生誕110年 松本竣介 | アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムを訪れたあとは、

徒歩圏内にある神奈川県立近代美術館 鎌倉別館へ。

 

 

 

現在、こちらで開催されているのは、

“生誕110年 松本竣介”という展覧会。

今年2022年に生誕110周年を迎える画家、

“まつしゅん”こと(?)松本竣介の回顧展です。

 


 

36年という短い人生ながらも、

日本美術界に鮮烈な足跡を残した松本竣介。

その作品を初めて公立美術館で紹介したのが、神奈川県立近代美術館でした。

そんな縁もあり、神奈川県立近代美術館は、

松本俊介作品を多く所蔵しているのだそうです。

今展では、二科展初入選となった初期の《建物》から、

 

 

 

戦後に描かれた《少女》まで、

 

 

 

彼の代表作の数々が、惜しげもなく出展されています。

それらの中でももっとも見逃せないのが、

彼の代表作中の代表作である《立てる像》

 

 

 

久しぶりに、この名品と向き合いましたが、

改めて、描かれた松本俊介は思ったより、なで肩でした。

そして、改めて思ったより、シャツインしていました。

 

ちなみに。

この作品は何度か目にしていますが、

今回初めて気が付いたのが、サインに関して。

 

 

 

画面の左に、ポスターのような形で、

「M SHUNSUKE」と書かれていました。

隠れミッキーを見つけたくらいに、テンションが上がってしまいました。

が、17という数字は、一体何を表しているのでしょう?

この作品が制作されたのは、1942年。

新たな謎の出現に、モヤモヤは隠しきれません。

 

 

ちなみに。

松本が生きた時代は、軍部の美術統制が厳しかったそう。

そんな状況に抗議の姿勢を示していた彼は、

「後輩画家たちは不安よな。松本、動きます」 と言ったか言わないか、

妻とともに『雑記帳』というデッサンとエッセイの雑誌を刊行しています。

 

 

財政難のため、残念ながら、

14刊で廃刊となってしまいましたが、

福沢一郎や長谷川利行、瀧口修造いった、

そうそうたる面々が挿絵や文章を寄稿していたそう。

画家・松本俊介とはまた違う一面が垣間見える展覧会でした。

 

違う一面といえば、展覧会ではこんな作品も。

 

 

 

これらは、《牛》《象》とのこと。

もちろん、言われれば、そうは見えますが、

子どもの落書きのよう、いや、原始人による洞窟壁画のよう。

松本俊介はこんな絵も描いていたのですね。

意外な一面を知れて、ちょっとほっこりしました。

星星

 

なお、そんな松本俊介が機関車を描くと、こんな具合に。

 

 

 

いやはや、もうどこからツッコんでいいのやら。。。

正確には、タイトルは《電気機関車》でしたが、

動力が蒸気でなく、電気だとしても、いろいろ不可解です。

そもそもこいつは動くのか。

動くとしたとして、進行方向はどちらなのか??

謎が謎を呼ぶ代物です。

 

《電気機関車》は、かなりクレーっぽかったですが、

さらに、クレーっぽかったのが、こちらの《構図》という作品。

 

 

 

松本俊介は、意外とクレーの影響を受けていたのかもしれません。

 

最後に紹介したいのは、

意外と子どもを多く描いていた松本の《指人形》という作品。

 

 

 

子どもだからと、可愛く描くということはなかったそう。

子どもをモデルにしながらも、

特に愛くるしい表情で描いてはいなかったです。

愛くるしい、どころか、むしろ無の表情。

ここぞというタイミングで挟まれる、

ZAZYのネタのイラストのようなテイストでした。

なんそれ。



ちなみに。

現在、神奈川県立近代美術館 鎌倉別館では、

“小企画:堀江 栞 触れえないものたちへ”も同時開催中です。

 

 

 

昨年初めて彼女の作品に出逢い、

その世界観と技術に衝撃を受けて以来、

 

 


「近いうちにきっと大ブレイクするに違いない!」と思っていましたが。

まさかその1年後に、公立の美術館での個展デビューを果たしてしまったとは。

こちらの想像を遥かに超えるスピードで、美術界を駆け抜けています。

そんな彼女にとっての“伝説の展覧会”と、のちに評されるであろう今展覧会。
見逃し厳禁です。




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