従業員に、給与を満足に払えないような状況なのに、金融機関からの借入についての返済は、契約通りにされている事業者がおられます。

借りたお金を返すのは、法律的にも道義的にも、そして人としても当たり前のことです。

ただ、借入返済をできるだけの資金があるのなら当然のことなのでしょうが、資金が不足する環境では、支出について考え直してみる必要があります。

従業員の給与を遅延してまで、金融機関に優先して弁済する行為は、大いに問題ありだと思います。



事業者には、金融事故ついて、得も言われぬ恐怖があります。

経営が厳しくなり、資金繰りが悪化すると、金融事故になるのではという、得体のしれない不安に包まれてしまうのです。

その不安は、日ごとに膨らみ、事業者をネガティブに追い込み、経営状況をさらに悪化させていきます。

その結果、自らを経営破綻に追い込んでしまう事業者も珍しくありません。

そして、その最終の選択肢は、ほとんどの場合『破産』になっています。

この様に、最悪の選択をするに至った原因はシンプルで、経営が悪化した時の知識が不足していたからだけになります。

当然、経営状況が厳しかったという事実はあるでしょうが、まだまだ対処法はあり、選択肢も様々に存在し、破産を選択するという理由などはありません。

ただ、金融事故がどの様なものか、経営が悪化したらどうすればいいのか、といった対処法についての知識が乏しいために、不安だけが増幅してしまい正常な対応ができなくなった結果だといえるのです。

一流大学で経営学を学んだ立派な経営者でも、経営危機での対処法を身に付けておられ方は少なく、金融事故や資金繰り破綻などについて正しく理解はされておられないと思います。

だから、金融事故に恐怖を覚え、経営破綻に不安になって、仕事がまともに出来なくなって、事業を破綻させるという悪循環に陥ってしまう様なのです。



資金は不足しているが、金融機関との今後の取引を考えれば、他の支払は遅らせてでも、金融機関への返済を続ける必要があるといわれる事業者は少なくありません・・・。

・・・新規融資が断られていれば、金融機関は、既に健全な取引先と見てくれていない可能性が高いのではないでしょうか。

・・・そんな状況で、無理して返済を続ける意味は見当たりません。

・・・事業を維持したいのなら、従業員や仕入れ先などを優先して配慮すべき状況だといえます。


資金繰りが厳しくても、簡単に金融事故になるものではありません・・・。

・・・元本返済と利息が支払えなくなっても、正式に金融事故になるには2か月以上かかるのが一般的です。

・・・リスケジュールにおいては、10年を超えて対応する金融機関の事例も珍しくありません。


金融事故になれば、破産するしかなくなる・・・。

・・・事業を維持するために、敢えて、事業を再生する目的で金融事故を選択する方法があるくらいですから、まだまだ事業の継続は可能です。

・・・金融事故になっても、再生や整理の選択肢は、破産以外に様々に存在します。


破産すれば、資産も、生活も、人生も喪失してしまう・・・。

・・・破産しても、最低限の生活関連の資産は守れ、生活の糧を得るのも可能です。

・・・経営者保証の免除を受ければ、華美でない自宅や、一定の現預金なども維持できます。


金融事故になると、破産しか選択肢はなくなり、人生さえも喪失する・・・というのは間違い・・・?

・・・一般的に流布されている情報ですが、完全に間違いです。

・・・こういう流れの情報は、債権回収の必要な金融機関やこれを商売にする専門家か、意図的に流した都合のよい情報だといえます。

・・・これだけの知識でも、たとえ金融事故になっても、『何とかなる・・・』ということが理解できるのではないでしょうか。



コロナウイルスの影響で、多くの中小事業者が、金融事故に不安を覚える環境になっています。

こんな環境だからこそ、資金破綻や金融事故など、経営危機に関する知識や情報をしっかりと身に付けて対応する必要があります。

最低限の知識を持つだけで、不安は抑えられて自発的な対応が可能になります。

そして、ポジティブな対応により、その後の展開は大きく変化し、良い結果につながることになるでしょう。


さらに付け足すならば、金融事故は、期限の利益の喪失をするということですから、期限の利益の喪失後の動きについても理解するようにしてください。

期限の利益の喪失をすると、金融機関等の債権者は債権回収をしてくることになりますので、どの様なタイミングで、どの様な対応をしてくるのかについて判れば鬼に金棒です。

債権者の動きが予測できることになりますから、準備が可能になります。

事前にしっかりと対応することができれば、従業員などの社会的弱者を守り、事業を確保することも可能になるのではないでしょうか。

『経営危機』、その環境において、何が大事で、何を優先すべきなのか・・・経営者として正しく理解することが大事なのだと思います。



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