「終活」をテーマにした短編集。
秋吉理香子…読んだの初めてかな?アンソロジーに入ってるので読んだことはあったかもしれない。どうだっけ。こんな字面の作家さん多い気がする。
「SDGsな終活」「最後の終活」「小説家の終活」「お笑いの死神」の4作。
わたしがいちばん好きなのは「お笑いの死神」
ラスト意外性もあったし、素敵なお話だと思った。
ぜんぶ『世にも奇妙な物語』でドラマ化できそう。
「SDGsな終活」
後妻業みたいな遺産相続狙いの男が主人公。
余命いくばくもない女に近づいて結婚して遺産をいただく……命尽きるその時まで偽りの愛情と献身で人生の最期を優しく彩ってくれるなら、騙し通してくれるなら、遺産目当てだって良いんじゃないかと思う。
今作では狙われた女の寿命が伸びちゃったのでおかしなことになってしまう。
狙われた資産家女性真美子さんは喋り方とか万年乙女ぽいところが新井素子の描くキャラクターに似ている。そのせいかとっても既視感があった。
「最後の終活」
独居の高齢男性がお片づけをする話。
電話の時点でなんとなくオチが読めたけど、伏線のわかりやすさも含めて良い作品。
思い込みの殻が剥がれ落ちて、最後に大切なものが残る。
「おかえり」が言えてよかった。
「小説家の終活」
売れなくなって筆を折った小説家が再び筆をとるようになるお話。
「そこまで読んでの仕掛け」なのだとしても、創作する人間がそういう仕掛けをするのかな?っていうところに引っかかってスッキリしなかった。
そこは譲れない部分だと思うんだけどなあ。
だけど創作者である著者がこういう筋立てを考えるってことは、この著者ならそれもアリだと思ってるってことなんだよね。
わたしは、釈然としない。
「お笑いの死神」
売れないお笑い芸人が亡くなる前にでっかいお笑い大会で優勝してやるぜ!と奮闘する話。
実力があっても売れない芸人ていっぱいいるんだろうな。
ずっと売れなかった芸人が余命宣告を受けて一念発起。
ぜんぜん笑わない「死神」を笑わせたい。
なぜ笑わない?
「死神」の正体は?
唯一笑ったそのものの背景もすき。
次は「婚活中毒」読もっかな。