rosemary days

アロマテラピー、ハーブを中心にフィトテラピーあれこれ。自然療法全域とフィットネスについて。

ミント~愛される香りをまとった草

2020-12-10 17:08:30 | 物語の中の植物と香り
現在ギリシャ神話を読んでいますが、これがまたこのカテゴリー『物語の中の植物と香り』ネタの宝庫なんです。本当に植物に関する逸話がよもやま出てきますが、神話というのも一種の民承伝説のため地域や書物によってストーリーにばらつきがあります。
まあ、それは致し方ないことなのですが…そんな中でも3通りのストーリーが存在するミントについてお話しましょう。

1.妻の嫉妬説
おそらくこれが最も一般的に知れ渡っている説でしょう。あるところにメンテーという美しいニンフ(妖精)がおりました。冥府の王であるハーデスが見初めて愛人にしてしまいます。ところが、妻であるペルセポネに浮気がばれてしまいます。ハーデスは普段から美しい妻に頭が上がらずたじたじ。怒りに任せてペルセポネは、「こんな女踏み付けられてしまえ‼」と、メンテーを草に変えてしまいます。可哀そうに思ったハーデスは、その草に誰からも好かれるいい香りを与え、踏み付けられなくした。それがミントと呼ばれるハーブになりました。

2.妻の同情説
上の逸話とはまったく真逆な話です。もともとペルセポネは狩猟の神・アルテミスや知識の神・アテナのように一生誰とも結婚しない女性になりたいと願っていました。それに異を唱えるのが愛の女神・アフロディーテ(ビーナス)、これ以上アテナやアルテミスの仲間を増やすのを由としない彼女は息子のエロス(キューピッド)に恋の矢をハーデスに向かって放たせました。恋の矢を受けると、普段は真面目なハーデスもその時近くにいたペルセポネにぞっこん!冥界へとかっさらって行きました。そんな理不尽な結婚を余儀なくされたペルセポネは、ハーデスがメンテーに恋をしたと知ると、自分と同じ目に合わせては気の毒だと思い、メンテ―を道端の草に変えてしまいました。

3.母の怒り説
メンテ―は実はハーデスがペルセポネと結婚する前からつきあっていた。ところがハーデスが自分ではなくペルセポネと結婚してしまったので悔しくなった彼女は、ペルセポネよりも自分のほうがよほど美しいと周囲に吹聴して回りました。それを耳にしたペルセポネの母であるデメーテルの怒りにふれ、メンテーは草にされてしまいました。

まったく異なる説が出てくるのは面白いです。いずれにしても、ハーデスは妻であるペルセポネに頭が上がらず、メンテーはないがしろにされる運命であったようです。そしてメンテー=ミントの香りは、われわれ人類に多くの恵みをもたらせてくれたのも、また事実です。

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