ほっぺたの向こう

食にまつわるあれこれ.

食旅2.ドイツの牛飼い汁、グラーシュGulasch のサワークリームは主役級だった。

 ドイツのビーフシチュー(本場はハンガリー)であるグラーシュ(Gulasch)は、酸味が主役だと思う。名わき役を通りこして、主人公だと思うのだ。この酸味を出しているのは、サワークリームである。

 

 最初に出会ったのは、とあるレストランでのことだった。メニューにはグラーシュとグラーシュズッペというのがあって、それぞれ別物なのだと初めて知った。お隣のテーブルでおばあちゃま方が食べているのがとっても美味しそうだったのと、安かったのとで(!)、まずグラーシュズッペを注文してみたのだ。

 

 こちらがグラーシュズッペGulaschSuppe。「ズッペ」とはスープのことで、さらりとしていて、それでいて濃厚なお味。パンがついているので、スープにつけて食べても美味しい。

 そしてこのグラーシュズッペに、サワークリームが乗っかっていた。味を引き立てている名脇役なのだろうなあと思いながら、スプーンでひと匙すくって食べてみた。さわやかな酸味が、ビーフシチューによく合っている。この真っ白なトロトロは、主役級なのではないか。ふた口、み口と箸(スプーン)が進む。グラーシュは炒めた玉ねぎと赤ワイン、トマトピューレと赤パプリカ粉でできている。赤パプリカ粉を使うとピリッと辛くなるので、クリームがあればお口の中がマイルドになる。でも生クリームだとちょっと物足りないのだ。ここに、最初にサワークリームを持ってきたひとは、本当にすごいと思う。なるほど酸味がいる。この酸っぱさとまろやかな舌ざわりがグラーシュととてもよく合っていて、クセになる。

 

 こちらがグラーシュ Gulasch 。真ん中のジャガイモ料理がまんまるで可愛い。これはジャガイモのお団子クヌーデル Kartoffelknödel で、ちょっと食べただけで腹が膨れてポンポコリンになるツワモノである。パセリではなく葱をちらしてあって、この薬味がよい刺激になる。警戒して食べ始めるも、箸が進み、いやナイフとフォークが勝手に動き、最後にはけっきょくポンポコリンになる。

 

 店によってもちろん味が違う。以前ビール工房でグラーシュを頼んだら、ビールで煮こんだグラーシュが出てきた。ちゃんとビールの味がした。苦みがあって酸味があってすっきりして、お酒好きにはいいかもしれない、大人の味だった。ワインで煮こむというのが固定概念なのだと、そのとき思った。

どこの店でもグラーシュを注文するので、「また?」と言われることも多いけれど、自分好みの味を探すのも、またよし。

 

 

 

 

 

 

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