H713 社会人103 | 【ラブストーリー】はお好き?

【ラブストーリー】はお好き?

小説です。お楽しみいただけたら、幸いです。



スタンディングオベーションは、ずっと続き、繰り返されるカーテンコール。
この感動は、もう、二度と味わえない。
しっかりとこの目に焼き付け、そして、この感動をしっかりと胸に刻もう。
Cチームの皆も、アメリカ人キャストも、全員がそう思って舞台の上で、何度も、何度もカーテンコールを繰り返した。

何時だったか、富野岳の舞台の時?、何時迄もスタンディングオベーションが止まず、カーテンコールを繰り返したとき、最期に圭介と二人、歌を歌って、終止符を打った。
皆に耳打ちして、これで最期、皆で、ハーマンオリバー氏を忍んで、この作品のテーマ曲を歌って、終わりしようと提案。
10分間の長い曲。
この曲が終われば、全てが終わる。
といっても、これからもそれぞれ、活動をして行く。
生活の為にも自分の為にも。
ただ、何が、こんなにも、気持をたかぶらせているのか、それは、これが終わってしまえば、もう、二度と、同じメンバーで舞台に上がるのは、難しい、それこそ、Cチームメンバーだけだとしても、全員となると、かなり難しい。

今、50歳を過ぎて、自分達の為の舞台を作り上げる事は、なかなか、状況が許さない。今では、かつて、松本流星が、富野岳が、ハーマンオリバーが自分達に、そうしてくれた様に、これからは、自分達が若者を見出し、新しい作品を作って行く立場。
日本では、現役を続けながらも、既にそういう立場の仕事は、始まっている。
だから、自分達のための作品作りは、なかなか難しい。
それに、ブロードウェイという特別な場所では、100%無いだろう。

あ〜最期のフレーズ。
もう、これ以上引きずるわけには行かない。
歌い終わった瞬間に、幕を下ろしてもらい、もう、これ以上感情をここに残す訳にはいかない。
幕が下りても、スタンディングオベーションと足踏みは、鳴り止まなかったけれど、もう、誰も舞台には戻らない。
終わった。