「右玉浪漫飛行」(その18)と将棋倶楽部24近況 | 将棋大好き雁木師の新将棋文化創造研究所

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「将棋大好き雁木師の将棋本探究」をリニューアルしたブログです。
主に将棋に関する詩などの作品紹介と、自分の将棋の近況報告を行います。

読者の皆様こんにちは。王将戦第1局はABEMAペイパービューで視聴した雁木師でございます。今日は前半は「右玉浪漫飛行」の18回目。後半は将棋倶楽部24の近況報告を行います。長文となりますが、最後までお付き合いいただけると幸いです。

まずは右玉浪漫飛行から。今回も、DJ.ミギタマとアオテツと一緒に進めていきたいと思います。

2人についてはこちらから。

 

前回のおさらいをしたいという方は下記リブログ記事からご確認いただけます。

それでは「右玉浪漫飛行」の始まりです。

 

※なお、このストーリーに出てくる人物、出来事などは一部を除き架空のものです。実際の人物、出来事などとは一切関係ありません。

 

DJ.ミギタマ(以下ミ)「DJ.ミギタマの右玉浪漫飛行~!!」

♪~(オープニングBGM)

ミ「将棋ファンのみんな。Happy New Year~!!DJ.ミギタマだ」

アオテツ(以下ア)「あけましておめでとうございます。アシスタントのアオテツです。今年もこの番組をどうぞよろしくお願いいたします」

ミ「いや~、アオちゃん。無事に年を越せてよかったよ」

ア「ミギタマさんはお正月に何をされてましたか?」

ミ「みんなと変わりないかな。ただ、卵が大好きなミギタマはだて巻きを食べまくってマミーに怒られたね」

ア「実家に帰られたのですか?」

ミ「うん。ミギタマは新潟の糸魚川出身でね。年末年始はシーサイドバレースキー場というところに遊びに行ってたんだ」

ア「ミギタマさん、アクティブですね」

ミ「だけど、このご時世になってからすっかりスキー場はご無沙汰さ。そのかわり、実家に帰ってのんびり過ごしたというわけ」

ア「そこで、だて巻きを食べ過ぎてお母様に怒られたのですか」

ミ「ミギタマは近所のスーパーで売っていただて巻きが大好きなんだ。で、久しぶりに実家に帰って、そのだて巻きを食べた途端…、箸が止まらなくなったんだ」

ア「ミギタマさん、子供みたいにはしゃぐのはやめたほうがいいですよ」

ミ「うん、少し反省している」

ア「でもいいですよね。実家に帰って故郷のおせちを食べれるのは」

ミ「アオちゃんは、年末年始は?」

ア「年末に特番のナレーションを担当しました。年始は元日だけ休んで、2日から仕事始めです。これも特番のナレーションです」

ミ「この時期はラジオも特番が多いよね。ナレーションの仕事も多いんじゃないの?」

ア「いや~、私の場合はフリーのアナウンサーになってからは仕事の数は減りました。特番のナレーションも数が減りましたね」

ミ「本職のアナウンサーを使わない番組も増えたからね」

ア「私も藤井猛九段ではありませんが、『ファミレスの鰻』に負けないように頑張りたいと思います」

ミ「お、いいこと言うね~。というわけでみんなはどんな年末年始を過ごしたかな?というわけで今日も右玉の世界を旅しよう!!」

 

第18回「中飛車との戦い ゴキゲン中飛車編」

 

ミ「で、アオちゃん。今日のテーマは」

ア「はい。今回からしばらくは中飛車相手の右玉を見ていきたいと思います」

ミ「お、アマチュアに人気の中飛車かい。楽しみだね~」

ア「今回は序盤に着目して初手から右玉完成までの流れを見ていきます」

ミ「じゃあ早速行ってみよう~!!」

 

※今回の題材の将棋は昨年11月の将棋倶楽部24の実戦から。持ち時間設定は「早指2」。先手番が私です。

初手からの指し手

☗7六歩 ☖3四歩

☗2六歩 ☖5四歩

☗4八銀 ☖5二飛

☗4六歩

 

(1図)

解説:ゴキゲン中飛車相手に右玉を目指すなら、☖5五歩の前に☗4六歩と突くことがポイントです。☗4六歩を突く前に☖5五歩を許すと右玉狙いは困難になります。一例の局面がこちら。

(変化図)

7手目☗4六歩に代えて☗1六歩と指したことで右玉ができなくなった例です。☗1六歩以下

☖5五歩 ☗4六歩

☖5六歩

と進行させました。ここで☗4七銀は☖5七歩成があります。☗5六同歩と取るよりないですが☖同飛が王手。これですぐに形勢が悪くなるわけではありませんが、角道が開いているだけに先手は序盤から神経を使う将棋に進行します。

 

1図以下の指し手

☖5五歩 ☗4七銀

(2図)

解説:1図の☗4六歩~☗4七銀は右玉狙いならワンセットの流れ。この流れを怠ると、すかさず☖5六歩と突かれて右玉狙いは厳しくなります。

 

2図以下の指し手

☖6二玉 ☗6六歩

☖3三角 ☗3六歩

☖4二銀 ☗6八銀

☖5三銀 ☗3七桂

 

(3図)

解説:2図から3図までの流れで気を付けたいのは

角道を早い段階で止めること

後手の左銀に注意

①についてはほかの戦型でも共通ですが、角道が開いている状態で右玉に囲うとすると、どこかのタイミングで角交換をしてくることがあります。特に右玉では左辺が手付かずになるケースもあるので、できれば角道を止めて穏やかに指したいところです。

②については、本譜の後手の進行は☖4二銀~☖5三銀と左銀を中央に活用していく意図ですが、☖4四歩とあえて角道を止めて左銀を4二~4三に配置するパターンもあります。これも1つの流れです。どちらも共通して言えることは、左銀が出てきたら早めに☗3七桂を指すこと。これを怠ると、右玉が未完成のまま踏み込まれる可能性があります。

本譜も☖5三銀に対して☗3七桂と跳ねました。右玉完成への流れである当時に☗4五桂での両取りも狙っています。

 

ア「今回の棋譜はラジオネーム『ponpoko』さんからいただきました」

ミ「『ponpoko』さん、ありがとうございます!!中飛車相手に右玉をやってみた将棋ということで送ってくれたけど」

ア「『序盤から注意しないと一気に持っていかれる』というお話でした」

ミ「ゴキゲン自体が攻める振り飛車だもんね。1つでも手順を怠ると右玉狙いは苦しくなる」

ア「注意点はなるべく早く5筋を受けること、角道を止めること、☗3七桂を早い段階で入れておくことでしょうか」

ミ「序盤17手までなのに色々覚えるのが多い…」

ア「そこまでナーバスにならなくても大丈夫です。『受け止めればこっちのものだと思って堂々としていればいい』とDは話しています」

ミ「まあそこらへんはのちのスリーポイントで振り返るとして、指し手を進めていこうか。ひとまず、3図の☗3七桂に後手がどうしたのかは気になるし」

 

3図以下の指し手

☖5四銀 ☗6七銀

☖7二玉 ☗1六歩

☖1四歩 ☗3八金

☖9四歩 ☗9六歩

☖8二玉 ☗4八玉

☖7二銀 ☗2九飛

 

(4図)

解説:3図から後手は☖5四銀と左銀を前進させて両取り狙いを防ぎました。その後はお互いに囲いを進めていきます。先手は予定通りに右玉を実現させ、後手も片美濃囲いを完成させました。気になるのはお互いの左金。どちらもまだどこに行くかの態度は保留しています。先手の候補は3つ。後手は☖3二金が自然に見えますが…。この後は中飛車らしいようでらしくない(?)戦いに進むことになります。

 

ミ「最後の解説文が妙に引っかかるな」

ア「まあまあミギタマさん、ここまでの展開はどう見ていますか?」

ミ「うーん、どうと言われても…。まあ、マイナビ風に言えば『これからの将棋』という感じかな」

ア「では、中飛車らしく見えてらしくない進行を見ていきましょう」

 

4図以下の指し手

☖3二飛 ☗2五歩

☖6四歩 ☗6八金

 

(5図・指了図)

解説:後手は4図から☖3二飛と飛車を3筋に振り直しました。飛車を振り直すというのは振り飛車ではよくあることです。本譜も5筋突破が難しくなってきたので右玉のねらい目の1つになる桂頭に目を付けたと判断されています。

対する先手は☗6八金と金を真上に上げて右玉の代表的な構えの1つ、「糸谷流右玉」を完成させました。中飛車相手に有効とされている右玉ですが、本譜は後手が三間飛車に振り直した後で糸谷流を完成させました。その是非は気になるところですが、今回はここでいったん検討を終了したいと思います。

 

ミ「おお~!!ついに…ついに来たか!!」

ア「ミギタマさん、どうしたんですか?急にテンションが上がってますけど」

ミ「ミギタマは今、絶賛興奮中なんだ!!ついに糸谷流右玉を拝める日が来るとは…。ありがたや~ありがたや~」

ア「ミギタマさん、糸谷八段を尊敬していると話していましたから。ただいま仕事を忘れています」

※DJ.ミギタマが糸谷哲郎八段を尊敬している理由は、冒頭のこのシリーズの初回記事のリンクをご参照ください。

 

ミ「さてと、5図の形が糸谷流と呼ばれる所以はなんだろう?やっぱりDJダニーさんの影響かな?」

ア「実はD調査で、糸谷流右玉について掲載されている記事を発見しました」

※詳しくはこちらの記事をご参照ください。

 

 

ミ「なるほど。今回の『ponpoko』さんの右玉は、中飛車相手を想定した糸谷流右玉なわけだけど、それ以外の戦型でも対応できるというわけだね」

ア「ここで糸谷流右玉とゴキゲン中飛車の将棋の代表的な一局を見ていきたいと思います」

※棋譜はこちらから

 

解説:2006年に行われた朝日杯の前身棋戦、朝日オープン将棋選手権☗糸谷哲郎四段ー☖中原誠永世十段(どちらも肩書は当時)の一戦。中原十六世名人のゴキゲン中飛車に対し、糸谷四段が糸谷流右玉で対抗した将棋です。

本譜と囲いの手順は異なりますが、糸谷流右玉の代表的な将棋の1つとしても知られている棋譜です。糸谷四段は右玉を完成させた後、中原永世十段が片美濃から木村美濃に囲いを変えていくスキを突いて攻め込みます。中原永世十段は囲いを乱されながらも歩を使って反撃しますが、糸谷四段が手順で2枚の歩の拠点を生かして猛攻。最後は中原玉を裸同然にさせて97手で永世十段を投了に追い込みました。

 

ミ「いや~、ほれぼれするな~。さすがはDJダニーさん。十六世名人を翻弄する指し回しだね」

ア「糸谷流は最近ではプロではめったに見なくなったようですが、右玉党の方には根強い人気があるとのことです」

ミ「『ponpoko』さんの棋譜も気になるけど、DJダニーさんの棋譜は並べたくなるね」

ア「ミギタマさん、すっかり糸谷八段の棋譜に心酔していますね」

ミ「あ、そうだった。今日の話はここで終わろう。じゃあここからはこのコーナー。アオちゃん」

ア「はい。スリーポイントチェックのコーナーです」

 

ポイント①:5筋からの攻めを防ぐ

ミ「ゴキゲン相手に右玉をするうえで欠かせないのは?」

ア「まずは5筋の攻めをあらかじめ先受けしておくことです」

ミ「そのために欠かせないのは☖5五歩を突かれる前に☗4六歩だったね」

ア「☗4六歩~☗4七銀の手順もセットで覚えておきたい順です」

 

ポイント②:やはり角道は止めておく

ミ「角道は止めておかないと右玉狙いは苦しくなるんだったね」

ア「角交換の変化を含んでいますので、その仕掛けを防ぐ意味でも角道は止めておきたいところですね」

ミ「角交換振り飛車に右玉はどう対応していけばいいのだろう?」

ア「それもこの番組で取り上げていければと思います」

ミ「え、棋譜があるの?」

ア「ぜひ楽しみにお待ちください」

ミ「アオちゃん、さりげなくDにプレッシャーをかけていくね」

 

ポイント③:美しく(?)実戦的な糸谷流

ミ「ミギタマ的には糸谷流右玉が見れただけでも今日の放送の価値はあると思う」

ア「糸谷流右玉は若手時代の糸谷八段が振り飛車相手に採用されて勝ったことで認知されました」

ミ「Dが持ってきた記事を当てはめると…。☗6七銀・☗6八金型がオーソドックスということだけど」

ア「他にも型があるみたいですね。私もD持参の記事を読んで勉強してみたいと思います」

ミ「とにかく、一度見たらほれぼれする美しき糸谷流を味わってほしいな」

ア「美しいかどうかはともかく…。実戦的な指し回しが好きな方にはおススメの言える戦法ですね」

 

ーエンディング

ミ「というわけで、今日はゴキゲン中飛車相手の右玉ということで序盤のほうだけ見てきたけど…」

ア「序盤から駒組みに注意が必要な将棋であることは分かりました」

ミ「覚えることが多くて不安になってきた。でも、『受け止めればこっちのもの』と思って指していこう!!」

ア「ミギタマさん、今日はやけに終始テンションが高かったですね」

ミ「尊敬するDJダニーさんの右玉だから、つい我を忘れてしまったよ…」

ア「まあ、気持ちは分かりますが…。深夜ですので少し冷静になってください」

ミ「うん…。とにかく、みんなも糸谷流右玉を指してほしいな。新しい世界が見えてくるかも」

ア「次回は、ゴキゲン中飛車相手の右玉の続きです。最も飛車は三間飛車に振り直されていますが…」

ミ「完成した後にどう動いていくか、楽しみだね。というわけで今日はここまで。お相手はDJ.ミギタマと」

ア「アシスタントのアオテツでした」

ミ「それではみんな、また次回。バイバーイ」

~♪(エンディングBGM)

 

 

以上で「右玉浪漫飛行」を終わります。続いて将棋倶楽部24の近況報告を行いたいと思います。ここで、私の24でのルール詳細をご説明いたします。まずは対局について

・毎週木~日の4日間にかけて20局実施(基本として1日5局)

・中断無勝負局は原則としてカウントしない

・持ち時間設定は特に制限はなし

 

次に分析について

・基本としては居飛車と振り飛車に分類

・振り飛車の場合は囲いの区別はせず、どこに飛車を振ったかで判定する

・手番別の勝敗も調べる

 

では報告に入ります。

 
総合成績:15勝25敗。勝率.375
手番別勝敗
手番別勝率:先手番勝率.300 後手番勝率.450
ここまでは大きく負け越しできています。星の流れを見ると、先週は前半は2連勝を2度記録も中盤に4連敗2連勝。最終盤にも3連敗で負け越し。今週は前半に5連敗から4連勝と盛り返すも終盤に7連敗を喫し大きく負け越しです。内容は、自分の勝敗の生命線である粘りが全くできなくなりました。得意の形に囲っても、相手十分に攻め込まれてしまい、一気に敗勢に陥るというパターンです。先手番の負けが込んでいる理由としては、後手番向けの戦法を先手番でやって勝てていたのが勝てなくなったのも大きいのかと思います。では戦型別の勝敗です。
 
自分から見た戦型
相手から見た戦型
ここまでは右玉を多く指しています。しかし成績は不振が続きます。なんでも右玉で対抗するものの、相手に先攻を許し苦戦を強いられる展開が続きます。ここまでくると右玉一本で戦うのは難しいのですが、代替策を模索していない状況下ではまだ苦戦を強いられる展開は続きそうです。
次いで多いのは角換わり。こちらは腰掛け銀と早繰り銀が軸となっています。腰掛け銀は☖6二銀・☖8一飛型、早繰り銀は☖3三金型(サザンハヤクリ)を先手番でも採用していますが、思うようにいかず苦戦です。この2つの戦法が不振なのが原因で星を落としました。ここまでくると、将棋の戦い方を今一度見直したほうがいいのかなと思います。
 
 
相手から見た戦型は、居飛車は角換わり。振り飛車は中飛車が多いです。角換わりは腰掛け銀が多いですが、地下鉄飛車、右玉などもありました。相腰掛け銀で手待ちの間に踏み込まれて負けるというパターンが目立ちます。
中飛車はゴキゲン中飛車が軸となります。対抗策は糸谷流右玉が軸ですが、今週に入ってから苦戦気味。バランスから堅陣にモデルチェンジしたほうがいいのかと考えたくなる内容です。
今週は対振り飛車戦は6局あって全敗。右玉に囲っても、速攻を許すというパターンが目立ちました。
 
 
雑記帳⑱「上座
1/10(火)に行われた竜王戦6組ランキング戦に西山朋佳女流二冠と加藤桃子女流三段がそれぞれ対局に臨まれました。その際、「上座」をめぐってある出来事が起きました。
西山女流二冠は岡部怜央四段と対局。対局前の読売竜王戦の公式Twitterにこんなツイートがありました。

リンク先の読売新聞の記事によれば、先に対局室に入室された岡部四段が「下座」に座り、後から入室された西山女流二冠が「どうぞ、あちらへ」と「上座」を勧め、岡部四段は上座に移ったとのことです。「互いに敬意を表する朝の光景」という文が添えられたこの出来事。お二人は公式戦ではこの対局が初手合いですが三段リーグで対局があるとのことです。データを見てみたところ、このお二人は三段リーグで6局も対局しており、岡部四段の5勝、西山女流二冠の1勝という記録が残されています。

奨励会を一緒に過ごして来た中で、岡部四段は西山女流二冠への敬意を抱いてきたからゆえに起きた「上座の譲り合い」なのかもしれません。対局の結果は岡部四段が勝ち、自身の竜王戦デビューを白星で飾りました。

 

加藤桃子女流三段は泉正樹八段と対局。読売竜王戦の公式Twitterにはこんなツイートが。

この対局は泉八段の足の状態がよろしくないことから、椅子対局での実施。リンク先の読売記事では、泉八段は加藤桃子女流三段に

この部屋には上座も下座もありません

と声をかけ、和ませたとあります。対局の結果は、加藤桃子女流三段の勝ち。夕食休憩前の決着でした。

敗れた泉八段は加藤桃子女流三段に

「ずいぶん強くなったね」

と声をかけられ、加藤桃子女流三段は

「そんなことは」

と謙遜されたと別記事で書かれていました。

 

こうした棋士による「上座の譲り合い」は段位・年齢や世代の同じ棋士同士ならあるようですが、女流棋士に上座を譲るという所作は私の記憶ではなかったと記憶しています(単に私が知らなかっただけかもしれませんが…)。女流棋士の実力、地位が向上し、一人の対局者としての敬意を感じたと思わせる出来事でした。

 

「上座の譲り合い」といいますと、昨年の棋王戦挑戦者決定トーナメントでの羽生善治九段ー佐藤康光九段戦での「上座の譲り合い」も記憶に新しいところ。ABEMAで中継されていたこともあり、映像を見た瞬間にビックリされた方もいらっしゃることかと思います。

観戦記によれば、対局が行われた特別対局室において9時45分過ぎに羽生九段が入室されて下座に着きます。記事を書かれた銀杏記者の記憶によると、このお二人の対局で羽生九段が下座にいるのは佐藤康光九段のタイトル防衛戦以外にほとんどないとのこと。

見解としては佐藤康光九段が「前期に本戦決勝まで進んだことへの敬意を示した」ということです。

そして9時52分ごろ、佐藤康光九段が入室。下座に羽生九段がいることに気づいて、上座に移動するように促したと言います。

佐藤「さすがに、これでは…」

羽生「大変申し訳ありませんが、では」

といったやり取りを経て、結局羽生九段が上座に着いてひとまず「決着」。対局の結果は羽生九段の勝ちでした。

 

※映像はこちらから。

 

こうしたレジェンドの方々の上座の譲り合いに、ABEMA中継のコメント欄は笑顔になったとヤフーニュースの記事には書かれています。

 

そもそも、将棋における公式戦の「上座」「下座」はどう決まるのか、「上座」の棋士はどこに座るのか、など気になりますよね。実は今回、この話をするにあたって検索してみたところ、こんな記事を見つけました。

端的に記事をまとめるとこんな感じでしょうか。

どこに座るか問題

・普段の対局について…上座は部屋に入って入り口から遠い場所に座る

・タイトル戦について…上座は入り口から遠い場所、床の間に近い場所に座る

 

上座に座るのは

・基本として序列の高い者が上座に座る

・段位が上の者が上座に座る

・段位が同じ場合は先にその段位になったものが上座

・しかし実際は棋士番号の少ない者が上座に座るのがほとんど

 

タイトルホルダーの場合

・八大タイトルの防衛戦ではタイトル保持者が上座に座る

・タイトル保持者同士の対局ではタイトルを多く保持している者が上座(同数の場合は上のランクのタイトルを保持している者が上位)

・竜王と名人は格上の扱いで上位となる

 

例外

・テレビ棋戦は上座と下座の概念はなし

 

一般の社会やビジネスマナーなどでも「上座」「下座」は意識しなければならないとは教えられますが、将棋の世界でも「上座」「下座」は意識しなくてはなりません。とはいえ、私もそうなのですが「上座がどこに座ればいいのか分からない」問題に直面すると曖昧になってしまうのも事実。私も今一度、マナーのお勉強をしたほうがいいのかと考えさせられる「上座の譲り合い」の出来事でした。

 

さて、長々と話してきましたが今日はここまでとさせていただきます。本日も長文となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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