「お迎えに上りました」
私は受付に居た看護師に伝えました。
そこに居た彼女は例のメモ持っていってしまう看護師でしたが、今はそんな些細なことはどうでも良いのです。
早くパスカに会いたかった。
嫌味の一つや二つ覚悟しましたが、何事もなく診察室へ呼ばれました。
獣医師は「取ったいぼは病理に回すので」や、「抜糸は10日後に来てください」などと今そんなことを聞きたいわけじゃないんや、という話をし始めました。
「彼は大丈夫なんですか」
獣医師の説明を遮って、私の口から出てきた言葉はこれでした。
「あー大丈夫。」
獣医師のいつもの鼻炎気味の声を聞いたとき、私は身体中の力が抜けました。
「(パスカ!!良かった!!!)」
頭の中にパスカのいつもの姿が浮かんできました。
次に獣医師はカラー(エリザベスカラー)は家にあるかと、「ハサミある?」のノリで尋ねてきました。
そんなもの普通の人んちにあるわけないじゃないですか。
病院でカラーを用意してくださいましたが、必要なら事前に申し出ておいてほしかったです。
パスカに合うサイズの在庫が無く、とっても大きなカラーをくださいました。
とうとう手術を終えたパスカがやってきます。
別室から出てきたパスカは、目がうつろで生気がありませんでした。
「そらきれい‥」の状態でした。
私はパスカを受け取りましたが、パスカは私と目も合わせてくれません。
おそらく、起きたら痛いことになっていて衝撃を受けたのだと思います。
いくら麻酔していたとはいえ、麻酔が切れてきたら痛いでしょうし。
別の看護師さんは、「パスカちゃん、お家に帰るって言ってる」と教えてくれました。
パスカの背中とおしりの傷は、思ったよりもがっつり縫い合わせてありました。
見るからに痛々しく、パスカの受けたショックも相当だと思います。
起きたら手術されていて痛いなんて、どんなSFでしょう。
帰りの車の中でも、パスカはがっくりしていました。
しかし!
後一つ角を曲がるとお家だ!というところに到達するとパスカは「ひゃい!きゃい!!」と言いました。
お家がもうすぐだとわかったのです。
素晴らしく頭のいい犬ですね!!!
それと同時に私は、「帰りたいと思える家をパスカに用意できているんだ」と安心しました。
パスカに「家」をあげられていてよかった。
パスカが帰りたいと思ってくれてよかった。
いぼ取り手術(脂腺腺腫・皮脂腺腫)と歯石取り手術 ⑤はこちら。
みんなの大事へ ─大切なものは前に─
動物用のキャリーバック(リュック)の販売をしています。 私の宝物・パスカが好きすぎて、彼の望みを詰め込んだドックキャリーバックを作りました。 既存品では満たせなかった安定感や素材、そしてデザインを改良し、より犬と飼い主の生活に寄り添うキャリーバックとなりました。
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