演奏者はその演奏でもって聴衆の心を動かす。それは宿命である(クインティリアヌス)。
Marcus Fabius Quintilianus(ラテン語)
マルコ・ファビオ・クインティリアーノ
Marco Fabio Quintiliano(イタリア語)
こんにちは、ゆうです。
「音楽談義に何故にローマ帝国の修辞学者を引っ張り出してくるのだ?」
となるかもしれませんが、
私達音楽を奏する者には、その著書
『弁論家の教育 Instituto oratoria』
に、大変重要な意味を持つ一文を残しています。
「演説家はその演説で、作曲家はその曲作りで、演奏家はその演奏でもって、それぞれ聴衆の感情 affettoを動かすことを可能にする。それは(彼らにとって)宿命である」
クインティリアヌスの著書の発見は、ルネサンス時代に盛んであった古代文献研究(つまり、ローマ帝国時代やギリシャ時代のもの)における一つのものです。
クインティリアヌスだけではなく、キケロ Marcus Tullius Cicero (ラテン語) Marco Tullio Cicerone (イタリア語)ら、その他の学者らも同様にaffetto の重要性を説いています。
古代文献研究の音楽への影響は、15世紀後半に見られるようになります。
その中で古代ギリシャ音楽理論の研究も進み、中でも
「声楽曲作曲に関する調性の選択は、言葉、テキストが持つ意味に従い、成される」
という事実が明らかにされました。
この事実は当時、歌詞、つまり言葉の意味やシラブルを軽んじた、技法を誇示する作曲の勢いが強く、結果、そこに疑問を常々感じていた人々が、「原点に戻ろう」と、
言葉ありきの音楽
を作る機運を高めていくに至りました。
その研究実験実践が、オペラを生み出すのです。
……で、器楽とどう繋がるのかという話ですが、今日はここで力尽きました。パタリ
だいぶ端折っていますけど。
続きはまた次回…。