日仏近代絵画の響き合い | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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昨年11月。

東京・竹橋、国立近代美術館のほど近くに、

日本を代表するあの総合商社が運営するアートスポットが誕生しました。

その名は、丸紅ギャラリー。

丸紅株式会社の新社屋の3階に新設された美術館です。

 

 

 

丸紅という社名は知っていたとしても、

丸紅と美術のイメージが結びつかないという方は少なくないでしょう。

しかし、実は知る人ぞ知る珠玉の美術コレクションを有している丸紅。

その数は、近現代の洋画や染織作品を中心に約1300点にも上ります。

 

そんな秘蔵の美術コレクションを一般公開するべく誕生した丸紅ギャラリー、

そのこけら落としとして開催されているのが、“日仏近代絵画の響き合い”

丸紅コレクションの中から選りすぐられた日仏の画家の名品を紹介する展覧会です。

 

 


展覧会の冒頭に飾られていたのは、クールベの晩年の作品 (左) と、

バルビゾン派の巨匠コローが)母の誕生日祝いに描いたとされる作品 (右)

 

(注:館内は撮影禁止のため、事前の承諾を得て撮影しております。転載・転用は固くお断りいたします。)

 

 

コローの作品はこれまで多々目にしてきましたが、

これほどの大きさの作品を観た記憶はほぼありません。

そういう意味でも、相当貴重な作品である気がします。

なお、改めてよくよく見てみると、

画面中央に描かれている家に対して、

糸杉 (?) が異常に大きいことにも気づかされます。

建物の3倍はあるのではないでしょうか。

木の成長速度から考えるに、家が建つ前からすでに木はあったはず。

何でまたこんな日当たりが悪そうな場所に家を建てたのか。

いろいろ気になって仕方がありません。

 


展示室では他にも、ルノワールやルドンといった、

 

 

 

フランス絵画の巨匠の珠玉の名品の数々が紹介されています。

さらには、藤島武二や岡田三郎助といった日本の洋画の巨匠たちの作品も。

 

 

 

これまで数点ほど他館の展覧会に貸し出されたことはありましたが。

こうしてまとまった形で丸紅コレクションが紹介されるのは、

それも自社の社屋で公開されるのは、幕末に創業して以来初となる貴重な機会なのだそう。

また、丸紅コレクションといえば、

絶対に外せないのが、ボッティチェリの 《美しきシモネッタ》

国内では唯一となるボッティチェリのテンペラ画です。

今展には出展されていませんが、この年末、満を持してお披露目される予定とのこと。

丸紅ギャラリーのこれからにも注目です!

星星

 

 

ちなみに。

今回出展されていた全47点 (※数点はパネルで展示) の中で、

個人的に特に印象に残っているのは、キスリングの 《ミモザの花》 です。

花を描く際に、オモウマい店ばりにてんこ盛りにする傾向のあるキスリング。

この作品もその例にもれず、ミモザがてんこ盛りでした。

 

 

 

しかも、絵の表面を見ると・・・・・

 

 

 

物理的に絵の具もてんこ盛りです。

ミモザの花というよりも、スギ花粉のようにも見えてきました・・・。

自分は重度の花粉症ゆえ、眺めていたら、鼻がムズムズしてきました。

 

そうそう、花の絵といえば、

もう一つ印象的だったのが、児島善三郎による 《バラ》 です。

 

 

 

何の花かと問われたら、もちろんバラと答えますが。

そこまで写実的に描かれているわけではないので、

いくつかバラではないものが混ざっているように感じられました。

オードブルのプレートに乗ったハムのような。

 

 

さてさて、他にもピエール・デュモンの 《ルーアン大聖堂》 や、

ラウル・デュフィの 《ル・アーヴル港の船》 をはじめ、丸をあげたい作品は多々ありましたが。

 

 

 

思わず目を丸くしてしまったのが、

山下新太郎の 《朝日の顔》 という作品です。

 

 

 

フランスに渡り。ルノワール自身からもアドバイスを受けた経験のある山下。

まさか、これほどまでに 『ザ・印象派』 な作品を残していたとは!

《印象、日の出》 インスパイア系絵画です。

 

 

ちなみに。

美術館の一角には、こんなコーナーが用意されていました。

 

 

 

出展作品の中から、心に響いた作品を選び、シールを貼るというもの。

もちろん、そのシールは・・・・・・

 

 

 

丸い紅色のシールでした。

丸紅だけに。

 

 

 ┃会期:2021年11月1日~2022年1月31日

 ┃会場:丸紅ギャラリー

 ┃https://www.marubeni.com/gallery/exhibition/

 



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