ピストルと少年(1990年) | 勝手に映画紹介!?

ピストルと少年(1990年)

ピストルと少年 [DVD]


WOWOWのジャック・ドワイヨン監督特集でエアチェックした「ピストルと少年」を鑑賞…この特集で録画したのは本作だけ。というのも、特に監督のファンとかでもなく、今回の特集のラインナップにも入ってたけど、「ポネット」を撮った人だなくらいの認識しかないし、ぶっちゃけ、こんな特集放送をやってるのも気づいてなかったんだけど…たまたま本作が、WOWOW初放送であり、タイトルにも興味が惹かれ、恥ずかしながら“知らない作品”だったので、なんとなく録画してみたら…30年も前の旧作だったという流れ。ああ、でも…これ、けっこう好きかもしれない。

 

離婚を経験し、酒浸りの母親と暮らす少年マルク…ある日、家に1本の電話が掛かってきて、それが死んだと聞かされていた姉からのものだったことから驚きが隠せない。母親に事情を問いただすも、明確な答えは返ってこず…どうしても姉に会いたくなったマルクは、母親の再婚相手が隠し持っていた拳銃を持ち出し、近所の薬局で強盗を働き、資金を調達。しかし、その直後に馴染みの刑事に見つかって、疑われてしまう。マルクは咄嗟に拳銃を取り出し刑事を脅迫。彼の運転で…名前も顔も、それどころか住んでる場所もわからない姉の元へ向かうことに!

 

母親と…その再婚相手と暮らしている、登校拒否児の不良少年が主人公。ある日、義父の所有物で、主人公の部屋に隠してあったらしい拳銃が、母親によって発見されてしまい…厳しく咎められる。知らないよと、突っぱね続ける主人公。これが映画が始まってすぐに展開される光景なんだけれども…お母ちゃんの拳銃を持つ手つきが、ちょっと危なっかしいのよ。そんなに雑に扱っちゃダメだろ、トリガーに手が掛かってないか?とか、ヒヤヒヤ。途中、やり取りしている息子、主人公にも“暴発の可能性を指摘されてたり”、決して視聴者側の気のせいじゃなかった。

 

このあたりのやり取りで…先述した主人公の生活環境なども、なんとなく伝わってくる。そんな主人公が、たまたま家に掛かってきた電話に出たことで、物語が大きく動き出す。なんと相手は、生き別れになった姉。主人公には寝耳に水だった…だって姉は死んだと母親から聞かされてたから。“自称・姉”は母親から折り返し電話が欲しいと、自分の電話番号だけを伝えて通話を切ってしまう。拳銃の件とは立場がすっかり逆転、今度は主人公、息子が母親を問い詰める番だが…やはり母親も“知らぬ存ぜぬ”で惚ける気でいるらしい。親子だから態度が似てる(笑)

 

業を煮やした主人公が、“例の拳銃”を家から持ち出し…近所の薬局で強盗!そこで奪った金を資金にして、名前も住所も知らない“自称・姉”に会いに行こうとするんだけど、直後に…馴染みの刑事に見つかってしまい、挙動の怪しさから、“何か悪巧みをしている”というのが見破られてしまう。結果…捕まって、署に連行されそうになるんだけど、“姉に会いたい”気持ちが勝った主人公は、ここでも拳銃に頼って、刑事を脅す。“姉のところへ連れていけ”と…。母親同様、主人公、息子も…結局は拳銃の扱いが危うげなので、それだけで緊張感が高まるのだった。

 

話の流れは淡々としてるんだけど…意外と非日常的なこと(冒頭の拳銃所持発覚もそう)が畳みかけるように起きるので、グイグイと物語・映像に惹きこまれ、全く飽きない。ある意味、刑事を人質にしたというのも、“自称・姉”を捜す行動としては“吉と出た”なのではないだろうか?刑事の方も、主人公に投降や自首を促すための駆け引きとして、相手に従うフリをしまして、結果…姉捜しに協力。たちまち居場所まで突き止めてしまう。で、実際に姉に会いに行こうと、奇妙なドライブが始まるが…所詮は子供の浅知恵と、腐っても刑事の駆け引きが繰り広げられる。

 

てっきり“見つかった姉”も刑事側の仕込みなのかと、最初は疑ってしまった(実際は物語の終盤までオイラは疑っていたんだけど)、なんと本当に、最初に電話をしてきた人物と同一の女性を見つけ出し、主人公は再会を果たしてしまう。いや、これで目的を果たしちゃったじゃん…でも映画の尺はまだ半分以上残っている。ここから先はどうなるのか?主人公と姉はお互いに複雑な感情をぶつけ合ったりするんだけど、そのうちに姉も、“弟を犯罪者にするわけにはいかない、警察になんか素直に渡せない”という気持ちが芽生えてきて、意外な行動に出ると…。

 

最初のお母ちゃんの拳銃を扱いを見てハラハラした時、劇中でも“暴発”の危険性を指摘したように…別れて暮らしていた、初めて会った姉弟にしては、行動や思考が酷似してまして、こういうところで“血の濃さ”というのが伝わってくるななんて思いながら見ていたら、今度は劇中の刑事に“拳銃で脅すのがお前ら家族の遺伝か”と、すかさず皮肉られていて…作り手の“客の考えもしっかり読んでる”なしてやったり感にも、ニヤリとしてしまう。生き別れの姉まで実際に絡んできた、この奇妙な関係性は最終的にどうなり、どういう結末を迎えるのか…気になる。

 

そこまで劇的な展開というものが決してあるわけじゃないんだけど…主人公少年の背伸びしてるけど、まだまだお子ちゃまな感じとか、グっとくるポイントが多々あり。あと、あれだよね…会いに行った姉が予想以上の“美少女”なのも嬉しいよね。いくら優しくされても、ブスが出てきたら…ちょっと待って、イメージと違うってなっちゃうよ。逆に、いきなり“お前の生き別れの姉よ”とか言って、めっちゃ美人が現れたら、オイラだったら真っ先に詐欺か、宗教の勧誘を疑うけどな。最近はないけど、20代の頃は、それこそ“自称同級生の女”から頻繁に電話があったなぁ。
 

 

監督:ジャック・ドワイヨン

出演:リシャール・アンコニナ クロチルド・クロ ジェラール・トマサン ジョスリーヌ・ペリラン セシル・レゲール

 

 

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