先日、緑色人間の記事を書いていたら、少年時代の或る事件が鮮やかな記憶として脳裏をよぎりました。
少年時代の私はまことにもって、ファンタジー溢れる想像力に抱擁されていたような気がします。
自慢になったら申し訳ありませんが、10歳にも満たない頃から、物語を作っては、同級生に話して聞かせたり、クラスの中で最先端のギャグを考え出したりしていたものです。
例えば、教師からテレパシーというコトバを習ったとしたら、すぐさま級友に「テレパシーって言ってごらん。」と語り、言わせると、「テでパシン」と頬を叩く真似をしては爆笑させたり、当時、話題の中心だったノストラダムスの大予言。これについても、私は絶対に当たらないよと級友に語り、それはなぜと問われると、「ノストラ・騙すだからだ。」言っては大うけしたものです。
それ以外にも、「昨夜クボが夢の中に出て来て、逆立ちしているんだよね。そしたら、何て言ったと思う?ボクって言ったんだよね。」
少年少女は、親父ギャグみたいなのが好きだからね。
それ以外にも、私は次から次へと短編長編を問わず、面白い話を考え出しては、周囲に披露していたのです。
頭の中は創作活動でいっぱいで、だから学業成績は最下位。おまけに協調性発達運動にも難があったのかな、身体を動かすことも苦手。性格も変わっていたからね、友達も殆どいなかった。
小学校4年生か5年生のときだったかな。
私が面白い話をした後の妙な効果に気づいたのです。
武田くんという、面白話が大好きな少年がいたのですが、この彼、非常に私の面白話に反応がよく、いつもバカうけしていたものです。
彼自身、創作能力が高かったものです。小学生時代に、「電波星の出っ歯くん」という漫画を描き上げ、周囲を感嘆せしめたもので、これは今でも私の記憶に残る程優れた創作品だったものです。
まあ、それはいいのですが、この武田くん、私が面白話をすると、まるでジェネリック医薬品のように、同じ話を爆笑しながら、何度も何度も他の皆に聞かせていたのです。
武田くん、本当に性格が良く、頭も良い少年だったと思います。
あまりにも、私の話が可笑しかったので、黙っていられず、反復するように二番漸じで語っては楽しんでいたのだと思います。
しかし、他のクラスの者や女子にも言っているとなると、少し困ったことになるぞ、それに彼はさも自分が思いついたように言っている。いたいけな少年だった私は、何だか自分が考え出した面白話というか手柄を、武田くんに横取りされているような危機を感じたのです。
いつか言わなきゃならないな、私はその機会をじっくりと待ち、3学期の図工の時間だったかな、武田くんの横にやおら近づくや、「武田、今日は凄い事言うからな・・・。」と耳元に囁いたのです。
不穏なものを感じたのか、彼は無視して横を向きながら、工作に励み聞こえていないような振りをしたものです。
「よし、言うぞ!ホントに言うからな!いっせいの・・・。自分で考えてください!」
自分で考えてください・・・。
たったそれだけの台詞が私の口から洩れた瞬間でした。
うっ・・・。
彼は条件反射的に男泣きに泣き出したのです。
やばい・・・。
ここまで反応するとは思わなかった私でした。
周囲に他の学童が集まってきます。
「あっ、レインが泣かした。」
いつの間にか、私は悪者扱いされています。そして、挙句は先生に怒られるのではないかという怯えから、必死の自己弁護を一つだけしたのです。
「だって、武田、俺が何か面白い話するとすぐマネしちゃうんだもん。」
それが余計身に響くのか、武田くんの苦悩はやみません。
今考えると、お互い究極的な子供だったんだなと思う反面、ホントに残酷な事を言ってしまったなと深く反省しているところです。
しかし、普通、自分で考えてくださいと言われたら、すぐには苦しまないですよね。
どういう意味だろう、考えた上で後で苦しむというものだと思うんですよね。
それを瞬時に理解して苦しむというのは、武田くんにも思い当たる節があったのでしょうね。
まして、何をやらしてもダメだった当時の私から言われたとなると、余計辛かったのだと思います。
あれから何年の歳月が経ったのでしょうか。
往事茫茫。
その後、風の噂で武田くんは警察官になったと聞きました。
そして、刑事として、ある凶悪事件に対し、現場のトップに立ち解決したという話も聞きました。
それだけの難事件を解決するには、トップである彼が作成した実行計画書のようなものがあるのでしょうね。
しかし、その実行計画書、自分で考えたのかな?(^^)/
くだらない思い出話に最後までお付き合いいただきありがとうございました。
次回はもう少しマトモな話をアップします(^^)/
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