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「妻の友達」~隣の部屋で~

周囲を包む静寂が、真理子の声によって突如裂けた。「大丈夫。里香さんは深く眠っていますよ」と、その声は夜空に溶け込むかのように柔らかかった。その声には禁断の誘いが込められており、彼女がゆっくりと俺の胸に寄り添う様子が、夜の空気を一層濃密にした。彼女の言葉は酔っ払いの悪戯だとわかっている。だが、彼女の柔らかな香りが俺の鼻腔をくすぐり、それはまるで古い記憶を呼び覚ますかのように、俺の理性をじわりと侵していった。心の奥底から湧き上がる禁断の欲望に、自己嫌悪しながらも、その甘美な誘惑から逃れられずにいた。
俺の名前は浩一。妻の里香は、定期的に親友の真理子を招いては、二人で酒を酌み交わし、深夜まで話に花を咲かせている。邪魔者にならないように、俺は自室で静かに自分の趣味、釣りの仕掛け作りに没頭していた。妻と真理子、年齢は一回り違うが不思議と気が合うようで、しばしば連れ立って出かけている。真理子の外見は40代後半とは思えず、彼女が部屋に入ると女性特有の色気が空気を変える。俺から見ても、その美しさは際立っており、しばしば他人の目を引くのを見ている。それでいて、誰にでも親しみやすい性格で、内気な俺にも自然と話しかけてくれる。芸能人かと思えるほど美人過ぎる彼女に話しかけられると、俺は満足に受け答えが出来ない程だった。

そんなある夜、いつものように真理子が遊びに来ていた。四時間ほどが経過し、家の中が静まり返ると、二人は酔いつぶれて眠っていた。起こしても反応がないので、俺は二人に水を飲ませ、里香を寝室へ運び、真理子をソファに寝かせた後、自分の部屋へと戻った。しかし、しばらくするとドアが開き、現れたのは真理子だった。

「ごめんなさい、寝ちゃってましたね」と彼女が言い、「あ、あぁ。もう電車もないし、送っていこうか?」と俺が提案すると、「どうして浩一さんはそんなに優しいの?里香さんが羨ましい。私もこんな優しい旦那さんがほしいな」と真理子はぽつりと言った。そしてふと、悪戯っぽく「ねえ、浩一さん。私の旦那さんになってよ」と言い出したが、俺はそれを酔っ払いの戯言として軽くあしらった。それにも関わらず、彼女はさらに俺に近づいてきて、「私じゃダメなの?」と迫った。「飲みすぎですよ、さあ、送るよ」と俺が静かに言ったが、真理子はそんな俺の言葉を聞き流し、ゆっくりと距離を縮めてきた。隣の部屋で里香も眠っている。そのことを真理子は知ってか、「大丈夫。里香さんは寝ていますよ」と俺の胸に体を預けてきたのだった。酔っ払いの悪戯だとわかっている。だが、吸い込まれそうな真理子の瞳と柔らかな香りに俺は、我慢できず真理子をつい抱きしめてしまった。真理子の手が俺の腕にそっと触れると、その指先から熱が伝わってきた。彼女の頬は赤く染まり、「じゃあ、送ってくれますか?」という言葉が震えていた。その一言が、背徳の重さを一層強調し、俺の心臓の鼓動を早めた。
真理子の魅力に圧倒されそうになりながらも、俺は「送ってくるよ」と妻にメッセージを残し、家を出た。このまままっすぐ家に帰るのか、それともただの酔っ払いの戯言なのかはまだわからない。しかし、彼女は俺の手をしっかりと握り、その握りは決意のように固く、離そうとはしなかった。

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