Stem(5) | My sweet home ~恋のカタチ。

My sweet home ~恋のカタチ。

せつなくてあったかい。
そんなラブストーリーがいっぱいの小説書いてます(^^)

「・・片桐さん・・彼氏とかいないの、」

 

食後のコーヒーを飲んでいるときに、まひるは思わず口にした。

 

「え?」

 

彼女は一瞬驚いて、そして少しだけ間を開けた後

 

「いません。」

 

と笑顔を見せた。

 

「片桐さんみたいな人・・。 男の人は放っておかないと思うんだけどー、」

 

「いいえ。 そんなこと。 ないです。 あまり・・結婚とかも興味がないし。」

 

「え、そうなんですか?」

 

「そうですね。 あまり考えないです。」

 

「もったいない・・」

 

思わず本音が零れた。

 

「まひる先生は? どうなんですか?」

 

逆に聞かれ

 

「や、ほんっと・・。 今は仕事で精いっぱいで。」

 

焦ってしまった。

 

「・・じゃあ。 私と同じです、」

 

柚はクスっと笑った。

 

同じ年なのに、本当に落ち着いた大人の女性で。

 

勝手に父親がナルのお相手に、なんて考えて突っ走ったことが申し訳なくなるくらいだった。

 

 

 

「あ、いけない。 これも一緒に渡さなくちゃいけないんだった、」

 

さくらはクリアファイルを手に思わず独り言を言った。

 

「なに?」

 

成が反応すると

 

「税理士さんに。 去年のさよちゃんの分の源泉徴収票と給与明細。 ファックスでもいいかな、」

 

彼の方を見た。

 

「・・うーん。 ちょっと枚数あるね。 おれ今日事務所寄ってくわ。」

 

手を出す彼に

 

「え、いいの?」

 

「別に。 同じ方向だし、」

 

「ありがと。 助かる、」

 

 

事務所に行くのは久しぶりだった。

 

設楽の事務所を辞めて、しばらくピアノを弾くバイトをしたり、暇なときは事務所で雑務をしたりしていた。

 

スタジオ セリシールに就職したい、と言った時

 

父はいい顔をしなかった。

 

37になる息子の仕事に親があれやこれやと口出するのが憚られたのか

 

強力な反対はされなかったが

 

こうやっていくうちに税理士の資格を取らせて・・

 

などと考えていたようだった。

 

 

そこの社長とはどういう関係なの

 

と母に聞かれて

 

友達

 

としか答えなかった。

 

それについてもさらに深く知りたかったようでもあるのだが

 

それも深追いはされなかった。

 

設楽事務所を辞めた理由もはっきりとは言わなかったけれど両親はそこも深入りしてこなかった。

 

酔っぱらってまひるに全部ぶっちゃけたとまではさすがに想像しなかったけど。

 

まひるもそのことは親には黙ってくれているようだった。

 

ああいう強引なことをしてくる父ではあるけれど、最後の決心までは絶対に踏み込んでこない。

 

ありがたいような。

 

少し寂しいような。

 

 

家族で一人だけ名字が違うということで何となく両親は成に遠慮をしているような・・?

 

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