鳥獣戯画の世界 | 空想俳人日記

鳥獣戯画の世界

 学生の頃(中学か高校かな)、いろんな絵巻を日本史か美術史かで習ったとき、この鳥獣戯画が一番面白いと思った。
 そんな鳥獣戯画の展覧会が、平成の大修理も終え、東京都国立博物館で展覧会史上初の4巻すべてを一挙公開なる「国宝 鳥獣戯画のすべて」が2021年4月から5月に開催されたんだねえ。行きたかったねえ。でも、観に行って、観ることは出来たとして、愛知に帰ろうとすれば、愛知の人たちから「帰ってくるなあ、とうきょうからは~」って言われそうじゃん。なんだろうねえ、このコロナ禍。人間の本性が丸見えじゃん。所詮、人間は、人間のことしか考えていなくて、さらには、自分のことしか考えていない、霊長類と呼ぶには最悪な生物だねえ。
 ということで、遅ればせながら、特集を組んでくれた雑誌の中で、一番、気になる点を網羅してくれてる「時空旅人」の別冊「鳥獣戯画の世界」を入手した。

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 いやあ、マイッタ。目から鱗。この作品、一作者、鳥羽僧正って習ったけど、どうも、そうじゃないらしい。描いた人は、5人はいるらしい。筆致の研究も進んでいる。
 ま、とりあえずは、4巻のうちの甲巻から。これ、みんなよく知っている絵らしいけど、私は、こっちのが良く知ってる。

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 でね、この甲巻、前半と後半で作者が違うらしい。まじか、まじか。筆を見ると、確かにそうだな。
 そして、乙巻。甲乙つけがたい、乙巻。後半の、この世に存在しない生き物が登場するのは、心地よい。ただ、鳳凰がいないのは残念。

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 そして、丙巻。もう、あまり見ないよね。これが、凄いのよ。前半が人物戯画で、後半がいきなり動物戯画。これね、前半の人物戯画の紙の裏面を利用して、後半の動物戯画を描いたんだって。つまり、紙の裏表を使ってる。それを後に、薄紙剥がすように、2倍のページになった。それでも、紛失されてる枚数も分かったらしいよ。

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 そして、丁巻。これまでとは全く違う筆致。作者も明らかに違う。

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 ということで、作者は5人はいるらしい。鳥羽僧正は何処へ行く。

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 それよりも、もっと重要人物。これらが所蔵されていた、高山寺の。高山寺所蔵の「鳥獣戯画」をリアルタイムに見ているか分からないけど、後鳥羽上皇から栂尾を下賜され高山寺を高山寺を開山した明恵。

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 彼は、当時の親鸞やら道元からもメチャ遠い人で、宗派は分からない。いや、ない。とにかく、僧は僧らしく、俗は俗らしく生きればいい、そう言った人で。行きつく先、すべての自然と仲良く生きることをモットーにした無宗派の僧侶です。
 この人が気になってきましたよねえ。普通坊主と言うと、何宗の何派ってあるじゃないですか。そうじゃない、この人、川端康成さんや、多くの文学者にも愛されてるみたいで、なんと、鳥獣戯画が、鳥羽僧正の作品という人は今殆どなく、考案者が、この明恵ではないか、そんな説も浮上してきました。
 もう、こうなると、明恵が開山した高山寺に行きたくなるではありませんか。近いうちに行きます。高山寺。


鳥獣戯画の世界 by (C)shisyun


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