これまで蒔絵をテーマにした展覧会はありましたが。
その蒔絵に使われる技法の一つ 「螺鈿」 にスポットを当てた、
さらにニッチな展覧会が、現在、根津美術館で開催されています。
その名も、“きらきらでん(螺鈿)”。
(注:館内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)
きらきら+らでん。
きゃりーぱみゅぱみゅの曲名みたいな展覧会です。
ちなみに、よく見ると、英語のタイトルが、
“Radiant Raden” となっており、『Rad』 の3文字が共通していました。
さすが、螺鈿の展覧会だけに、細部までこだわっていますね。
会場では、きらきら輝く螺鈿で装飾された展示品が多数紹介されています。
さてさて、一口に螺鈿といっても、その技法はさまざま。
そして、ジャンルも地域も、さまざまです。
今回紹介されていた中で、もっとも古いと思われるのが・・・・・
《平等院鳳凰堂天蓋螺鈿残欠》 夜光貝 日本・平安時代 11世紀 個人蔵
こちらの平安時代の 《平等院鳳凰堂天蓋螺鈿残欠》 です。
日本では当初、中国の技術を取り入れて、
厚貝 (1.5~2mm) を象嵌のように埋め込むスタイルが主流だったそう。
しかし、当時の先進国である中国では、さらなる技術を開発!
それは、貝を薄く剥がす薄貝 (約0.2mm) という技術でした。
《楼閣人物螺鈿卓》 木胎漆塗 中国・元時代 14世紀 根津美術館蔵
なんとなくイメージが付くと思いますが、
薄い貝の方が、キラキラ度は高くなります。
特に、こちらの 《樹下人物螺鈿硯屏》 のキラキラさたるや!
《樹下人物螺鈿硯屏》 木胎漆塗 中国・元~明時代 14~15世紀 根津美術館蔵
実にカラフル!
赤、青、緑、紫など、たくさんの色に光っていました。
どんなライブ会場よりも、色とりどりの光が放たれていた気がします。
もちろん、日本の螺鈿細工だって負けてはいません。
中国に負けない見事な螺鈿細工が多々ありました。
まずは、こちらの重要文化財の 《桜螺鈿鞍》。
思わず目を見張るほどの細緻な文様が、
鞍の全面にびっしりと厚貝で施されています。
鞍ということは、当然武士の持ち物。
螺鈿→キラキラ→女性が好き、と思い込んでいましたが。
男女限らず、螺鈿に魅了されていたようです。
また、江戸時代になると、こんな螺鈿細工も。
《秋草蒔絵硯蓋》 木胎漆塗 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
全体ではなく、一部にだけ螺鈿を使用するというパターンです。
光を当てる角度によって、キラリと光るという上級テクニック。
センスもキラリと光っていました。
他にも、昔ファミレスにあった 「占い器」 を彷彿とさせる (?) 琉球の螺鈿細工や、
《人物螺鈿沈金八角食籠》 木胎漆塗 琉球・第二尚氏時代 18世紀 個人蔵
希少とされる高麗時代に作られた可能性も示唆されている螺鈿箱、
《楼閣人物螺鈿箱》 木胎漆塗 中国・元時代 13~14世紀 根津美術館蔵
さらには、木工芸る初の人間国宝・黒田辰秋や、
昭和を代表する漆芸家、田口善国の超絶技巧が光る作品も。
田口善国 《暁蒔絵合子》 木胎漆塗 日本・昭和55年 個人蔵
それ自体もキラキラ、観ているこちらも目がキラキラ。
これらキラキラキラかがやいてる作品と、
「出会えてよかったと きっと言える日が来る(by小田和正)」 展覧会です。
なお、余談ですが、数か月ぶりに、
根津美術館を訪れたら、展示室3の仏像が展示替えされていました。
新たに展示されていたうちの1つが、こちらの 《薬師如来坐像》。
《薬師如来坐像》 木胎彩色 日本・平安時代 12世紀 根津美術館蔵
はて、どこかでお見掛けしたことがあるような・・・??
どことなくチョコプラの松尾さんに似ていました。
(NSCの1期上の先輩です)