2023年12月04日
西ノ島噴火 防災 フェイスタオル
「噴火してる!」 新島発見、上空から硫黄島、西之島を撮る
硫黄島南側の沖で噴火する火口。噴出物によって新しい島ができている。奥は摺鉢山=東京都小笠原村で2023年10月30日午後0時23分、本社機「希望」から手塚耕一郎撮影
東京のはるか南に注目を集めている二つの火山があります。東京都心の南約940キロ、ちょうど10年前の噴火で新島が誕生した西之島、同じく南に約1200キロの硫黄島です。10月末、この二つを空撮しました。硫黄島では海底火山の噴火に遭遇し、誕生間もない新島を撮影。足腰がガクガクになりながらの取材でした。飛行時間はトータル約6時間。一連の取材過程と飛行機からの写真撮影の難しさを紹介します。【手塚耕一郎/写真映像報道センター】
噴火する火口などをとらえた写真特集はこちら。
羽田空港からまずは西之島へ。離陸は10月30日の午前8時過ぎ。東京大地震研究所の前野深准教授、くらし科学環境部の担当記者と共に本社機「希望」で向かいました。ノンストップでの往復は難しく、途中で給油が必要です。私は西之島取材は10年前の噴火時以来2回目。前回は八丈島で給油しましたが、今回は硫黄島の海上自衛隊基地での給油が可能になり、同島の空撮も追加。これが予想外の結果をもたらしました。
さておき、離陸時の主目標は噴火10年の西之島。羽田を出発して約1時間20分、海の上に浮かぶ西之島が見えてきました。隣の島まで約130キロの絶海の孤島。遠目には小さな島ですが直径は2キロ以上あり、10年前とは見違えるほどの大きさです。旧島を完全にのみ込んだ新島の面積は2020年時点で旧島の約17倍。生態系が完全にリセットされた孤島は極めて珍しく、島外から昆虫や植物などが持ち込まれないよう、細心の注意が払われています。
10年ぶりの西之島の印象は「カラフルな島」。高さ250メートルに達する火口の山肌は、部分的に硫黄による鮮やかな黄色が目を引きます。山肌は黒から灰色。海岸線では赤茶色の成分が海に溶け込んでいます。前野准教授によると、鉄分が溶け込んだ色とのこと。この赤茶色が濃い青色の海に溶け込んで、緑色のグラデーションに変化。大海原の中の色鮮やかなコントラストが印象的でした。
では撮影開始。全景を撮りながら上空を旋回し、島の様子を確認します。2周ほどすると火口の縁の高さが不均一で、見る方向によっては火口内の様子が見づらいことがわかりました。全景やアップで島を撮りつつ、途中から鳥を探しました。一度は増加した海鳥が、島の火山活動再開によって激減。再び戻っているとの情報があったからです。
海岸近くに溶岩の上が白く変色している営巣地のような場所を発見。600ミリの望遠レンズを構え、周辺一帯を連写して撮影しました。数百キロの速さで通過するため、撮影中には鳥の姿は見えません。撮影後に確認すると、群れで飛んでいる様子が写っていました。専門家に確認してもらったところ、カツオドリとアオツラカツオドリでした。
飛行機からの取材では、コックピットの後方左側にある「撮影窓」から撮影します。通常の窓は2重のアクリル製なので、反射や曇りの影響で高画質な写真は撮れません。撮影窓はサイズは同じですが、1枚ガラスで霜取りのヒーターも付いており、撮影への影響が最小限に抑えられています。大変高価なため、レンズなどで傷つけないよう、スポンジで保護したフードを装着して撮影を行います。
ここからは個人的な話です。私の場合、飛行機での空撮後は毎回、両足がひどい筋肉痛になります。個人差があると思いますが、特に両ももへの負荷が大きく、取材後に機体から出る際、数段のステップを下りる時にも力が入らず、バランスを崩しそうになります。
原因は撮影時の体勢。撮影時、飛行機は左旋回しながら機体を傾けます。撮影者は撮影窓越しにカメラを構え、膝立ち、中腰で撮ります。この時、体重以上の重力が体にかかります。離陸後の旅客機が一気に上昇する時に体に感じる圧力に近いと思います。
時には重い望遠レンズを構えながら、必死に加重に逆らってカメラ位置をキープし、繰り返しシャッターを切ります。これが筋肉痛の原因です。体形に合った座椅子を準備できればとも思いますが、取材によって撮り方も変わるため、今も重力に逆らって踏ん張りながら撮影を続けています。
西之島の撮影を約45分で切り上げ、太平洋戦争の激戦地として知られる硫黄島へ。現在は海上自衛隊の基地があり、一般人の立ち入りは制限されていますが、小笠原諸島や沖ノ鳥島などの南方取材では給油が必要となるため、自衛隊との取り決めで給油拠点として利用させてもらっています。
西之島から硫黄島まで約270キロ。飛行機なら30分弱です。「噴火してる!」。硫黄島に近づく…
フェイスタオル
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硫黄島南側の沖で噴火する火口。噴出物によって新しい島ができている。奥は摺鉢山=東京都小笠原村で2023年10月30日午後0時23分、本社機「希望」から手塚耕一郎撮影
東京のはるか南に注目を集めている二つの火山があります。東京都心の南約940キロ、ちょうど10年前の噴火で新島が誕生した西之島、同じく南に約1200キロの硫黄島です。10月末、この二つを空撮しました。硫黄島では海底火山の噴火に遭遇し、誕生間もない新島を撮影。足腰がガクガクになりながらの取材でした。飛行時間はトータル約6時間。一連の取材過程と飛行機からの写真撮影の難しさを紹介します。【手塚耕一郎/写真映像報道センター】
噴火する火口などをとらえた写真特集はこちら。
羽田空港からまずは西之島へ。離陸は10月30日の午前8時過ぎ。東京大地震研究所の前野深准教授、くらし科学環境部の担当記者と共に本社機「希望」で向かいました。ノンストップでの往復は難しく、途中で給油が必要です。私は西之島取材は10年前の噴火時以来2回目。前回は八丈島で給油しましたが、今回は硫黄島の海上自衛隊基地での給油が可能になり、同島の空撮も追加。これが予想外の結果をもたらしました。
さておき、離陸時の主目標は噴火10年の西之島。羽田を出発して約1時間20分、海の上に浮かぶ西之島が見えてきました。隣の島まで約130キロの絶海の孤島。遠目には小さな島ですが直径は2キロ以上あり、10年前とは見違えるほどの大きさです。旧島を完全にのみ込んだ新島の面積は2020年時点で旧島の約17倍。生態系が完全にリセットされた孤島は極めて珍しく、島外から昆虫や植物などが持ち込まれないよう、細心の注意が払われています。
10年ぶりの西之島の印象は「カラフルな島」。高さ250メートルに達する火口の山肌は、部分的に硫黄による鮮やかな黄色が目を引きます。山肌は黒から灰色。海岸線では赤茶色の成分が海に溶け込んでいます。前野准教授によると、鉄分が溶け込んだ色とのこと。この赤茶色が濃い青色の海に溶け込んで、緑色のグラデーションに変化。大海原の中の色鮮やかなコントラストが印象的でした。
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では撮影開始。全景を撮りながら上空を旋回し、島の様子を確認します。2周ほどすると火口の縁の高さが不均一で、見る方向によっては火口内の様子が見づらいことがわかりました。全景やアップで島を撮りつつ、途中から鳥を探しました。一度は増加した海鳥が、島の火山活動再開によって激減。再び戻っているとの情報があったからです。
海岸近くに溶岩の上が白く変色している営巣地のような場所を発見。600ミリの望遠レンズを構え、周辺一帯を連写して撮影しました。数百キロの速さで通過するため、撮影中には鳥の姿は見えません。撮影後に確認すると、群れで飛んでいる様子が写っていました。専門家に確認してもらったところ、カツオドリとアオツラカツオドリでした。
飛行機からの取材では、コックピットの後方左側にある「撮影窓」から撮影します。通常の窓は2重のアクリル製なので、反射や曇りの影響で高画質な写真は撮れません。撮影窓はサイズは同じですが、1枚ガラスで霜取りのヒーターも付いており、撮影への影響が最小限に抑えられています。大変高価なため、レンズなどで傷つけないよう、スポンジで保護したフードを装着して撮影を行います。
ここからは個人的な話です。私の場合、飛行機での空撮後は毎回、両足がひどい筋肉痛になります。個人差があると思いますが、特に両ももへの負荷が大きく、取材後に機体から出る際、数段のステップを下りる時にも力が入らず、バランスを崩しそうになります。
原因は撮影時の体勢。撮影時、飛行機は左旋回しながら機体を傾けます。撮影者は撮影窓越しにカメラを構え、膝立ち、中腰で撮ります。この時、体重以上の重力が体にかかります。離陸後の旅客機が一気に上昇する時に体に感じる圧力に近いと思います。
時には重い望遠レンズを構えながら、必死に加重に逆らってカメラ位置をキープし、繰り返しシャッターを切ります。これが筋肉痛の原因です。体形に合った座椅子を準備できればとも思いますが、取材によって撮り方も変わるため、今も重力に逆らって踏ん張りながら撮影を続けています。
西之島の撮影を約45分で切り上げ、太平洋戦争の激戦地として知られる硫黄島へ。現在は海上自衛隊の基地があり、一般人の立ち入りは制限されていますが、小笠原諸島や沖ノ鳥島などの南方取材では給油が必要となるため、自衛隊との取り決めで給油拠点として利用させてもらっています。
西之島から硫黄島まで約270キロ。飛行機なら30分弱です。「噴火してる!」。硫黄島に近づく…
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