数あるピアノ協奏曲の中でも最高峰に位置する作品といわれ、私にとってもラフマニノフ共々最高にお気に入りの、ベートーヴェン作曲
ピアノ協奏曲第5番 『皇帝』 変ホ長調 作品73
この名曲が初演されたのが、今からちょうど210年前の今日・1811年11月28日のことでした。
当時の初代コンサートホール
同劇場のオーケストラとJ・F・シュナイダーのピアノによる協演でした。
この作品はベートーヴェンの作曲活動の中期・・・交響曲 『英雄』・『運命』・『田園』、弦楽四重奏曲 『ラズモフスキー』、さらにはピアノ・ソナタ 『熱情』・『ワルトシュタイン』 など蒼々たる傑作を生み出した、脂の乗り切った頃の作品。
まさに 『皇帝』 の名に相応しい大曲です。
もっとも、このネーミングはベートーヴェン自身によるものではなく、楽譜を出版したJ・B・クラマーが命名したといわれていますが、由来については諸説あってはっきりしていません。
3ヶ月後には教則本で知られるツェルニー(↓)によってウィーンで初演されていますが、何故か世間の評判はイマイチだったようで、その後ベートーヴェンの存命中に演奏されることはありませんでした。
またその後彼がピアノ協奏曲を作曲しなかったところを見ると、不評がかなりショックだったのかも。
この曲についてはバックハウスやルービンシュタインなどの演奏が名盤とされていますが、私にとってはこの演奏がダントツで一番なんです。(↓)
フリッツ・ライナー指揮・シカゴ交響楽団の演奏、そしてピアノは私が最も敬愛するウラディミール・ホロヴィッツ!
※ライナーに関する過去記事は、こちら。(↓)
これがなぜ忘れられない1枚なのか、と申しますと・・・私が初めて聴いたホロヴィッツの演奏だったから。
RCAから発売されていたこのレコードを買ったのは、中学1年生の時。
クラシック音楽にハマり始めて、お小遣いを貯めてはレコード店に通っていた頃のこと。
当時人気絶頂のカラヤン=ベルリン・フィルのレコードは、1枚2,000円以上。
3,000円程貯めてもやっと1枚しか買えず。
そんな中、この 『皇帝』 を聴きたくてレコード店に行った私の目に留まったのが、ホロヴィッツのレコード・・・しかしその時点で、私は彼の事を全く知りませんでした。
ではなぜ買ったのか?・・・それは古いモノラル録音だったため、値段がたったの1,000円だったから。😅
「おぉ、ラッキー!」 もう1枚、チャイコフスキーの 『悲愴』 も1,000円のレコードを見つけ、2枚買っても手元には帰りの電車賃が十分に残り、上機嫌で帰宅した私。
そしてコレを聴いた時の衝撃は今でもはっきり憶えています。
それまでFMラジオで何度か聴いた同じ曲とは思えぬタッチの強さと、モノラルとは思えぬ音色の豊かさ。
「世の中に、こんな凄い音を出せるピアニストがいるのか!?」
このレコードこそ、私がホロヴィッツとの出会いでした。
そしてこの直後、音楽の先生に連れられて行った音楽サロンで、すっかりホロヴィッツに魅入られてしまったのです。(↓)
皆さんには、そんな〝衝撃的な出会い〟となったレコードやCDは、ありますか?
それでは最後に、そのホロヴィッツの名演をお聴きください。