AG249 幸せの入り口 水島早樹の場合 61 | 【ラブストーリー】はお好き?

【ラブストーリー】はお好き?

小説です。お楽しみいただけたら、幸いです。




早樹は、このまま強引に小倉と一緒に生活するつもりでいた。
一生小倉に抱かれることが無くても良い、何時も小倉を感じられる所に居たい。

その日、自宅で小倉の子供達が眠った後、小倉の就職先のこと、これからの自分のこと、勘当されることを覚悟で素直に話した。
ただ、過去の二人きりの時間を持っていたことだけは、伏せて。
「来年、総合受診科が出来るでしょ?その担当医に、ER出身の先生何人か集めるって言ってたじゃない?
小倉先生は、どうかしら?
車いすから完全に脱却するには、かなり時間がかかると思うけど、短い距離なら、杖とか使って、移動出来るぐらいには、すぐになると思う。
手の麻痺は、思ったよりも軽くて、かなり、良い感じで回復している。
総合受診科が出来る頃には、 パソコンを扱うのに支障の無い程度には、なると思う。

大学病院時代、脳外科に席を置きながら、ERにもかなり貢献しているから、総合判断には、困らないと思う。
小倉先生の医者としての資質は、手術だけじゃない。
判断力、決断力、そして、何よりも患者さん一人一人の性格をいち早く感じ取って、対応する力は、ピカイチよ。
パパもきっと先生の患者さんとのやり取りを見ればすぐに納得できると思う。
どう?」
「ご本人はどう言っているんだ?」

「まだ、何も話していない。
病院にその気が無いのなら、話をして、かえってがっかりさせてしまうのは、申し訳ないから。
小倉先生は、手さえ元に戻ったら、また、脳外科医としてもやっていけると思う。
総合受診科でしばらくやってもらって、手の調子を見て、脳外科に来てもらっても良いと思うの。」
「お前がそこまで言うなら、良いんじゃないか?」
「ありがと、明日、先生に話してみる。」
「ああ。」
「それから、その事とは、関係無く。
私、小倉先生が退院したら、しばらくお世話させて貰おうかと思ってる」