人事労務の「作法」

企業の人事労務課題を使用者側の立場で解決します

058.人事制度の構築(16) 成果を何で測るか

今回は、人事評価の三つ目の要素である「成果」について考察します。

前回、コンピテンシーについては、優れた成果を出すための行動特性であると定義しました。それでは、ここでいう成果とは何を指すのでしょうか。

成果とは企業活動の結果であり、具体的には、売上、利益の他、生産性やレピュテーションなど広範囲に亘ります。

企業は経営戦略に基づいて年度計画を策定し、その計画を達成するために各部門が年度計画を立てます。各部門に所属する社員は、部門の年度計画を達成するために自身は何をすべきかを上司と協議の上で決定し、年度目標とします。この一連の流れは目標管理制度(Management by Objectives=MBO)と呼ばれるものです。MBOドラッカーが提唱した組織マネジメントの概念であり、組織と個人の目指す方向性を一致させ、個人目標の達成が組織の成長発展につながることを実感することで、企業活動への参画意識の醸成とモチベーションの向上を狙いとするものです。

人事評価の要素として成果を取り入れる場合、このMBOによる目標の達成度で評価を行うのが良いでしょう。ただし、公正な評価を行う上では、目標の設定の仕方には注意が必要です。

先ず第一に、個人の目標は組織の目標に結び付くものである必要があります。組織が進む方向とズレた目標は成立しません。

次に、目標は具体的かつ検証可能なものとしましょう。その目標による成果は何であるかを明確にし、達成度合いが判断できることが重要です。営業部門が売上や利益を目標にするのが典型例ですが、管理部門など目標を数値化することが難しい部門もあります。筆者の見解では、無理に数値化する必要はないと考えています。ただし、「○○の業務を頑張る」と言った抽象的なものではなく、「○○の業務を独力で処理する」というように達成度が判断できる目標であれば良いと考えています。

また、研究開発部門など、成果がすぐに現れないような部門は、年度単位で進捗を区切って目標設定しましょう。

次回、MBOの運用について更に考察します。

 

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