僕らはまだ、臨床研究論文の本当の読み方を知らない。論文をどう読んでどう考えるか | 救命救急センター最前線

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普通に大学を卒業し、臨床に出た医療従事者は、論文の読み方というものの系統だった教育を受けたことはないでしょう。最近の大学ではあるところもあるようですが、少なくとも私が大学生だった20年前はなかったです。よって論文の読み方は独学しなければいけませんが、その一助となる本が出版されました。思ったよりもボリュームがありますが、1項目は短く、読みやすい文章で、サクサク読んでいけました。研究目的で端的に分類し、それぞれの特徴を解説してくれています。統計についても必要最小限の解説もあります。論文はまず読むことが大切です。論文の読み方や統計の本を何冊読んでも、実際に論文を読んでみないと自分の身にはつきません。さらに自分で論文を執筆するようになってから見えてきた読み方もあります。そんな視点から読み方を系統的に教えてくれるのはありがたいです。SPHを出ている身ながら結構勉強になりました。特に機械学習については素人に近い分野であり、読み方の基本が分かりました。抄読会を担当する人には是非読んでほしいと思います。ちなみに所々にあるイラストが秀逸です。たまに「俺はこの分野は専門だから基礎レベルの本は読まない」という人もいますが、私は自分の専門分野(どこ?)でも、初学者向けに書かれた本をよく読みます。それは、初学者に分かりやすく教えるために、他のエキスパートはどう解説しているのか、がよく分かるからです。