ハケンアニメ!(2022年) | 勝手に映画紹介!?

ハケンアニメ!(2022年)

ハケンアニメ!

 

日本映画専門チャンネルで「ハケンアニメ!」が初放送になったので、ウチの兄貴殿が契約しているケーブルテレビのSTBを拝借してエアチェック…オイラがメインで利用しているWOWOWの方では、まだ放送の予定はない。アニメ業界の内幕を描いた辻村深月の同名小説が原作だが…正直、辻村深月が大嫌いなので(大昔に初期の作品を読んでクソつまらなかった)原作未読。題材自体は若干興味はあったものの、どうせ「SHIROBAKO」のパクリやろ的な思いもあり(こっちのファンが必死に否定してたけど)…映画の方も劇場で見る気はしなかったんだよね。

 

もともとは県庁職員だった斎藤瞳は、カルト的人気を誇る王子千晴監督のアニメ作品と出会い、アニメ業界へと転職…数年後、テレビアニメ「サウンドバック 奏の石」の監督に大抜擢されるも、周りからは“前任者の代理”だなどと蔑まれ、ビジネス優先のプロデューサー行城理とも、意見が食い違ってばかりである。そんな状態でも、瞳が必死になるには理由があった。実は、他局が「サウンドバック 奏の石」と同じ放送時間に「運命戦線リデルライト」をぶつけてくることがわかり、放送前から注目を浴びていたのだが、そのライバル番組の監督が王子千晴だった!

 

放送時間の枠がかぶってしまったテレビアニメ同士の戦いを軸に…そこに関わるアニメ業界人、監督をはじめプロデューサー、アニメーター、その他さまざまなスタッフたちの奮闘ぶりを描くみたいな内容。方やめっちゃ売れた代表作があるカルト的人気のイケメン監督の復帰作、方や他の監督の代理で選ばれた新人女性(しかし元公務員という異色の経歴あり)の監督作。イケメンの方は…とにかく発想が奇抜すぎて周りの人間が振り回されまくるし、新人女性の方は…曲者ぞろいの業界人から嘗められてばかりだし…どちらの現場もそれぞれ大変だぞと。

 

男性監督の方は…トミノとアンノを足したような“めんどくせー”野郎で、そこにイケメンというおまけもついてくる。実際のアニメ監督でイケメンって誰だろう?最近の人はよく知らないけど…オイラなんかの時代だと、幾原邦彦あたりはイケメンで通ってたんじゃないだろうか?で、そのイケメン監督を演じるのが「アオイホノオ」で赤井タカミ(赤井孝美…いわずと知れたガイナックスの創設メンバー)を演じてた中村倫也といのが、ちょっと笑ってしまった。吉岡里帆演じる女性監督の方も、“そこそこ可愛い”設定ってのが、妙にリアル…何人かモデル候補が思い浮かぶ。

 

やっぱりどこか「SHIROBAKO」で見た雰囲気とかぶってるなとは思うけど(原作は知らんけど、映画の方は絶対に「SHIROBAKO」の影響を受けている見せ方)、「SHIROBAKO」が制作進行という最下層のスタッフ側から描いていたのに対し、本作は監督やプロデューサー側から他のスタッフを見ているので、そのあたりは描き方が若干、異なるのかなとは思った。気になった点がいくつかあるけど…まず、女性監督がアイドル声優にめっちゃダメ出しして泣かせてしまうという展開。普通は、ああいう仕事は音響監督の仕事だよね…音響監督が描かれてないのが残念。

 

また…前述通り、アニメの主役に客寄せパンダとして人気アイドルを抜擢したということになってるんだけど、その役を演じてるのがアニメの声優さん(高野麻里佳)なので、ぜんぜん下手じゃないという。成長して、演技がうまくなるところも見せたかったので、ああいうキャスティングなんだろうけどなと理解はできるけどな…。っていうか、速水奨さんとか出てきて、めっちゃうれしいんだけど。声優役で出ている梶裕貴とか潘めぐみも、ガラス越しのブース側で、ときどきカメラ目線になったり、さりげなく“小芝居”してるのが笑っちゃう…声優って芸達者だなって思った。

 

アニメ、サブカル、オタクなんていうキーワードも作品の重要な要素ではあるんだけれども、これ見よがしに実在作品とタイアップするようなしつこさもあまりなく(東映作品なので、東映の名作アニメのポスターとかが出てくる箇所はあるし、たまにアニメの名セリフも出てくるが、パロディ、オマージュとして許せる範囲)…福田雄一(ヲタクに恋は難しい)なんかよりは、よっぽどアニメ愛、オタク愛に寄り添ってるなと。原作者が嫌いだからと、敬遠してたけど…映画はそこまで酷くはなかったかな?でも、アニオタからするとベタ誉めするほどの傑作でもないんだよな。

 

アニメづくりの話ではなかったが、映像を生み出す監督の苦しみを描いた作品だったら、アニメ映画の「映画大好きポンポさん」の方が、作品のテンポ感だったり、アニメならではの奇抜な演出だったりとあわせて、見応えも十分だった。あと、思い出したけど…監督が失踪してアニメの現場が混乱する(「ハケンアニメ!」でも中村倫也が失踪する展開がある)って話は、押井守がアニメ業界の内幕を描いた「トーキング・ヘッド」でもやってたなと。「トーキング・ヘッド」は段々と押井節全開のウンチク映画になって…難解な作品だけど、独自性があって印象に残ってる。

 

 

監督:吉野耕平

出演:吉岡里帆 中村倫也 工藤阿須加 小野花梨 高野麻里佳 前野朋哉 柄本佑 尾野真千子

 

 

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