先週末、娘のリクエストで市内にあるマラタンの店に行ってきた。

食の流行に疎い(←食以外の流行にも疎いけどw)自分にとっては「マラタンって、なんじゃらほい?」という感じだったのだが、なんでも中華料理の一種で、自分で選んだ野菜や肉などの材料をグツグツと煮込んでスープにする料理であるとかないとか。

娘の説明を聞いただけでは、果たしてどのような料理であるのか今ひとつよくわからなかったのだが、わざわざググるほどの興味もなかったので(←おい)、言われるがままに娘が「一度行ってみたいと思っていた」という市内中心部にあるマラタン専門店に行くことにした次第。

店構えはこんな感じ。



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場所柄もあるけれど、いかにも若者向け、といった感じの店。

店内はけっこう広く、エアコンが効いているのに換気を意識してか、ドアが開け放たれていた点には感染予防的な観点からちょっと好感度高し。

メニューは壁に大きく出ていた。



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メインのマラタンは1人前当たり7,000ウォンで、選んだ材料の重量によっては追加料金がかかるっぽい。

また、マラタンに肉類(牛肉、豚肉など)を追加する場合も3,000ウォンほどプラスでかかる。

マラタンの他にも、たとえばチャーハンや麻婆豆腐など、いろいろなメニューが出ているけれど、まあこの店でマラタン以外の料理を注文する人はおそらくあまりいないだろうな、という印象。


「もし、このマラタンなる料理が口に合わなかったら・・・」


という一抹の不安はあったものの、まあその時はその時で追加でチャーハンでも注文すればいいと割り切り、店の奥にあるカウンターへ。

店員さんによると、先にマラタンの中身を選んでカウンターに持ってきて、それから支払いをするシステムなのだとか。

中身が並んでいる冷蔵庫。



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パン屋さんの入り口にトングとトレーが積み上げられていて、お客が店内のパンを好きに取れるようになっているけれど、ここで積み上げられていたのはトレーではなくて半透明の洗面器。

その洗面器の中に、自分のマラタンに入れてほしい野菜や具を入れてカウンターに差し出せばいい。

冷蔵庫の中には白菜、チンゲン菜、ほうれん草などの葉物野菜から、エノキやしめじなどのキノコ類、豆腐、湯葉、ハム、ソーセージなどなど、さまざまな具材が並んでいた。

自分はシンプルに白菜、エリンギ、湯葉、豆もやし、とうもろこし麺、イカ、油揚げなどを選択し、最後に大量のパクチーを追加。娘も似たような感じのものを洗面器の中に入れていた。

何がそんなに重かったのかよくわからなかったのだが、娘のは規定料金内(7,000ウォン)であったのに対し、自分は重量が若干オーバーしていたらしく、追加で280ウォンを取られた。とうもろこし麺が重かったのかな?

こう書くと、店に行ったのは自分と娘の2人だけのように聞こえるけれど、実際には夫と3人で行っている。夫にも自分の洗面器を持って具材を選ぶように言ったのに、


「俺は何でも食べられるから、適当なものを選んでおいて」


と言われ、面倒くさかったので2つのマラタンを3人で食べればいいか、と思い、洗面器は2個にした。

足りなかったら追加でチャーハンでも注文すればいいし、と思っていたところ、やっぱり足りなかったらしく夫が後からチャーハンを注文したw

まあそれはともかくとして、出来上がって席まで運ばれてきたマラタンはこちら。



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娘のマラタンもあるけど、似たような見た目だったので写真は省略w

あ、そうそう、辛さが4段階あり、カウンターで注文する際に指定するようになっている。自分は辛いものがあまり得意ではないので、一番辛くないものを選択。

もしかしたらあまり味がしないかも? とちょっと心配だったのだが、スープ自体にそれなりのコクがあって、けっして不味くはなかった。

小皿の上に取り分けた湯葉と白菜ととうもろこし麺。



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「けっして不味くはなかった」?

それって、「美味しかった」とはまた違うの?

ええ、違うんですよ。というのは、出来上がったマラタンがテーブルに運ばれてきた後で、ちょっとした事件がありまして。

さあ食べよう、と箸をのばしかけたところ、テーブルの上のマラタンを見た夫が、太宰治の「斜陽」の出だしのように「あっ」と小さな声を上げたのだ。

自分はまったく気がつかなかったのだが、マラタンの表面に短い髪の毛が1本浮いていた。

夫がマラタンのボウルを持ってカウンターに向かって行ったので、どうするんだろう、文句を言って作り直してもらうのかな、と思っていたところ、またボウルを持って戻ってきた。


「作り直します、と言われたんだけど、断って、髪の毛が浮いていた部分を大きめのおたまでガッとすくって捨ててきた」


自分も、また洗面器を手にして具材を選ぶところから始めるのは正直に言ってかなり面倒くさかったので、そのまま髪の毛の一件は「なかったこと」にして食事を続けることにした。

もしこの店が学生向けの安い食堂ではなく、高級な中華料理店か何かだったら、あるいは新たに作り直してもらったかもしれない、とは思う。

が、店の雰囲気とか、清潔度とか、積み上げられている食器の綺麗さとか、そういった部分をトータルで見て、「作り直してもらったところで・・・」という気持ちがしてしまった、というのがある。

それに、気持ちの悪い表現で恐縮だけど、長い髪の毛が具材と絡まりあうようにして煮込まれていたら、さすがに作り直しを要求したと思うけれど、短い髪の毛がはらりと落ちて上に乗った、という感じだったので(←それでもイヤだけど)、まだ我慢できた。

なので、マラタンの味自体はそこそこ美味しかったのだけど、この髪の毛事件のせいで、かすかな気持ち悪さが同居してしまい、けっして不味くはなかった、という表現になってしまったのである。

マラタン自体は、また機会があったら別の店で食べてみてもいいかな、と思わなくはないけれど、今回と同じ店にはもう二度と来ないつもり。

さて。

自分は家の掃除などを時々かなり念入りにしてしまうことがあるので、もしかして私って潔癖症が入っているのかな? と思う時があったのだが、今回のマラタンの髪の毛事件に遭遇して、全然潔癖ではなかったことが判明しましたねw

大昔にインドを旅行した時に、ありえないくらい汚い食堂とかホテルとかを目にしたことがあるので、自分では気がつかないうちに耐性がついてしまっていたのかもしれない。

そういえば、インドのどこだったかは忘れてしまったのだが、道を歩いている時に喉が渇き、たまたま目にした屋台のチャイ屋でチャイを1杯注文した。

そのチャイ屋は一家(?)で経営していたのか、屋台の周りには赤ちゃんを抱っこしたお母さんと、その父親か義父とおぼしき老人、そして5歳くらいの男の子がいた。

自分がチャイを注文すると、お母さんが5歳の男の子に向かって、


「ほら、お客さんだよ」


みたいなことを言い、男の子が弾かれたように立ち上がると、目をキラキラと輝かせながら屋台でチャイの準備をし始めた。

その様子を見た時に、ああ、自分はこの屋台にとって、ものすごく久しぶりのお客なのだな、ということがその場の雰囲気というか空気からありありとわかった。

で、木陰に入って、少し冷静な目でその屋台を見ると、はっきり言って小汚い。

小汚いだけなら、こう言ってしまってはなんだけど、インドという国ではあらゆるものが小汚いので、まあ我慢できた。

ん? と思ったのは、そのチャイ屋では小さなガラスのコップが使われているのに気がついた時。

インド人はよくチャイを飲むので、人通りが多い道端には等間隔でチャイ屋の屋台があり、ほとんどの屋台では一般的に素焼きの小さなカップが使用されている。

そして、飲み終えると、そのカップを地面に叩きつけて捨ててしまう。

もともとが土でできているので、また土に還す、という原理であるというのもあるけれど、インド人は宗教的な観点から(カーストの異なる)他人との接触を嫌うので、一度誰かが口をつけたカップはもう二度と使わない、という感じなのである。

駅のホームなどで目にする移動式のチャイ屋の場合は、素焼きのカップの代わりに紙コップを使用していることも多い。

それなのに、5歳くらいの男の子が嬉々としてチャイを作り始めたその屋台の店先に積み上げられていたのは、ガラスのコップ。それも、かなり曇っていて、お世辞にも清潔そうには見えないガラスのコップ。

しかも、その屋台の近くに水道は見当たらず、あるのは大きめのバケツ1個のみ。客が飲み終えた後のグラスは、あのバケツの中に入っている水にざっとくぐらせて終わりなのだろうか・・・。

その時点でものすごく不安になり、もうチャイなんか全然飲みたくなくなってしまっていたのだが、久しぶりの注文に目をキラキラとさせている男の子の顔を見ると、やっぱりいらないです、とは言えなかった。

今だったら、お金だけ渡して、すみません急ぎの用事を思い出したので、とか何とか言いながらその場を離れるところなのだが、その時の自分はまだナイーブだったので、キラキラとした目の幼い男の子が不憫すぎて、チャイが出来上がるまで、その場でじっと地蔵のように固まっていることしかできなかった。

いろいろな先入観がありすぎたからだとは思うけれど、その時に飲んだチャイはインドを旅行中に口にしたどのチャイよりも不味かった。でも、煮沸させているから大丈夫だよね、と自分に言い聞かせ、一気に飲み終えて、その場を後にした。

後からインド人のガイドさんにそのチャイ屋の話をしたら、


「あなたはとても勇気がありますね。私だったら、そういった屋台のチャイは絶対に飲みません」


とキッパリと断言されてしまって落ち込んだ。

幸い、そのチャイを飲んだせいで病気になったり、下痢をしたり、ということはなかったけれど、それ以降、チャイ屋でチャイを注文する時は、使われているカップを必ず確認するようになった。

ま、そのチャイ屋の小汚いガラスのカップに比べたら、マラタンの上に浮いていた髪の毛なんてどってことない話ですよ、ということで(←もう二度と行かないけど)。


最後までお読み下さってありがとうございました♪


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