こんなおはなし

鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也に届いた一通の手紙。それは稀代の連続殺人鬼・榛村大和からのものだった。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」パン屋の元店主にして自分のよき理解者だった大和に頼まれ、事件を再調査する雅也。その人生に潜む負の連鎖を知るうち、雅也はなぜか大和に魅せられていく。一つ一つの選択が明らかにする残酷な真実とは。(アマゾンさんより)

 

きっかけ

皆様のブログで「怖い」とあったので。怖いもの見たさで読み始めたけれど、思っていたのとは、別の怖さでした。個人的には、太田愛さんの「犯罪者」のような怖さが好き。ニヤリ

 

シリアルキラー 榛村大和

殺人鬼と呼ばれる人は、生まれつきそのような気質を持っているのか、それとも、幼少期の虐待など環境のせいなのか。

 

人を殺したら、殺人者になります。アドラーだったら、殺人の行為(目的)を、幼少時の虐待のせいにすり替えているというかもしれませんね。→戦争による殺人(目的)は、国を守るためってことかぁ。

 

また、榛村は、実に人を魅了する人間です。

経営者、営業マン、役者、教師、カルト宗教の教主・・どれになっても、大成功をおさめていたでしょうね。

成功者・・・。ゆがんだ心を持つ成功者って、いるかもしれない、現実にも。

いや、人格者と言われている人だって、真逆の面を持っているかもしれない。

いやいや、私たちは誰しも、闇の部分を抱えているんだろうな、程度の差こそあれ。

 

筧井雅也

「最近、筧井君、変わったね」

この小説のキーワードは、これだと思います。

中学までの彼は、成績優秀で、学級委員にもなり、みんなのあこがれの的でしたが、周りの人を心の底で、見下すようになります。高校は、超進学校に入り、周りの生徒が自分以上にできる状態になると、成績も落ち込み、大学はFランク校へ。自分がみじめでたまらない。ところが、ひょんなことから、榛村の冤罪の調査をしていくうちに、榛村に魅せられていき、彼と同化していきます。ここで、大学の友人から「変わったね」と言われるようになるわけです。次第に、榛村のようになりたい、人を殺してみたいと思うようになり・・・。

 

結局、彼は、自分の置かれている位置によって、自分の評価を上げたり下げたりしていたわけです。自分は、自分でしかないはずなのに。

 

 

おまけ

私も筧井君のように、周囲によって自分の評価を上げたり下げたりします。そして、とてもつらくなります。わざと、低い人たちの(言い方、ひどいね)中に入って、優越感に浸りたくなります。悲しい

コロナ禍で、引きこもり状態になって、正直、ほっとしました。やっと、人の評価を気にせずに暮らせる、と。

わがままだと思っていた「本を読む生活」も、堂々とできるようになりました。

よかった・・・。

 

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