PR

世界的超有名ビジネス書『完訳 7つの習慣』感想。7つは多すぎるので「自分と自分の半径5mの相手を思いやり、一生涯かけて大事にしつづけよう」を守っとけば良いんじゃないか説(後半:公的成功編)《ブックレビュー》

books in black wooden book shelf 読書
Photo by Pixabay on Pexels.com
この記事は約20分で読めます。

この記事は、『完訳 7つの習慣』(キングベアー出版)のうち、後半の「公的成功」についての感想です。

もしまだ前半の「私的成功」のほうをお読みいただけてない場合、興味がありましたらそちらも読んでいただけると全体の流れがわかりやすいと思います。

あくまで、この記事を書いた人が感じたことを書いているものになりますが、何かの参考になれば嬉しいです。

前半はこちら↓

スポンサーリンク

外面のパラダイムシフト―「公的成功」とは

公的成功とは相互依存のパラダイムです。公的成功は、次の3つの習慣によって構成されています。(番号は私的成功からの続き)

  1. Win-Winを考える―人間関係におけるリーダーシップの原則―
  2. まず理解に徹し、そして理解される―共感によるコミュニケーションの原則―
  3. シナジーを作り出す―創造的協力の原則―

それぞれ、僕なりに解釈したことをまとめていきます。

公的成功の前提となること

自分に打ち克つことが必要と著者は説きます。このことはつまり、私的成功の領域のことを指していると僕は思いました。公的成功のことを考える前に、まずは内面のパラダイムシフトから起こす必要がある、ということだと思います。

この章では「相互依存」というキーワードが出てきます。相互依存と聞くと、聞く人によってはあまり印象の良い言葉のようには思われないかもしれませんが、本書では違います。良い意味で、シナジーを創り出すことができる関係性のことを、著者は相互依存関係と呼んでいるのだと僕は解釈しています。

また著者は「自立」について厳しく定義をしているように思います。社会的にどのようなことで自立と言われるかを考えてみると、たとえば「一人暮らしをしている」「パートナーがいる」「家族を養っている」「仕事をして社会に貢献している」「これだけの給料をもらっている」「これこれのことで認められている」「フォロワーがたくさんいる」「これだけのいいねがもらえている」などいろいろなケースが考えられますね。

ですが、これらのことは他者からの承認を他者に対して証明し、そしてその他者からの承認を自己に内面化した状態を自立していると自己定義しているだけということになります。

crop coworkers giving thumbs up
Photo by Oleksandr Pidvalnyi on Pexels.com

著者に言わせればこれらはすべて言い訳をしているのにすぎず、まだ半依存の状態にあるということです。それらは「自立する」ということに囚われているにすぎず、「自立していないもの」の反対のことを他者に証明しようとしているだけなのです。言い換えれば、自分の外側の現象から自分を定義しているということで、それは自分がない、すなわち自主性が獲得できていない、ということなのではないでしょうか。このことは第1の習慣が身についているかどうかのテストです。

このあたりでP/PC関係ということについても触れられています。PはProductすなわち成果であり、PCはこれを生産する能力、Productive Capabilityすなわち生産性です。

成果物に問題があるとき、それは失敗ではなく、生産性を高める機会であると著者は言っています。これを言い換えて日本的に表現すれば「カイゼン」の考え方と同じではないかと僕は思いました。つまり、問題があることを問題があるという事実だけで捉えず、次に進むための良い機会、チャンスだと考えて、レビューし、次のアクションを実行するPDCAを回すのです。

これは料理で考えてみるとわかりやすいかもしれません。はじめてチームで一緒にカレーを作ったとします。各レシピの工程にはそれぞれ担当者がいてます。そしてカレーを作るには鍋やおたまじゃくしなどの道具、ガスや電気などの熱源、そして肉や野菜、調味料などの材料が必要になりますよね。

カレーの作り方はレシピを見て全員が理解しているとしましょう。そのとおりに作ったものの、なんだか美味しくないな・・・となったとき、それは事実としては失敗のカレーができています。

content children preparing healthy salad together in loft kitchen
Photo by Gustavo Fring on Pexels.com

しかし、ここで立ち止まらずになぜ失敗に至ったのか、どこでつまづいたのかをチーム一丸となって詳しく検討することによって、次回の失敗を少なくするか、または成功に導くことができるかもしれませんよね。

なんども繰り返し作ってはフィードバックし改善をしていくことによって、カレーはどんどん美味しくなっていきますし、チーム担当者の個々人の成長とともに全体のスキルも上がり、他の料理も作れたり、カレーの奥深さを追求したりなど幅が広がっていくことになります。

カレー(P)をチームで作る能力を高める(PC)という例から言えることは、相互依存関係でPCを高めるということはすなわち個の成長+全体のボトムアップではないかということです。個の成長だけでも多少のボトムアップにはなりますが、全体で見たときに大きく前進しているわけではないこともあります。

傑出した人が一人だけいてもチームプレイでは決勝まで残ることは難しいものです。相互依存の関係の中でお互いがお互いのことを認め、高め合うことができて初めて、全体として大きく成長することができるのです。

これが公的成功のキーとなる概念の、「相互依存のパラダイム」を僕なりに解釈したものです。

Win-Winを考える―人間関係におけるリーダーシップの原則―とは

もはや燃え尽きそうな勢いですが、公的成功の習慣を読んでいきましょう。

第4の習慣は、「Win-Winを考える」です。なんだそんなことか、と思われるかもしれませんが、一度立ち止まって考えてみていただきたい。著者の意味するところのWin-Winと、あなたが考えているWin-Winは、実は別の概念かもしれません。

著者はWin-Winについて次のように定義しています。「Win-Winとは、ガイドラインと使えるリソースをはっきり決め、その範囲内で具体的な結果を達成する責任を個人に持たせる考え方」であり、その前提条件として「それを実現できる人間関係を誠心誠意築くことが先決」言っています。

そして、Win-Winを実行するためには、次の5つの要素が不可欠だとします。

  • 望む成果 いつまでに、何を達成するか
  • ガイドライン 望む成果を達成するために守るべき基準
  • リソース
  • アカウンタビリティ(報告義務) 結果を評価する基準、評価する時期
  • 評価の結果 達成度合い、貢献度合い、評価の結果としてどうなるのか

どうでしょうか。Win-Winというのは単にお互いにメリットがあればいいんでしょ?やってるよそんなカンタンなこと・・・程度に思ってはいなかったでしょうか。

著者の考えているWin-Winの関係とは、まずお互いが相手に対して誠実であり、相手のことを思いやることができ、そしてお互いに適切な取り決めを行いこれを実行するという厳密なものです。いわば契約を履行することに近いと言えます。簡単に反故にされてしまうようなWin-Winの関係性はWin-Winの関係ではないのです。Lose-WinもしくはWin-Loseに陥っている可能性があります。

people throwing pins
Photo by Pixabay on Pexels.com

ビジネスにおける相互の関係性には必ず合意が必要です。Win-Winだけではなく、どちらか一方に有利なWin-Lose、取引しないNo Dealにおいても、双方合意の上で関係性が結ばれています。No Dealの場合は、合意しないということに合意をしているということです。この場合どちらかがLoseになることを避けることにも繋がります。

Win-Winについて考える前に、主体性があり、終わりを思い描くことから始め、最優先事項を優先できる人格を私的成功によって獲得しなければならないのです。自分の影響の輪を主体的に意識し、ものごとの終わりを見据え、人生にとって重要な第Ⅱ領域に使える時間を最大限確保可能な状態である私的成功を収めていなければ、Win-Winを考えることは難しいと言っているのです。これは多くの人にとって相当難しいことなのではないかと思います。

このあたりまで読み進めてくると、自分にはこんな多くの習慣をこなすことは不可能なのではないかと思い始めてきます。当然です。まだ何もしていない状態で、本を読んだだけで第1の習慣すら始まっていないのですから。

著者の理想とする人格は相当レベルが高いことがわかってくるでしょう。だからこそ名著と言われるのかもしれませんし、多くのビジネス書籍が7つの習慣を薄く伸ばして切り取ったような内容になっているのです。普通の人間にとって、7つの習慣は多すぎるからです。

しかしながら、7つの習慣の内容を自分なりに少しずつ噛み砕いていくことによって得られるものは大きいんじゃないかと思います。たとえ、1つしか習慣にならなかったとしても、随所で「これは7つの習慣のこのあたりで言われていた内容と似ているな」と思うようになってくると思います。そうなってくると、少しですが7つの習慣が実はしらずしらずのうちに身についてきていると言って良いんじゃないかと思います。

a couple walking on the street
Photo by through my lens on Pexels.com

この章では「条件付きの愛」という概念にも触れられています。このような状態に陥っている人は結構いるんじゃないでしょうか。僕もそんなひとりだと思いますし、いまもどうしてもそういう生き方のクセがあるような気がします。

このことが人生に与えている影響というのは意外と大きく、この修正をするためには大きな気付きや努力が必要だと思います。他人を見て、他人を中心にして生きるようになり、一生を競争の中で過ごすことになってしまいます。それが得意な人はいいと思いますが、得意ではないのに競争をずっとやり続けるというのは辛いものです。

そこで7つの習慣の出番というわけです。まさにこの生き方を見直し、軌道修正を行っていくことが前半の私的成功の結果となるのであり、これを土台にして公的成功に広がっていくということなのではないかと思います。

そうしたことがあって、競争におけるWin-LoseもしくはLose-Winのパラダイムから抜け出し、Win-Winを達成できるようになっていくのです。

まず理解に徹し、そして理解される―共感によるコミュニケーションの原則―とは

相手がどう感じるかをコントロールすることは、テクニックによって服装や表情、しぐさなどで補うことができると考えている人や、実際にそれを実践して身についている人もいるかもしれません。犯罪における潜入捜査官やスパイ映画などで見られるようなテクニックもこれに相当するかもしれません。

しかし、これら実用上のテクニックはあくまで短時間効果があるものであり、非日常で使える一時しのぎにすぎないということを覚えておくべきでしょう。これらに効果がないとはいいませんが、日常では自分でさえ、ましてや自分と関わる人の自分への印象をコントロールすることは困難を極めます。

「相手に自分をわかってもらえるかどうかは、あなたの日頃の行い次第」「あなたと接して相手がどう感じるか、それがすべて」と著者は言っています。僕も個人的にそう思っています。いくら表面を繕いつづけていても、どこかでほつれが出てきてしまい、それをまた繕ってという作業を繰り返し、その終わりのないループに陥ってしまうと、無理が出てしまいます。

それは効果的な生き方と言えるでしょうか?エネルギーに余裕があるうちはいいかもしれませんが、人間が使えるエネルギーは決して無限ではないということを意識すべきだと思います。

だからこそ、自分にとって自然に生きようとするということを主体的に意識して日々を過ごすのが、結果的に自分をいたわることでもあると同時に、相手との関係性を構築する土台になっていくのです。これは私的成功の領域である第1の習慣にも関係することです。

そのうえで、著者は共感による傾聴について「まず相手を理解しようと聴くことであり、相手の身になって聴くことである。相手を理解しよう、本当に理解したいという気持ちで聴くこと」と定義しています。

傾聴とは、相手を理解するためのスキルです。スキルであるがゆえに、練習し身につけることが出来ます。著者はこのスキルについて4つの段階があると言っています。

共感による傾聴スキルの4段階

1 相手の言葉をそのまま繰り返す
2 自分の言葉に置き換える
3 相手の気持ちを言葉にする
4 相手の言葉を自分の言葉に置き換えると同時に、相手の気持ちも言葉にする

一般的な定義としても共通するものがあると思いますが、重要なのは「ちゃんとあなたの話を聴いているよ」という姿勢を相手に示してわかってもらうこと、そして自分および相手がその話についてどう感じているのかということをいったん外に出してみるということだと思いました。

なぜその2点が重要だと思うかといいますと、「ちゃんと聴く」というのは意外と難しいものだからです。ちゃんと聴くためには相手の話している内容そのものにまずは集中しなければなりませんし、それに加えて相手の目、表情、手など体の微妙な動きや無意識の反応などから発せられる情報を読み解いて、本当に求めていることはなんなのだろうかということを五感を研ぎ澄ませて探り当てなければなりません。

そのうえで、話し手(相手)はこう感じているから、どのようにしていきたいと思っていて、何を求めて受け手(自分)に話している目的はなんだろうかというように様々なことを推測し、慎重に応答していくというようにコミュニケーションを進めて行く必要があります。そこまでできてやっと、「ちゃんと聴く」だと僕は思います。

ただただ黙って聴く、ただ同意の相槌を打つというだけでは、傾聴していることにはなりません。明らかに日常の雑談だったり、冗談を言い合っていたりするときはここまで深く考える必要がないかもしれません。

ですが相談を持ちかけられたときや重要な話をしているとき、仕事で商談をしているときなど、相手方から自分に対してなんらかの期待があるようなときは、傾聴のスキルを知っているか否かというだけでも、その後に収穫できる果実の質・量が変わってくるのではないかと思います。

また、「このようにしたらよい」とすぐ解決策を提案したがる人、「いや、でも」などと言って否定形で相手の話を遮り、自分の言いたいことを言ってしまうクセを持っている人たちがいます。それは本人としてはコミュニケーションを取っているようで、実は一方的に相手をねじ伏せる行為であり、快楽を得ているだけにすぎないかもしれない、という可能性を一度考えてみたほうがいいんじゃないかと思います。

man in black suit jacket sitting on brown wooden chair
Photo by cottonbro studio on Pexels.com

「理解に徹し、そして理解される」。逆説的になっていますが、相手に影響を与えるためにはまず、自分も相手の影響の輪の中に入り込み、そして理解したあとに、相手から理解されることを経て、相互のコミュニケーションが成立していく。それが相手を理解するということであり、相互依存のパラダイムに入るということなのではないでしょうか。

この「まず相手を理解し、そして理解される」第5の習慣は、この本を読んでからすぐに取り入れられ、練習でき、そして練習すればするほどにうまくなる実用的スキルだと思います。これを読んでくださった方にも傾聴のスキルを鍛える訓練を日常的に取り入れることをオススメしたいです。

すぐ上手くできるようになる必要はないと思います。先程あげた4つの段階を、一つひとつ丁寧に積み上げていけば、いずれ効果的な傾聴ができるようになるでしょうから、まずは相手の話を聴いて、話を途中で遮らず、相槌を打ちながら、相手が言ったことをそのまま繰り返し発話してみること。これが第一歩になります。

だんだんと慣れてくれば相手が話し終わって、レスポンスを欲しがっているタイミングで「○○と言ったのは●●(自分の言葉に置き換えて相手の気持ちを代弁)っていうことでで合ってる?」というように確認や質問をしながら、相手の話を聴くことができるようになってくるはずです。

そうなれば、自分と相手の理解の水準が合っている状態で話をすすめることができるので、スムーズに相互依存のパラダイムに入っていけるはずです。

そんな傾聴スキルですが、アドバイスをするときには注意点があります。あくまで論理的に相互にコミュニケーションできているということが重要です。人間も動物ですので、常に論理的なモードで相手と接することができているかというとそうではないというのが現実だと思います。感情的にならない人がいるとしたらよほど鍛え上げられた人格者とか仏とか、AIかもしれません。

感情モードに入ると論理モードの話は入りにくくなります。逆に感情モードをうまく使うことで、論理モードを使わせないようにすることで難局を突破できるということもあるかもしれません。この点は交渉術などにも通ずるところがあるような気がします。刑事ドラマ好きな方は想像しやすいかもしれません。

しかし、相談などで相手がこちらに意見を求めている状況では、相手が感情的になったと感じた瞬間に、こちらからの発話は一度ストップして、傾聴モードで相手を落ち着かせる必要があります。そうすることで、お互いに脳の論理的な部分を使って落ち着いて問題解決ができる可能性が高まります。

top view photo of people near wooden table
Photo by fauxels on Pexels.com

特にビジネスの現場ではこれが非常に重要です。議論が活発にされているときこそ、気をつけたいポイントです。冷静に意見を発信しているつもりが、いつのまにか熱くなってしまい、感情的になってしまった経験や、そうなっている議論を眺めていたことなどがないでしょうか?

冷静な議論をするつもりが感情のぶつかり合いになってしまっているという場合は、いったん休憩を挟むとか、誰かが共感モードで傾聴に徹する、客観視できる第三者が議論を整理するなど、参加者が論理的になれるように軌道修正する必要があります。

ファシリテーターなどがいる場合はその人が役目を負うことになります。相手が感情的になったときは、こちらもそのまま感情を受け取るのではなく、お互いが落ちつき、冷静になれる仕掛けが必要です。建設的な議論とは、お互いの信頼に基づいて意見を出し合い、論理的にWin-Winとなるような相互依存の関係性の上に成り立ちます。

まず相手の理解に徹することで、共感が生まれ、そこからお互いの理解を深められるきっかけが生まれる可能性が出てきます。そういう意味で、相手を理解する努力をすることが大切なのだと僕は思いました。

説得について、アリストテレスが提唱した説得の3要素があります。ロゴス・パトス・エトスです。アリストテレスはロゴスを中心に説得の技術を記述しているそうですが、著者は「エトス、パトス、ロゴス」という順番に注意せよと主張しています。なぜかというと、まずは私的成功から始まり、説得の際には論理が必要になるからです。すべての土台は、私的成功にあると言いたいんだと思います。

Win-Winの相互依存関係を築いていくには、まず前半の私的成功の分野において原則中心の生き方となっていることが重要であり、その土台の上にお互いの信頼関係が作られ、Win-Winの提案ができるようになります。

自分がしたいことや叶えたい主張などをとにかく通そうとしたところで、相手との信頼関係がなければ主張は虚空に響くだけですし、何者なのかわからない人の主張はどこにも届きませんよね。僕はそう解釈しています。

2023年の現在は、SNSなどが発達し、インターネットにアクセスできる誰もが自己主張をできる場所ができました。そこでこの主張について考えてみると、もともと著名な人であっても論理的でなければ信頼されませんし、逆に発信の論拠やデータ等が正確かつ明快であれば、発信を続けることで信頼を得ることができます。

情報発信するにあたっては、まずは情報の受け手がどのような人たちかよく考えて想定する必要があります。ペルソナ設定と言われますが、ターゲットとする人たちを明確にして分析することによって、メッセージは届きやすくなります。

このペルソナ設定についても、まず相手の理解に徹するという原則に基づいた行動と考えることが出来ます。そうでなければ、メッセージは届かず、相手に理解されることもないでしょう。

1対1の人間関係だけでなく、個人と組織、国と国などの関係性に置きかえても、この第5の習慣は適用可能と考えることが出来ると考えます。相互に関係しているすべての関係をWin-Winにするためには、相手に対する深い理解と共感は必要不可欠なものなのです。

シナジーを作り出す―創造的協力の原則―とは

シナジーとは一般的にいうと相乗効果、相互補完関係などと表現されるものです。単純化すると、1+1が2以上となる関係性におけるその効果のこと。

これって実はすごく基本的なことなのではないかと思っています。なぜなら、人間は動物の一種であり、誰ひとりとして完璧な人間というのは存在しないと考えているからです。テクノロジーがいくら進歩しても、人間が動物であるという事実は変わりません。そして、テクノロジーについても、結局は人間の弱いところを補ってくれたり、強いところをさらに強化してくれるにすぎないものだと思います。

人と人の関係性であればなおさら、このことは意識されてきます。自分には得意なことと不得意なことが存在していて、それは生物学的、遺伝的、社会的、環境的などさまざまな要因から発生するものです。だからこそ、強みと弱みを明らかにして、お互いに協力し合うことによって、人間は次の段階に進めるのではないでしょうか。

過去の世代を責めても生産性はないし、自分には未来がないからと言って諦めてしまえばそこで終わります。いま、ここ、わたしとあなたという関係性において、シナジーが生み出されることが、次の世代へとつながっていき、それが連綿と連なっていくのではないでしょうか。

woman using laptop computer with vr headset
Photo by ThisIsEngineering on Pexels.com

著者が言っている安定性、原則と内なる価値観による誠実さとは、すなわち私的成功のことを指していると考えられます。やはりここでも、特に第1の習慣である「主体的である」ことの重要性がはっきり浮かび上がってきます。

第5の習慣にも言及しています。ここでも同様なのですが、シナジーを生み出すためには誠実な人格の上に出来上がった相互依存にもとづくWin-Winの関係性がなければ、シナジーを生み出すことは出来ません。

ここまで来ると、この7つの習慣がかなりダイナミックに人生を動かすための原動力になるということがわかってくるのではないでしょうか。右脳と左脳、論理と感情。それだけにとどまらず、個人と個人、組織と組織など、より大きな関係性においても、シナジーを創り出すための原動力となることのベースは、主体的であるということです。

ここまで主体的であると著者の言葉を使ってきましたが、もっと平易に言うと、「自分のことをちゃんと大切にする」ということだと僕は思います。自分のことをちゃんと大切にできて、そして近くの人たちのことも思いやることができれば、自然と協力関係は生まれ、そして創造的なことも出来てくる可能性があります。

生きている私たちの誰もが、身近な人たちとの関係性の中において、パラダイムシフトを起こすことができるように思います。そのためには、まずは自分のことをちゃんと大切にするということがとても重要で、そこからインサイド・アウトの生き方になる、すなわち影響の輪を広げていくことができるのではないでしょうか。

そして第7の習慣によって「一生涯かけて大切にする」

人格を構成する要素には4つの側面があると言います。肉体、社会・情緒、精神、知性です。

著者の書いているこれらを磨き続けていく習慣はとてもよくわかりますし、すべてを習慣化して訓練・維持し続ければ効果があるということはよくわかります。しかしやっぱりちょっとハードルが高い気がしていて、この部分は自分なりにもっと簡単に考えていかないといけないかなと思っています。

僕なりにこの第7の習慣を要約すると、健康の維持、メンタルヘルスの安定、自分のために大事なこと、それぞれに時間をちゃんと使って、一生涯かけてこのことを大切にする、となります。

7つも習慣は続けられないので、単純化しちゃおう

なので、タイトルにもしましたが、「自分と自分の半径5mの相手を思いやり、一生涯かけて大事にしつづけよう」ということでいいんじゃないか?と思うのです。

まともにこの7つの習慣を続けようとすると、エネルギーがめちゃくちゃ余裕のある人は大丈夫かもしれませんが、大抵の人はどこかで折れてしまうか継続できなくなるんじゃないかと思います。人生の中ではいろんなことが起こりますので、いつのまにか習慣を忘れてしまうということもあるでしょう。

だから、7つの習慣にあまり執着することなく、自分なりにかみ砕いた言葉で、端的に、どういうことを大切にしたいか、を明確化しておいて、心に刻んでおけばいいんじゃないでしょうか。

僕個人としては「自分と自分の半径5mの相手を思いやり、一生涯かけて大事にしつづけよう」というような、どこかで聞いたような言葉をつなぎ合わせて表現しました。

別にオリジナリティに溢れる必要はないんです。だって、先人から学びなさいって言うじゃないですか。もしかしたら、もっといい表現があなたの心にはもう浮かんでいるかもしれませんね。

おわりに

超長文の読書感想文となりました。はーほんとにつかれちゃいましたね。ここまでお読みいただいた方もお疲れさまでした。

2022年の中盤から少しずつ少しずつ書き足しては消し、書き足しては消し・・・という作業を繰り返し、ようやく最後まで来ました。

正直、引用句をまとめながらもう1回読めたのが結構良かったです。7つの習慣については色んな人が読んでいると思いますし、特にビジネスに強い方々はバイブルのようにしている人もいるかも知れません。

僕の見立てでは、だいたいのビジネス書の内容というのは実はこの7つの習慣とか、過去の哲学とかそういう有名所をこすりにこすって、フィロ生地のようにうすーくうっすーーーーーく伸ばして、それをくり抜いて料理したみたいなものだと思っています。

7つの習慣を1周するだけで、「これは7つの習慣の中でどこそこに書いてあった内容と同じだな」というふうに判断できるようになるという点は大きいんじゃないかと思います。ビジネス書を読むなら正直これだけで十分と言われるゆえんですね。

仕事術とか細かいところはいろいろ方法論とかで違いはあるかもしれません。そうじゃなく、もっと本質的ななにかがつかめるというのがこの本の良いところではないでしょうか。

興味を持った方はぜひご一読いただくことをオススメします。そして、ぜひ自分なりに考え尽くして、結論としてどう生きていくか、その中心を探してみてはいかがでしょうか。

それではここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。へば!!

コメント

タイトルとURLをコピーしました