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最勝院/天を見上げる兎がお出迎え

基本情報

寺社名 : 金剛山光明寺最勝院
住所  : 青森県弘前市銅屋町63
御朱印 : あり
宗派  : 真言宗智山派
本尊  : 金剛界大日如来
秘仏  : 猫突不動明王・牛頭天王・聖天(歓喜天)・五智如来
開基  : 天文元年(1532)に高僧弘信上人

歴史・縁起

慶長14年(1609)津軽藩二代目藩主信牧が高岡の城(弘前城)を築く。その際に当院六世日雄が地鎮の方式を執行する。
慶長16年に城の鬼門にあたる田町へ移転し弘前八幡宮別当となる。そに十二ヶ寺の塔頭寺院を擁す。津軽藩の永世祈願所に指定され手厚い保護を受ける。
寛永3年(1626)に京都五山や鎌倉五山にならい津軽真言五山の制度を定める。
・ 最勝院
・ 百沢寺(岩木山神社)
・ 國上寺(碇ヶ関)
・ 橋雲寺(岩木町)
・ 久渡寺(旧小沢村)
当院は筆頭。領内の総寺社を統括する。
修験・座頭・巫女などを支配。社人頭を通じて領内の社人も支配。
当院には領内の寺社に関しての明細を記した重要文化財『神社微細社司由緒調書上帳』が全損している。
明治3年(1870)神仏分離令により支配下の寺社を合併し田町から統治へと移転。
それまで統治にあったのは真言宗の大圓寺。大圓寺は大鰐町の高伯寺と合併し移転した。
当院は大圓寺が嘗て有していた五重塔・本堂・諸堂・境内地などの全てを受け継ぎ、さらに整備し発展させていき現在に至っている。

境内の様子

【門・門前】
・ 卯歳一代様
・ 卯の守護像。正面を向き・上向きの二種類。
・ 門の名称は調べたところ【八脚門(はっきゃくもん・やつあしもん)】というらしい。
・ 仁王像が安置されていることから【仁王門】とも呼ばれている。
立派で歴史ある門構え。慶長年間と言うことで1600年代のため、泰平の世になる前なためか、武将の趣向による力強い造りに見える。
ウサギは吉兆をもたらす聖獣とされている。

【最勝院五重塔】

・ 高くそびえる五重塔。
・ 離れて見ても細部まで作りこまれた彫刻。
【歴史】
創建者 : 津軽藩三代藩主・津軽信義
着工年 : 明暦2年(1656)
再開年 : 四代目津軽信政
完成年 : 寛文7年(1667)
目的  : 初代藩主津軽為信が、津軽統一時に戦死した敵味方を供養するため
塔の総高: 約31.2メートル
重文指定: 明治41年4月23日指定
 津軽信義の時代に着工されたが一時期中断され、四代目の時期に完成されたといわれている。
しかし平成4年~6年の全面解体時に、寛文4年の銘が部材から発見される。この頃の建設開始と指定されている。
当初の露盤や伏鉢などの相輪部分は、鋳物師として有名な渡辺近江大掾源正次の作と伝わる。
塔の心柱は継ぎ目のない一本の杉材。
組物に和様三手先。初重の蟇股には十二支の文字が書かれている。
各層の窓の形が異なる。
細部にまで優れた意匠の建造物。

【手水舎】
・ 龍神様がお出迎え。
・ 手水舎の屋根部分には鬼子。
・ 天井部分には梵字。

【本堂】
・ 五重塔の彫刻があったのに比べると、華美な装飾が無い分質素に見える。
・ 豪華絢爛さはないが、どっしりとしていて堂々と構えた力強さを感じる。
・ 本堂前の大きな鼎の下を覗くと、兎が柱となり支えておられる。

【摂社】
・ 聖徳太子堂。
・ 日本文化と仏教の元祖である聖徳太子を祀っている。

月で餅を搗くウサギの由来

ウサギを信仰する歴史は古く『延喜式』にも記述されているとのこと。
その中でウサギは『月の精で千年生きる』とある。『ウサギと月』は昔から関係が深かったことがわかる。
このことを【月待信仰】と言う。
古代中国ではウサギは『薬をつく動物』と考えられていた。
月待信仰と結びつき、
【ウサギは月で餅をつく】動物とされるようになったとのこと。

・ 他の地域での月の見え方
餅を搗くウサギ   : 日本、韓国
薬草をつくウサギ  : 中国、アメリカの先住民
巨大なハサミのカニ : 古代中国、南ヨーロッパ
草原を掛けるイヌ  : モンゴル
編み物をしている女性: インドネシア
木の下で休み男性  : ベトナム
バケツを運ぶ少女  : カナダの先住民族
女性の横顔     : 東ヨーロッパ
などなど。
世界各国で月の見え方は違う。
時代も地域も違うのに、同じように見える国もあることに驚く。多分他にもいろいろな見え方があるのだろう。因みに太陽も各国で見え方が違うとのこと。

御朱印について

御朱印有り。
『津軽弘法大師霊場 第一番』
『津軽三十六不動尊霊場 猫突き不動』

すべてその場で書いてくださる。

【期間限定御朱印】
・ 随身門の仁王様修復記念と一般公開中の期間、特別御朱印有り
・ 期間は2023年4月10日~5月10日

感想・まとめ

筆者は兎年ということもあり、参詣に赴く。一度訪れてみたいとも思っていた。
山門から拝む場合の駐車場は少々小さめだが、境内の敷地は広々としている。
山門には『卯歳一歳様』の文字と空と正面を向いたウサギが出迎えてくださる。意匠が施された門は一見の価値があるだろう。


五重塔は下から見ても各層が同じくらいの高さに見える。そういう風に見えるように作られているとのこと。他の五重塔を見ていても思うが、一度でいいから中を見てみたいという衝動に定期的に駆られる。文化財保護の観点からも困難なことはわかるが、本だけではなくやはり一度は見てみたい。
春や秋、冬に参詣すると、また違う顔の五重塔が見られるのだろう。福場は難しいが、一度は別の季節に眺めるのも風情があるのだろう。
山門や五重塔の意匠を凝らした彫刻や建築に目を奪われがちだが、本堂の荘厳さも良いだろう。華美な装飾はないが、どっしりとした力強さが伝わる。シンプルな見た目だが、それがかっこよく目に映った。
全体的に落ち着いた雰囲気があり、ゆったりとしているように感じた。

追記

2023年4月10日より随身門の仁王様が修復されたことにより、1か月ほど一般公開をされている。
勿論写真撮影は禁止されているが、一度弘前に足を運んで観覧してほしい。
修復前は目玉が落ち、某国の修道画のようなひどい修復(二度塗り)がされていた仁王様。
しかし京都の職人たちにより、仁王像が作られた時代に酷似した色合いに塗りなおされた仁王様。威風堂々とした立ち姿、厳しい中にも優しさを見ることができる表情、木製であるはずなのに風で靡いているような表現をされた腰布など…職人芸と作成当時の御姿を身近で見ることができる。
また今年の桜は例年よりも早かった。
このことにより仁王様だけでなく、最勝院本堂・楼門・五重塔と一緒に桜を見ることができる。
青森に住んではいるが満開の弘前の桜を見たことはなかっただけに、今回(2023年4月12日現在)の参拝は感慨深いものになった。

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