勝手に映画紹介！？

ＷＯＷＯＷで放送中の黒沢清特集を追いかけ、今のところコンスタントに消化している…そんなわけで、平日に連日放送している「勝手にしやがれ!!」シリーズ（全6作）も、折り返し地点を過ぎた第4作目に突入、昨晩エアチェックしておいた「勝手にしやがれ!! 逆転計画」を鑑賞。毎回登場するゲストが豪華なのも本シリーズの特徴であるが…本作では「ザ・スクールコップ」（って、昭和生まれのオッサン、オバサンしか知らんのじゃないか？）の仁藤優子が登場！そうですね、アニオタ的には“そのままの君でいて”（パトレイバー）を唄った人で有名な元アイドルです！

 

便利屋稼業の藤田雄次と舎弟の吉行耕作は、借金の取り立ての仕事を請け負う。金を払わずに逃げようとした男から、車をせしめる2人だったが…雄次が私用で乗り回した挙句に事故を起こし、廃車にしてしまった！ギャラが入るどころか、高額な請求を突きつけられ不運な雄次。ある日、耕作が貰って来た町内会の福引で1等のウォークマンを引き当て、それを、最近、贔屓にしているタバコ屋の看板娘サツキに貸したことから、仲が縮まることになった。英会話を勉強しハワイに行きたいというサツキ。やがて雄次はひょんなことから1000万円を入手するが…。

 

今回は、金の代わりに取り立てた車で事故ったり、麻雀でも素人同然の耕作にボロ負けしたり、競馬でも大負けしたり、何をやっても不運続きな雄さんが、町内会の福引で“ウォークマン”を当てた（1等で喜んでる優さんの横で、耕作は特賞のハワイ旅行を当てる！）ことが転機になり、タバコ屋の看板娘・仁藤優子をちょっとだけうまく口説けちゃったりすると（お友達になれた程度だけど）。さらには、目の前で“行き倒れ”になったヤクザから1000万入りのアタッシュケースをがめて、仁藤優子に“ハワイへ連れてってやる”って豪語するんだけど…案の定、後半は…。

 

ヒロインもオイラ好みの女優さんだったが、他のゲストも一癖、二癖あって、話を盛り上げるし、演者も豪華だった。まず、河原崎建三演じるヒロインの父親（タバコ屋のオヤジ）がとんでもないクズ。雄さんががめた1000万円をさらに、がめて、競馬につぎ込もうとする。あくまで“借りた”と称して、競馬で勝って返せば何も問題ないと…反対する娘をなんとか説得しようとする。でもって、雄さんに1000万をがめられた間抜けなヤクザが下元史朗…最初は躍起になって取り返しに来るんだけど、結局、雄さんたちと仲良くなり、最後は頼りがいのあるイケオジに昇華。

 

あと、上記のようなドタバタな騒動が、かなりの大ごとに発展…下元史朗とは別の、キレたらけっこうヤバそうなヤクザが出てくるんだけど、そのヤクザを演じているのが、今では映画監督として大成功を収めているサブ（現在はSABU表記…「弾丸ランナー」などの監督として有名）だったりするんだよね。あと、一見、過去シリーズのヒロインと比べて“まとも”に見えた仁藤優子も、父親の血を受け継いでまして、実はとんでもない“ギャンブラー”だったという。ギャグっぽく描いてるけど、見た目に騙されちゃいけない、金は人を惑わすという人間の怖さ、醜さだよね。

 

怖いと言えば…ノホホンとしたシリーズなのに、あっけなく人が死ぬんだよね、その時の感覚が“ゾワゾワ”っとするんだよねって、今までも本シリーズを語る時は、同じような事を繰り返してたけど、本作なんかも…銃声がバーーンと響きわたり、耕作がバタって倒れるところがあるんだよ。まだ5作目、6作目があるって“知ってる”んだけど、見直してて、ちょっとドキっとしてしまった。やっぱ黒沢作品の演出って…急に場の雰囲気をガラリと変えるのが巧いよね。新作の「スパイの妻」なんかも、いつもと違う、“らしくない”ってずっと見てて、最後でくるじゃんアノ感覚。

 

あと面白かったのが、劇中でやたらと“1等のウォークマン”を連呼してるけど、よく見るとSONY製じゃなくて、aiwa製だという。ウォークマンじゃねーじゃん（笑）これ、昭和末期・平成初期に学生だった人は“あるある”だと思うんだけど…裕福な友達はちゃんとSONYのウォークマンを持ってる。で、ちょっと貧乏な友達だと他社の“ヘッドフォンステレオ”なんだよ…でも、そういう他社製品を持ってるヤツに限って“俺のウォークマン”って自慢気に言いうんだ。実際は二流な商品を、あえて一流に見せかけてるところに、本作ならではの深いメッセージがありそうな気が…。

 

 

監督：黒沢清

出演：哀川翔　前田耕陽　洞口依子　大杉漣　仁藤優子　諏訪太郎　下元史朗　サブ　河原崎建三

 

 

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