★春風亭柳昇(五代目)結婚式風景

春風亭柳昇(五代目)



ある結婚披露宴の風景。

はじめにスピーチに立った仲人さんは
「新郎の経歴は……ありません。新郎はお祖父さんとお祖母さんの孫としてお生まれになりました」
などと衝撃の挨拶をはじめ

しまいには
「私も仲人を五十組ほどしましたが、そのなかの六組ほどは生活苦から心中をしました。今日の二人はどうなりますか。仲人をするのは骨が折れますが、謝礼は少なくとも三万円貰えます」
と暴走。

次に挨拶に立った新郎の上司も
「私は本当は仲人がしたかった。今回は出来ませんでしたがぜひ次回で」
と大ぼけを言い、さらに
「新郎は幼少の頃、子供でした。小学校に八年間通い卒業。現在はサラリーマンをしていますが、遅刻は週に五、六回しかしません」
などと続ける。

三人目にスピーチに立ったのは新婦の学校の恩師。
この人が前の二人に輪を掛けてものすごく「新婦のお父さんは新婦が生まれる四年前に他界し、お母様は現在若い男をつくって行方不明」などととんでもないことを言い出す。
さて、披露宴の顛末は……


春風亭柳昇の自作による新作落語の代表作が「結婚式風景」である。
マクラで、結婚式での長いスピーチほど閉口するものはないと言い、現代の披露宴のおかしなところを列挙する。

三人のスピーチがならぶ本題まで、爆笑に次ぐ爆笑だが、その根底には柳昇による冷静なスケッチがあり、いま聴いても十分に面白い。
落語ファンでなくても気軽に楽しめる新作落語の傑作である。

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