新規事業の事業計画書とは?ポイントや書き方をステップ毎に解説

出所:macrovector

新規事業の初期段階で通る道が「事業計画書の作成」です。新規事業開発担当のお客様から事業計画書には何を書けばよいかどのように書くと効果的に社内に説明出来るかといったご質問をいただきます。今回は新規事業における事業計画書について、基礎から始め、ポイントや説得力のある書き方をステップ毎に解説していきます。

新規事業開発の課題はありませんか?

  • データを用いた新規事業の効果的な始め方がわからない
  • 新規事業の計画書の書き方が分からない
  • 社内にデータは溜まっているがアイデアを形にできていない

私たち株式会社SCENTBOXはこれらの課題解決に向けたご支援が可能です。ぜひ一度ご相談いただければと思います。

目次

事業計画書とは何か?

事業計画書とは、ビジネスやアイデアの全体像、及び目的を達成するための製品・マーケティング・財務に関する情報を含めたドキュメントのことです。

新規事業を始めるときに作成するもので、また一度作成すれば終わりではなく、ビジネスの成長に合わせてアップデートを続けていきます。

新規事業の立ち上げについてはこちらに詳しく解説がありますのでご参考ください。

新規事業において事業計画書が重要な理由・メリットは

新規事業において事業計画書が重要な理由は何でしょうか?このセクションでは主な3つの理由を紹介します。

①ビジネスの成功可能性を高める

ハーバードビジネスレビューのレポートによると、事業計画を立てている企業は、計画を立てない企業と比べ成功可能性が16%高くなることが分かっています。特に高成長や破壊的なアイデアを志向している企業は計画を立案する傾向が高く、課題が大きいほど「計画」はより有益としています。

②ビジネスがより明確になる

事業計画を立てることで、達成しようとしている目的や目標を明確にすることが出来ます。頭の中で考えていることでも、文章やグラフにしていくことで、自身やチームの中でも疑問点が湧いきます。そうした疑問点を解消していくことで、達成したい目的(売上目標や社会課題の解決など)を明らかにし、それに繋がる方法(測定する数値や目標)も具体化・優先順位付けができます

③必要な資金・承認を獲得する

事業を立ち上げる際、特に社内で新規事業として始める場合は、新規事業を進めるための予算と計画の承認が必要となります。新規事業が企業にとって必要な認識は高まってきていますが、経営層がGO or Not Goの判断をするためには事業の有望性や計画性を見る必要があります。そこで有効となるものが事業計画書であり、ほぼ必須で求められることになります。

新規事業における事業計画書の特徴は?

事業計画書は、既存事業においても推進状況の確認や今後の戦略を明らかにするために用いられています。そうした既存事業の計画書と新しく事業を始める際の事業計画書との大きな違いは、「顧客にニーズがあるかどうかという点です。そもそもどういった課題を解決するための事業なのか、それに対するソリューションや製品にはニーズがあるのか、もしくはそのニーズをどのように検証していくかが新規事業の事業計画書に含める大きな点です。

ニーズについては下記の記事に詳しく記載してありますのでご参考ください。

新規事業の事業計画書にはどのような種類があるか?

新規事業の事業計画書に種類はあるでしょうか?ここではスタートアップでよく用いられるフォーマットと、新規事業部においてよく利用されるフォーマットをご紹介します。

スタートアップでよく利用されるフォーマット(リーンビジネスプラン)

近年スタートアップでは、事業計画書をスリム化し、実行と改善に焦点をあてる傾向があります。そこで利用されているものがリーンビジネスプランです。この事業計画書にはビジネスモデルキャンバスで記載される項目によって構成され、シンプルかつ短時間で作成することを目指します。

リーンビジネスプランに含まれる項目

  • 価値提案:製品やサービスの独自の価値は何か?
  • 主要なパートナー:価値提供に必要なパートナーは誰か?
  • 主要な活動:価値提供に必要なタスクは何か?
  • リソース:資金や人など何が必要か?
  • 顧客セグメント:誰に対して価値提供をするのか?
  • 顧客との関係:どのような顧客支援を行うのか?
  • チャネル:どのような経路で価値を提供するのか?
  • コスト構造:価値を生み出すための掛かるコストは何か?
  • 収益の流れ:価値提供の結果どのように収益を得るのか?

ビジネスモデルキャンバスについて以下の記事をご参考ください。

新規事業部でよく利用されるフォーマット

企業内の新規事業として多くの人の承認を得る必要がある場合は、従来の事業計画書をベースとしたフォーマットが有効です。説明をする相手によってカスタマイズをしていくことにはなりますが、一般的に用いられる事業計画書のフォーマットを用いることによって、上述のリーンビジネスプランとは違い形式の説明を省くことができ、記載項目の過不足があるかのチェックを容易にします。

ここでは、特に新規事業部でよく用いられるフォーマットを紹介します。

新規事業の事業計画書に含まれる項目

  1. 事業の概要
  2. 市場のニーズ
  3. ソリューション(製品・サービス)
  4. ターゲット顧客
  5. 競合
  6. マーケティング戦略
  7. 収益・財務計画
  8. チームのプロフィール

各項目の詳細について次のセクションで解説していきます。

新規事業の計画書を作成するステップは?

事業計画書のステップ
出所: pch.vector

step1.事業の概要

事業計画書の最初のページで事業の概要を伝えます。ここではどのような事業か、なぜそれが成功するのかを完結に記載します。事業ミッション、市場ニーズ、製品概要、チームなどに関する基本情報と資金が必要な場合は財務情報も含めて今回の事業計画書で伝えたいことの大枠を記載します。

つまり、「(今回の事業)は、(○○という課題に対して)、(××という顧客に対して)、(△△というソリューション)を提供するビジネス」ということを説明します。

事業をシンプルな一言で表すことを目指しますが、すぐに腹落ちする文章を作成することは難しいため、この後のステップを作成してから戻ってきてブラッシュアップすることもポイントです。

step2.市場のニーズ

この新規事業で解決する顧客の課題は何でしょうか。ビジネスを行う大きな理由・収益が得ることが出来る理由の一つは、顧客のニーズを満たすことにあります。よって、ここでは解決する課題、ニーズは何かを記載していきます。

  • なぜニーズが発生しているのか:社会的な背景や個人の経験からの考察から想定ニーズが発生している理由を記載する
  • ニーズはどの程度あるのか:ニーズの広さ、深さ、頻度とその根拠を示す

step3.ソリューション(製品・サービス)

顧客に対して何を販売するか、どのサービスを提供するかの説明をします。また提供するソリューションがなぜニーズを満たすことができるのか、ライフサイクルはどのような想定なのかも記載していきます。

製品開発や特許の取得が必要であれば、それに向けたマイルストーンもここで説明します。

step4.ターゲット顧客

ここでは、製品を販売する具体的なターゲットを記載していきます。「○○市場」といったレベルではニーズを満たす製品の構築やマーケティング施策が分散化し非効率となります。よって、ここでは以下のような要素を考慮します。

  • 人口統計:どういった年齢層か、性別は。
  • 地理:ターゲット顧客はどこに住んでいるか(国、都市、エリア)。
  • 行動:普段の生活習慣はどのようなものか(日々の物理的な行動とデジタル上の行動)。
  • 趣味嗜好:どのような物やサービスを好んで利用しているか。

ここで規定するターゲット顧客がマーケティング戦略のベースとなるペルソナとなります。

step5.競合

これから販売を進める製品やサービスの競合はどこになるでしょうか?ここでは直接的な競合と、提供価値の代替品となる競合の二方向から検討をします。

また、その競合との差別化要因は何かついても記載をしていきます。以下の質問に対する回答が役立ちます。

  1. なぜターゲット顧客は私たちの製品やサービスを選ぶべきなのか?
  2. 既にある競合製品・代替品が購入されていない理由は?
  3. 既にある競合製品・代替品を改善するとしたら何をする?

step6.マーケティング戦略

このセクションはターゲット顧客に対して製品やサービスを提供する方法を記載していきます。具体的には次の枠組みを用います。

  • 製品やサービスの位置づけは?:製品は高品質なセグメントに分類されるのか、または特定業界のみで販売されるのかなど、製品やサービスの位置づけを明らかにします。それによって、後続の価格やプロモーションが変わってきます。
  • 製品やサービスの価格は?:どういった価格ポリシーなのか、なぜその価格(帯)にしているかの理由を記載します。
  • 製品やサービスをどのようにプロモーションしていくか?:どのように認知を獲得していくのかの方法(広告orPRなど)を記載していきます。
  • 製品やサービスの販売方法は?:ターゲットにリーチするために、どのように販売をするか(デジタルorリアル、直接販売/代理店販売など)を記載していきます。

step7.収益・財務計画

財務計画のセクションでは、次のような事項の詳細を記載していきます。

  • 収益:いつどの程度の収益をあげる想定か(収益モデルが複数ある場合は分けて記載する)
  • 主なコスト:何にどの程度のコストが掛かるか(製品開発か、マーケティングかなど分けて記載する)
  • 財務のマイルストーン:特に投資が必要な場合は、いつどのような方法で資金調達するかの計画を追加する

この計画をどこまでの年数引くかは事業やビジネスモデルによって異なりますが、概ね3~5年の間で引かれることが多くあります。

step8.チームのプロフィール

この事業は誰が進めるのでしょうか?一人であり、かつ、部署内の説明であればこのセクションは省くことが出来ます。しかし複数人で推進をしている場合や、チームのことを把握していない人物に説明が必要であれば、チームメンバーのプロフィールを追加しましょう。メンバーの情報は「なぜこのビジネスを自分たちが行うのか」の説得材料の一つになります。

>>>SCENTBOXの新規事業開発支援

新規事業の計画書を作成するポイントは?

新規事業計画書のチェックポイント
出所:freepik

ここまでで、新規事業における記載項目の大枠を掴んできました。このブロックでは新規事業計画書を作成する際のポイントをお伝えします。

A.事業計画作成の目的を確認する

この事業計画書は何のために書くのでしょうか。社内の承認を通すため?投資をしてもらうため?チーム内の認識を合わせるため?計画書を作成する目的によってフォーカスする内容が変わってくるため、最初に目的を確認しましょう。

B.読み手を意識する

目的の確認に通ずるところで、この事業計画書を読む人または説得するべき人を意識して作成しましょう。この読み手の事業や新規事業に対する知識量は?何を判断できるまたはしてほしい人か?

読み手によって知りたい内容や意思決定が変わってくるため、事前に読み手の情報を把握した上で作成していきましょう。

C.一次情報と二次情報を使い分ける

事業計画書で使われているデータ・根拠は何でしょうか?リサーチ会社の市場調査レポートなどの二次情報を用いることも有効でしょう。一方新規事業に関しては市場が立ち上がっていないケースもあるため、その際は自分で顧客リサーチ・インタビューした結果を用いる必要があります。どこで何をデータを用いてどのように分析することが有効かを見極めて使い分けましょう。

D.専門用語を使いすぎない

ビジネスモデル上避けられないケースなどを除いて、業界特有の専門用語を使用することは避けて、読み手が理解しやすい事業計画書になることを目指してください。

E.チームや外部メンバーにレビューしてもらう

事業計画書のドラフトが完成したら、それをチームメンバーや外部の有識者にレビューをしてもらいます。特に新規事業については推進者の思い入れが強く、データの解釈を自分の都合のよい方向に読み取ってしまうケースがあります。そこで一歩離れた外部メンバーにレビューしてもらうことによって、客観的に説得力のある事業計画書にしていくことが可能となります。

新規事業を目指されているご担当者様へ

今回の記事では、新規事業の事業計画書の書き方やポイントの解説をしました。上述の通り、研究結果からも事業計画書を作成することは成功の可能性を高めることが分かっています。今回ご紹介した内容が説得力のある事業計画書の作成に役立つことができれば幸いです。

株式会社SCENTBOXでは、多数の新規事業案件のノウハウ・デジタルの強みを活かし、新規事業アイデア創出や事業計画書作成、グロースまでワンストップで伴走いたします。

お客様からのお問い合わせ・ご依頼を受付しております。もしご相談やお困りごとがございましたら、下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

>>>SCENTBOXの新規事業開発支援

新規事業の計画書でよくある質問

新規事業の計画書でよくある質問
出所:jcomp
新規事業の事業計画書を書くにはどれくらいの時間が掛かりますか?

事業が決まっていれば2週間~1カ月程度が目安となります。クイックなドラフトであれば数日で、時間がかかるリサーチが含まれる場合は数カ月かかるケースもあります。

新規事業の事業計画書は何ページくらい書きますか?

決まったページ数はありません。しかし、結果的に概ね10~20ページとなるケースが多くあります。

事業計画書のフォーマットにはどのようなものがありますか?

今回この記事で紹介したリーンビジネスプランや新規事業向けのフォーマットがあります。ただし、会社や部署により追加や省略が可能な項目もあるため、必要な項目は内部確認することもおすすめします。

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