先週の読書:「非弁護人」「観月 KANGETSU」 | 勝手に映画紹介!?

先週の読書:「非弁護人」「観月 KANGETSU」

先週の読書:「非弁護人」「観月 KANGETSU」


ちょっと前までは…毎月21日って、映画秘宝の発売日だったわけで、あっ本屋に行かなきゃとか、店が閉まった夜になって気づいて、慌ててAmazonなどネットショッピングでポチったりなんかしてたんだけど、先々月…3月で休刊になってしまいまして、先月は“休刊になった”というのをちゃんと覚えてたんだけど、今月は“あれっ、今日は映画秘宝の発売日じゃなかったっけ?”なんて考えてしまい、思わずAmazonで検索しそうになってしまった。長年の習慣は恐ろしい。そして、愛読していた雑誌繋がりで、先週はHiViの月刊発行終了がアナウンスされ驚いた。

 

4月に読者プレゼントが当たったばかりだったのにな…。確かに、オイラもほとんどが書店での立ち読み、最近では電子書籍の読み放題サービスでの利用がメインで、実際に雑誌を購入するのは、気になった特集や付録がある時だけだったんだけど、でも…ちょっと寂しい。学生の頃から読んでいた、いつごろから読み(立ち読み)始めたかたうろ覚えなんだけど、たぶん秘宝よりも長く接してたんじゃないかなって思う。幸い、HiViの方は月刊発行の終了であり、今後は季刊化…誌面を大幅リニューアルして、3か月に1回くらいのペースで発刊は続くらしいけどね。

 

週イチの読書ネタの投稿だけあり…前振りの時事ネタも、珍しく“本”の話題から入ってみた。ということで、先週の読書です…ここ2週間ほど、“週3冊ペース”に戻せたなと思ってたら、また“週2冊”に逆戻り。さらに通常の映画感想のアップ(ブログ更新)も若干サボリ気味でして。うーん、最近、直ぐに眠くなるし、なんとなく根気もなくなっちゃってねぇ。特に環境の変化があったわけじゃないんだが、時期的に五月病の時期だし、勝手にそうじゃないかと思い込んでます。まぁ、つまり…ただのなまけ癖ですなぁ(笑)今週はトム・クルーズも来日するし元気を出そう!

 

ってことで…今週は2冊ともブックオフで220円で入手したの古本の単行本。1冊目は月村了衛の「非弁護人」…代表作の「機龍警察」シリーズをはじめ、「土漠の花」「ガンルージュ」「槐 エンジュ」など、ドンパチ派手なアクションのイメージが強い作家さん。弁護士資格も持たない訳ありの元検事が、身に着けた司法の知識をフル活用し、普段はヤクザ相手に、法律関連事案の解決人を請け負ってるんだけど、ある日、元ヤクザなど底辺の人間ばかり喰い物にしている極悪人、通称“ヤクザ喰い”の存在を認識、合法・非合法あらゆる手段を使って対峙していくお話。

 

2冊目は麻生幾の「観月 KANGETSU」…大分県杵築市を舞台にした不可解な殺人事件に、地元在住の若い女性が巻き込まれてしまうも、やがて事件は東京にも飛び火。一見、ただ巻き込まれただけに見えた女性の生い立ちも深く関わる壮大な秘密が隠されていた。序盤は、なんからしくないところもあったけど、後半は力業で著者の得意な題材に持っていく。つまらなくはなかったけど、この著者だと前に読んだ「トツ!」の方が好み。どっちも手放しで誉められない箇所はあったが、それでも全体の読みごたえから、今回の“推しの1冊”は「非弁護人」にしよう!

 

 

 

2021年4月発行の月村了衛著「非弁護人」…現在はまだ未文庫化のようだ。かつては正義感の強い検事だったが…組織に裏切られ、切り捨てられた挙句に、ムショ送りにされてしまった主人公。出所後の現在は弁護士資格はないものの、裏社会でヤクザ御用達の法律関連事案の解決人、皮肉も込めて“非弁護人”と呼ばれ重宝されている。そんな人物が、ちょっとした気まぐれで…在日外国人の子供から頼まれた人探しをしたんだけど、それをきっかけに…在日外国人や元ヤクザといった底辺の人間を喰い物にした“とんでもない事件”を掘り起こしてしまう。

 

なかなか犯人が尻尾を掴ませないどころか、たとえ犯人に行きついても、相手が狡猾すぎて、犯罪を立証する“証拠”が全く残ってない。さぁ、どうするっていうので…主人公の戦いが始まる。主人公側に、“絶対にアイツが犯人だ”という確証はある。そして非合法な方法で相手をこの世から抹殺するくらいの人脈(ヤクザたちとの関係)もあるんだけど…そこであえて、かつて自分が裏切られた“司法・法律”というものを使い、真っ向勝負をしようというところに、面白さを感じる。弁護士資格のない主人公が、どうやって裁判に挑むのか?そんなところも読みどころ。

 

序盤の印象では、ヤクザの力を利用した、力業の復讐劇的なものを想像してたんだけど…思いのほかちゃんと“逆転裁判”チックなリーガルサスペンスな要素がある。実際にヤクザ、裏社会の力をバンバン使ったりもするけど…あくまでそれは裁判で勝つための作戦なんだ。ただ一点、犯人との最終決戦…とある事情から、犯人にスマホを触らせちゃいけないという状況を作り出さなきゃならず、その方法が、ちょっと“やっつけ”な感じ。この駆け引きなんかも、それこそ法廷、裁判のシステムをうまく利用して、有利に運ぶような展開がだったら…良かったのに。

 

そこだけ“枠をはみ出しちゃった”感じが勿体ない。犯人を追い込む“決定的な証拠”を見つけたところがピークだったかな?今まで読んできた月村作品は代表作の「機龍警察」シリーズをはじめ、「土漠の花」「ガンルージュ」「槐 エンジュ」などアクション要素も多めだったけど、本作はそっち系の描写、展開は意外と少ない…いやほとんどなかったかな?作中で描かれる犯人が行った犯行は”とんでもないもの”であり…そこのスケールは半端なくでかかったけどな(汗)ちなみに、途中から主人公の片腕になるヤクザの蜂野(通称ハチ)が自分の推しキャラです!

 

 

 

2020年12月発行の麻生幾著「観月 KANGETSU」。大分と東京…同時期に二か所で起きた殺人事件、その発端は、大分県杵築市在住の“七島藺マイスター”と呼ばれる工芸士の若い女性(一応、メインヒロイン?)が、ストーカーのような被害に遭ったところから始まっていた。実はその女性は、ちょっと前から“嫌な視線”を感じていたのだが、実際に被害を受けそうになった時、近所の懇意にしているパン屋のオジサン(初老の老年)が助けてくれて事なきを得る。しかし、そのオジサンは…なぜその場にいたのかも説明せぬまま立ち去ってしまった…解せない。

 

翌日になって発覚した妻殺しの容疑者として、警察から取り調べられることになるパン屋のオジサン。そして前日の“女性を助けた”ことを問いただしても知らぬ存ぜぬ、そして妻殺しの事件に関しても、口をつぐんでしまう。それどころか、オジサンの経歴に怪しいところが見つかり…そうこうしてるうちに、今度は東京で新たな事件が発生。東京の被害者が、大分のパン屋のオジサンと会っていた可能性が浮上する!導入部は…いわゆる小京都の一つ、観光地“杵築市”を舞台にした、旅情ミステリー、トラベルミステリー風な印象も若干あったりした…。

 

麻生幾の警察小説にしては、思っていたよりもまったりな感じはする(いや、女性が謎の男に悪さされそうになってるので、まったりってことはないが)…そのうち、不可解な殺人が起き、経歴不明の胡散臭い事件関係者が現れ、事件が東京に飛び火し…それどころか無関係に思われたストーカー被害の女性、ヒロインの生い立ちにも不可解なところがありと、段々とミステリアスな雰囲気を醸し出し始める。ヒロインのオカンの“絶対何か知ってる感”、それを薄々察知しながらも問いただせないヒロインなど、読んでてもどかしくなる。お前、もうちょっと“頭使えよ”とも。

 

後半、バラバラだったそれぞれのピースが一つにハマりはじめ、謎の核心に迫ると…ようやく著者らしい土俵の物語になってきた感じ。ただ、引っ張っていた“ある秘密”とか、事件の真犯人に関しては、かなり早い段階で見破れちゃった。わりと会話の中で、方言が出てくることが多いので、若干の読みづらさがあった。最初は“誤字”かと思ったある言葉、言い回しも、その後も同じ表記だったので、方言だったのかって…。怪しい近所のパン屋さん設定、字面だけの説明だと、映画も公開中、櫛木理宇の「死刑にいたる病」を思い出すが(笑)ぜんぜん違います!






 

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