会を願いながら、涙にくれて義経を見送るのでした。


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