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oicchimouseの森の図書館員がめくるめく絵本の世界をご案内いたします。お子さまも大人の方もどうぞひと休みしていってくださいな。

〈真似ぶ〉は〈学ぶ〉『だるまちゃんとてんぐちゃん』

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【今日のおすすめ絵本】(対象…3歳頃〜)

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『だるまちゃんとてんぐちゃん』

 

加古里子 さく・え

福音館書店

 

 

 

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(1997年に書いていただいた直筆サイン)

 

 

 

 

(あらすじ)

ちいさい だるまちゃんと ちいさい てんぐちゃんが あそんで いました。

「それ なあに?」
「これは てんぐの うちわだよ」
「ふーん いいものだね」

 

ちいさい だるまちゃんは うちへ かえって いいました。

「てんぐちゃんの ような うちわが ほしいよう」

 

おおきな だるまどんが たくさん うちわを だしてくれました。

「こんな うちわじゃ ないんだけどな」

だるまちゃんは かんがえているうち いいことに きがつきました…。(本文ママ)



てんぐちゃんの持ち物がどれも素敵に見えて次から次へと真似したくなるだるまちゃん。

 

おとうさんは、だるまちゃんの希望に沿うようなものをたくさん用意してくれますが、結局てんぐちゃんの持っているのと同じものは見つかりません。

 

そこで、だるまちゃんは自分自身の力で素敵な代替品を見つけるのですが、それを見たてんぐちゃんは、決して「真似しちゃダメ」とは言わず、「ずいぶん いいもの みつけたね」と、だるまちゃんを褒めます。

 

小さい頃、私も大好きだった絵本ですが、この二人のお友達関係、だるまちゃんとおとうさんの親子関係、どちらも本当に優しくて素敵で、読むたびに温かな気持ちになります。

 

 

「学ぶ」と語源を同じくする「真似る」

 

 

 

いいと思ったこと、素敵だと思ったことを真似することを決して否定しないてんぐちゃん。

 

 

小さい頃、さらさらの土の取り方、ピカピカの泥団子の作り方を、友達の真似をしながらよく覚えたものですが、その度に「真似しないで」と言われ、「真似=悪い事、かっこ悪いこと」と思い込んでいました。

 

この絵本を読むたびに、このてんぐちゃんの言葉で、「真似してもいいんだよ」と認められた気がして、とても安心したことを思い出します。

 

 

 

子どもというのは、とにかく何でも素敵だと思ったことは、すぐに真似してみたいのです。

 

 

 

わが子も小学生になり、すっかり大人気分のようですが、お友達やまわりの人たちの素敵なところをしっかり「真似」て、たくさんの「学び」へとつなげていってもらいたいものです。

 

 

親になった今は、おとうさんの「おおきなだるまどん」の目線で楽しんでいますが、この素晴らしい子育てには頭が下がります。

 

「友達と同じものがほしい」とねだられて、頭ごなしにダメと言わずに、家にあるもので何とかしようと一生懸命探してくれる。

子どもの気持ちをないがしろにせず、しっかり話を聞いて寄り添ってくれる。

 

このようなしっかりした親子関係の基盤があればきっと子どもは安心してまっすぐと育っていけるのでしょうね。

 

 

 

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