【論文掲載】Complex-valued Hopfield associative memories with hybrid connections (2)

前回、対称CVHAMではプロジェクションルールが使えないという問題点が残りました。そこで、次の研究を使って、新しいアーキテクチャを考案しました。
 Quaternion Projection Rule for Rotor Hopfield Neural Networks
ここで使われているプロジェクションルールの大元は次の論文にあります。
 Quaternionic Hopfield Neural Networks with Twin-Multistate Activation Function
新しいアーキテクチャでは、部分的に対称結合を採用しています。回転不変性を防ぐためなら、全て対称結合である必要はありません。

四元数について簡単に説明しておきます。ここでは2つの複素数 x,y を使って、x+yj と表します。次の2つの性質を抑えておけば十分でしょう。
  j2=1
  yj=jy
2つ目の性質から積は非可換です。入力和の様子を見るために積を計算してみましょう。
  (u+vj)(x+yj)=(uxvy)+(vx+uy)j
アイデアの骨子はニューロンの状態を x,y の一方に与えることです。y=0 および x=0 として計算してみましょう。
  (u+vj)x=ux+vxj
  (u+vj)yj=vy+uyj
この結果における成分間の変換をまとめよう。
 x成分 x成分:ux  y成分 y成分:uy
 x成分 y成分:vx  y成分 x成分:vy
異なる成分間の場合のみ複素共役になっています。x成分に割り当てたニューロンのグループを第1層、y成分に割り当てたニューロンのグループを第2層とします。このとき、同じ層内の結合は共役、異なる層間の結合は対称です。上手くいったように見えますが、実は不十分なのです。前回、2ニューロンでは回転不変性が消えていないことを説明しました。このままではニューロンが層に変わっただけで、層内は順回転、層間は逆回転という回転不変性が生じます。3層にすれば解決しそうですが、どのようにプロジェクションルールを適用すれば良いのでしょうか。それを次回解説します。