大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

日々の恐怖 12月4日 地蔵神社(2) 

2021-12-04 10:12:26 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 12月4日 地蔵神社(2) 




 Mはそれなりにいいやつだった。
人の嫌がるようなことは絶対に言わなかったし、子どもなりにではあったが、俺にいろいろ気を遣ってくれた。
今になって、そういことがわかるんだ。
ただ、小遣いはいつも持ってなかったから、アイスや飲み物なんかをおごるのが俺の役目になってたな。
 ああ、本題に入る。
そんときは夏休み中で、俺らの小学校の学区からかなり外れた場所にある神社に行ったんだ。
小さなとこだった。
神主とかはいなかったんだと思う。
社殿の扉も閉まってたし。
 なんでそこに行ったかというと、Mが社殿の下の砂地にアリジゴクがいるって言ったからだ。
ほら、神社は高床になってるだろ。
その下に潜り込むと、下が目の細かい褐色の砂になってて、そこにぽつぽつとへこみがあった。
それに手を突っ込んで中央の砂をつかみ、持ち上げると手のひらの中にアリジゴクが入ってる。
 いや、殺したりはしなかった。
ただ観察しただけ。
殺したのはアリのほうだな。
それも俺らが殺したんじゃなくて、生きたやつをアリジゴクの穴に入れてやっただけだ。
 アリがもがいて逃げようとしてもサラサラ砂が崩れて、どんどん中に落ち込んでいく。
そして真ん中まで落ちると、中からハサミが出てきてガジッとつかまえるんだ。
それをずっと見てた。
 けど、1時間もするとさすがに飽きてきて、2人で神社の裏手に回ったんだ。
そこはけっこう深い雑木林になってて、強い日のあたった境内とは反対に、じめじめした感じで暗かったんだ。
で、どういうわけか社殿の柱に立てかけるようにして、大きさの違う板が何十枚も重ねられてあったんだ。
 う~ん、もしかしたら、神社の何かを作ったときの廃材だったのかもしれない。
俺が見たかぎりじゃ、あんまり面白そうなことはなかったんだが、Mが板の一枚を手にとって、

「 なあ、神社を作らないか。」

って言ったんだ。









童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日々の恐怖 12月1日 地... | トップ | 日々の恐怖 12月9日 地... »
最新の画像もっと見る

B,日々の恐怖」カテゴリの最新記事