昔話には恩返しの話がたくさんあります。
鶴の恩返しが1番有名ですかね?
ジブリは猫でした🐈
今日はタヌキの恩返しの話です。
狸の恩返しといえば昔話の文福茶釜(ぶんぶくちゃがま)が代表的なものですが、今日はまた違う狸のお話を1つ(^^)
狸って作品によって良いタヌキや悪いタヌキ両方のイメージで描かれますが、逆にそれだけ日本人にとっては馴染みがあったり親しみやすいキャラクターなんでしょうね♫
〜ストーリー〜
ある日村にある廃寺の前を通りかかったハチ公こと八兵衛。
寺の中では子供達が騒いでいます。
なんだろうとちょっと覗いてみると、子供達が1匹の狸をいじめていました。
「こらっ、オマエ達!
そんな子狸いじめるんじゃない!
そんなことしてたらバチが当たるぞ💢
ほら、これやるからそいつ逃してやんな」
駄賃をやって子供達を退散させました。
「ほら、そこの子狸。さっさと逃げな。
もう見つかるんじゃねぇぞ。」
狸が藪の中へと走っていくのを見届け、いいことをしたなぁと帰路に着く。
その夜…🌙
「トントン…ハチベェさん。
昼間のタヌキです。トントントン」
戸を叩く音がするので開けてみると
「なんだ?こんな夜中にガキのイタズラか…?
ん?オマエは…おお、昼間のたぬきか!
せっかく助けてやったのに、なんでまた出てきたんだよ?」
「実はあの後帰って両親に話したら『ちゃんと恩返しをしてこい』って言われてね。
『恩を返さないのは人間と一緒だぞ!』って言われたから来ました」
「…礼を言われてんだか、けなされてんだかわからねぇなぁ😓
しかし恩返しって言ってもなぁ…狸に何ができるんだ?」
「何かに化けてみせることはできますよ♫」
「おお、なるほど💡
そうだな…じゃあサイコロに化けれるか?」🎲
「サイコロってあのおもちゃ屋に飾ってるやつ?
わかりました。
目をつむって3つ数えてください」
目をつむって1、2、3。
「おっ!サイコロ…って、デケェよ!
そんな一尺四寸(50cmくらい)もあるサイコロが振れるかぃ。
おもちゃ屋のは看板だから大きいの!
もうちょいと小さくならないもんか?」
八兵衛が言うとサイコロがシューっと小さくなっていきます。
「おお、おお!そんなことまでできるのか。
って、おいおい。今度は小さくなりすぎだよ。
ちょっと戻れ。そこっ!それでいい♫」
手のひらにちょうどいい大きさのサイコロになりました。
試しに転がしてみる。
「?…さっきから2しか出ないぞ。
どうなってんだ」
「上向いて立ってるだけだよ?」
「ああ、じゃこの2の目はお前の目玉か。
サイコロなんだからいろんな数が出なきゃダメだろ。
あと2の目はそんな真っ直ぐ並んでないんだよ。
ちょっと顔ななめに…そうそう。3もな。
よしよし。ピン…1は出せるか?」
「ピンは尻を上にすればいいから簡単だよ」
「な、なんか汚いピンだなぁ…。まぁいいや。
あのな…今から賭場行って…ヒソヒソ」
相談をしてその狸のサイコロを持って賭場へと出かけていきました
「ん?おお、ハチ公じゃねぇか。
今日も来たのか。オマエも好きだなぁ。」
「へへっ、どうもどうも。
いや、今日はねぇ、金をたんまり持ってきたんですよ。
たまにはオレに胴元をやらしてくれねぇかい?
サイコロもあるんで」
「金はあるのか。
まぁそれならいいけど、オマエが持ってるサイコロ見せな。
イカサマされちゃ台無しだからな。」
賭場の男にサイコロを渡す🎲
「うわっ…なんか生温かいなぁ。
何で出来てんだ、これ?
ちょっと噛んでみていいか?」
「ああっ、やめた方がいいですよ。
噛もうとしたら向こうが噛むよ。
それに場所によりゃちと臭うかも」
「なんだそりゃ?
ずっと懐に入れてたから温かい?
気持ち悪いなぁ。
でもこりゃやっぱり変だぞ、それっ」
男がサイコロを投げると2の目が出たままスーッと滑っていきます。
「あっ、ちょっとコツがありましてね…。
バカ!転がらなきゃダメだろ!」
もう一度振るとずーっと向こうまで転がる🎲
「…なんだありゃ」
「コラッ!止まれ!
いえいえ、あんたの投げ方が下手なんだ。
オレが投げりゃちゃんとなるんだよ。
ほらほら…ねっ」
「おかしなサイコロだなぁ…。
えっ?ハチ公が来てるんですけど…あ、聞いてました?
胴元やらすんですか?
そりゃコイツが金持ってるなんて珍しいですからねぇ。
ふ〜む…まぁ横で見張ってればいいか」
さて八兵衛が賭場の胴元で博打が始まります。
チョボイチというサイコロ1つでやる博打です。
「さぁ今日はゲンがいいんだ。
みんな張り込んでもらおうじゃねぇか!」
「威勢がいいのは結構だけども、あとで泣くんじゃねぇぞ」
みんながオレは3だ、オレは5だ、4だと張っていく。
「おっ、ピンは誰も張ってないな。
よしっ、ピンが出たら総取りだぞ。
ピン、ピンだっ!」
よっとサイコロを小さな壺の中へ振り、パッと開けると見事にピンが出ました。
「やったっ!
よし、次は〜…今度は6が空いてるねぇ。
6だ。1番数の多いやつだよ。
そらっ!」
次もサイコロを開けると見事に6が出る。
「こいつ今日は本当にツいてるなぁ。」
「最初だけだ。そのうち流れも変わるだろ」
その次もまたその次も八兵衛が言った通りに目が出ました。
賭場の男達もイライラ…
「よ〜し、次は…」
「ちょっと待った!
さっきからオマエが言う数の目ばかり出る。
数字を言わずに振れっ❗️」
「言わずにって…言わなきゃわからねぇじゃ…あっいやいや、サイの目なんて言ったから出るってもんじゃねぇでしょ。
…そんな怖い顔しなくても。
わかりやしたよ。仕方ねぇなぁ。」
数字を言わなくても目玉とか尻とか言えばわかるか…と次を始めます。
「次は〜…空いてるのは5…」
「おいっ!数を言うんじゃねぇ!」
「わかってるよ!
(…5…5は何て言えばわかるかな?
目玉2組に尻ひとつ…ややこしいね。
真ん中1つで周りにポンポン…あっ!梅鉢だ💡)
よ〜し梅鉢だよ、梅。
天神さんだ、天神さん…!
わかるな?
よしっ、勝負だ!それっ!」
パッと壺を開けると
タヌキが冠を被り、杓(しゃく)を持った天神様の格好で立っておりました。
〜終〜
さて、いかがでしたか?
その後の賭場がどうなったのかはご想像にお任せします💡
天神様(菅原道真公)の姿がわからない方のために貼っときます。
個人的にはこのお話を考えた人はきっと博打でよく負けてたんだろうなぁと思います🎲笑
ちなみに昔のサイコロは鹿の骨で作られてるものが多かったそうですよ🦌🦴
(コツのサイなんて言われてたそうです)
負け続けるとイカサマしてでも勝ちたくなってくる気持ちはわかりますが、実際にイカサマしちゃダメですよ⚠️
きっといろんな意味で危ないでしょうからね☠️
素直な子狸の一生懸命さが愛らしい一席でした♫
ではまた(^^)