和歌を機械翻訳にかけてみた結果

イギリスは今朝も政府の大混乱状態がトップニュースで、加えて明日10月1日からはほとんどの家庭で光熱費も値上がりします。政府のサポートのおかげで値上げ幅は減りましたが、それでも平均して去年の同時期に比べて2倍になるようです。

そんな世の中の喧騒から離れて、和歌について少し調べて機械翻訳にかけてみました。(前回は詩を機械翻訳にかけてみました:機械翻訳に「詩」を訳してもらった結果

和歌って何?と外国人に聞かれた時、私は「まぁ、シェイクスピアのソネットのようなものよ」といい加減に答えていました。ソネットは14行、和歌は短歌と同じく五七五七七という文字数制限がありますが、共通点は制限があることだけかもしれません。

ちなみに和歌と短歌は書かれた時代が異なり、近世までに書かれたものは和歌、それ以降は短歌と呼ばれるそうです。(参考先:gimon-sukkiri.jp 和歌と短歌の違い

私は和歌と言えば小野小町を思い浮かべるのですが、夢に関する作品を選んで機械翻訳にかけてみました。

”思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを ”

まずそのままDeepLとGoogle翻訳を使って訳した結果が以下になります。

DeepL: If I sleep while thinking, I will never wake up if I know it is a dream.

時制が現在形ですが、それを過去形に直したらかなり意味は通じるかと。でもある人を想っていることはわからないですね。オリジナルにもその事は書いていないので当たり前と言えば当たり前ですが。

Google翻訳:If you fall asleep thinking about it, you’ll have trouble seeing people If you know it’s a dream, you won’t wake up

なんだか長過ぎて意味がよくわかりませんでした。

次に現代語訳に直したものを翻訳してみました。”想いながら眠りについたから、(あのひとが)夢に出てきたのだろうか。もし夢とわかっていたなら(夢から)覚めなかったでしょうに”(参考先:manapedia

DeepL: Did (that person) appear in my dream because I fell asleep while thinking about him? If I had known it was a dream, I would not have woken up.

完璧!

次にGoogle翻訳:I wonder if (that person) appeared in my dream because I fell asleep while thinking about it. If I knew it was a dream, I wouldn’t have woken up

惜しい!DeepLと違って、about him(人物)ではなくabout it(物)になってしまいました。


もう一つ夢に関する作品を翻訳してみました。

”うたた寝に恋しき人を見てしより夢てふものはたのみそめてき”

こちらもそのまま機会翻訳にかけた結果は…

DeepL: I saw someone I was in love with in my reverie, and I thought I was dreaming more than I had ever dreamed before.

最初の和歌に比べると文章が長いし、後半は「今まで見たことのないような夢を見ていると思った」という意味になっていました。ちょっと違うような気がします。

次にGoogle翻訳:Seeing the person I miss in the siesta

なんと簡潔な。でもシエスタというのは昼寝、あるいはスペインやイタリアにあった長い昼休み休憩。小野小町の歌が一気にラテン系になってしまいました。

Photo by Max Böhme on Unsplash

次に、このGoogleが英訳した和歌をGoogle翻訳にかけて今度は日本語に訳してみたところ、「シエスタで恋しい人に会う」となりました。翻訳の精度を確認するために、いったん英訳したものを再度日本語に訳して、オリジナルの日本語とほぼ内容が同じになっているかを比べてみる方法があるのですが、今回の場合は、オリジナルの和歌「うたたねに恋しき人を見てしより夢てふ物はたのみそめてき」とはあまりに違うのでちょっとお勧めできないです。前半部分だけが訳されているように思いました。

次にまた現代語訳に直したものを翻訳してもらいました。”うたた寝をして恋しい人を夢に見て以来、夢という儚いものを、私は頼みにし始めたのであった”(参考先:tankanokoto.com

DeepL: Ever since I dozed off and dreamt of the person I missed, I began to rely on the fleeting thing called dreams.

正確に訳してあると思いました。

Google翻訳: Ever since I took a nap and dreamed of the person I missed, I began to rely on the ephemeral things called dreams.

こちらも「nap」(昼寝、仮眠、一眠り)というのはロマンがないと思いましたが、意味は十分通じるかと思います。


最後に石川啄木の短歌を翻訳してもらいました。選んだのは、”たわむれに母を背負いてそのあまり軽き(かろき)に泣きて3歩歩まず”

DeepL: When you carry your mother on your back in a playful manner, you cry because she is so light, and you do not take three steps

主語がYouになったり現在形だったりしますが、そこを直せば意味が伝わると思います。

Google翻訳:Playfully carrying my mother on my back, I cried so lightly that I couldn’t take three steps

主語がちゃんと「私」になっていたのは感心しましたが、軽いのはお母さんではなくて、軽く(少しだけ)泣いたになってしまいました。

次にまた現代語訳を訳してもらいました。”たわむれに母を背負って、そのあまりの軽さに涙が出てきて、3歩もあるけないでいる” (参考先:tanka-textbook.com

DeepL: I carried my mother on my back in a daze and cried because she was so light that I couldn’t take three steps.

正確な訳で読んでいる方も涙が出そうになります。

Google翻訳: Playfully carrying my mother on my back, I can’t even walk 3 steps because I’m crying because of how light it is.

今度は体重が軽いことを訳してくれましたが、becauseが2度も出てくるし、またお母さんが「it」になってしまいました。そこが「she」と訳されていたらまだよかったものの。それにしても「まわりくどい感」があります。


と言うことで、機械翻訳はかなり精度がよくなっていますが、訳したものを丸ごと使うのは避けたほうがよさそうです。

Image by Trid India from Pixabay

作成日:9月30日

参考先URL:https://tankanokoto.com/2020/02/utataneni.htmlmanapedia.comgimon-sukkiri.jphttps://tanka-textbook.com/history/#i-10https://www.deepl.com/en/translatorhttps://translate.google.com/?hl=jatanka-textbook.com

アイキャッチ画像:Photo by Seyedeh Hamideh Kazemi on Unsplash

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